最終更新:2026年10月25日
GMOインターネットは2026年10月24日、FXの自動売買などに使われる「お名前.com デスクトップクラウド」へのサイバー攻撃で、利用者の情報が外部に持ち出された事実を確認したと公表しました。影響を受けた可能性がある情報には、MT4/MT5などに保存されたFX口座のログイン情報も含まれ、身に覚えのない取引の報告も寄せられています。
同社は、現在の利用者全員へのお見舞金(一律5,000円)と、不正取引による損失の補償を行うと発表しています。当記事では、10月21日〜24日に出た第1報〜第5報をもとに、何が起きたのか、MT4/MT5を使っていた人が今すぐやるべきこと、補償の条件、金融庁やFX会社の対応を整理します。
「お名前.com デスクトップクラウド」不正アクセスの要点(2026年10月24日時点)
お名前.com デスクトップクラウドは、Windowsのデスクトップ環境をクラウド上で使えるサービスで、MT4などの取引ツールを24時間動かしておくVPS(仮想専用サーバー)として使われてきました。公表された内容の要点は次のとおりです。
| 項目 | 公表された内容 |
|---|---|
| 発覚 | 2026年10月20日、一部の利用者のサーバー環境に第三者が不正なプログラムを設置していたことを確認 |
| 影響の可能性 | 26,739件のサーバー(全プラン)。対象になり得る台数で、不正アクセスや情報の取得が確認された件数ではない |
| 影響の可能性がある情報 | サーバー内に保存されていた情報(取引ツールに保存された取引口座のログイン情報などを含む) |
| 被害 | システムにセキュリティ上の問題が存在し、情報が外部に持ち出された事実を確認(第4報)。一部の利用者から、取引口座での身に覚えのない取引の報告 |
| サービス | 10月21日 4:00から全プランのサーバーを順次停止。現行の基盤は再開せず、代替サービスへの乗り換えを案内(6か月無償) |
| 補償 | 現在の利用者全員にお見舞金一律5,000円。不正取引による実現損失は、同社が認めた取引を対象に補償 |
※GMOインターネット「お名前.com デスクトップクラウド」第1報(2026年10月21日)〜第5報(2026年10月24日)より当サイトで要約。
出典:第1報(10月21日)/第2報(10月22日)/第3報(10月23日)/第4報(10月24日)/第5報(10月24日)(いずれも お名前.com のお知らせ)
第4報によると、攻撃者からは、国内外70を超える証券会社・FX会社等の口座で不正な注文を続けること、サービスや接続した利用者のPCに関する情報の公開とランサム攻撃(身代金の要求)、同社のシステムや運用体制に関する情報の公開を示す脅迫があったとされています。いずれも攻撃者側の主張で、被害がその範囲で確認されたという発表ではありません。同社は要求には応じないとし、通信記録などを警察に提出して捜査を求めています。
お名前.com デスクトップクラウド不正アクセスの経緯(10月19日〜24日)
公表された経緯は次のとおりです。最初の発表(第1報)では「お預かりしているお客様の個人情報の漏えいや、閲覧された情報が悪用された事実は確認されておりません」としていましたが、調査が進むにつれ、第2報で取引口座での不正な操作の報告、第4報で情報が外部に持ち出された事実の確認と、内容が更新されています。
| 日付 | 出来事(公表文より) |
|---|---|
| 10月19日 | 利用者からの問い合わせを受け、調査を開始 |
| 10月20日 | 不正なプログラムの設置を確認。新規申し込みとコントロールパネルを停止 |
| 10月21日 | 4:00から全プランのサーバーを順次停止。第1報を掲載 |
| 10月21日以降 | 取引口座での身に覚えのない操作などの報告を受付。関係する事業者に状況を共有 |
| 10月22日 | 警察に相談。16:59に第2報(MT4/MT5等のパスワード変更とログオフのお願い) |
| 10月23日 | 16:10に第3報(パスワード変更後もセッションが残る場合があるとして、全セッションの切断を要請) |
| 10月24日 | 第4報(情報の持ち出しを確認・お見舞金と補償・脅迫への方針)、第5報(端末のウイルススキャンとバックアップのお願い) |
※2026年10月24日時点。侵入経路や個別の被害の範囲は調査中とされています。
なお、同社は第4報で、政府の関係機関に「能動的サイバー防御」に関する措置の実施を求めたことも公表しています。10月24日時点の公式発表では、侵入経路や攻撃の手口(AI(人工知能)が使われたかどうかを含む)は示されておらず、調査中とされています。今後の発表で明らかになった場合は、この記事を更新します。
MT4/MT5を使っていた人が今すぐやるべきこと
GMOインターネットは第3報・第5報で、このサービス上で証券会社・FX会社の取引ツールを使っていた人に、次の対応を至急求めています。すでにパスワードを変えた人も、全セッションの切断は必ず行うよう案内されています。
手順1:取引口座と取引ツールのパスワードを変える
取引口座と、MT4/MT5などの取引ツールのパスワードを変更します。変更はFX取引に使っていない端末(スマートフォンや別のPCなど)から行うよう案内されています。MT4/MT5のパスワードの変え方は業者ごとに異なるため、口座のある会社のマイページや案内を確認してください。
手順2:ログイン中の全セッションを切断する
第3報では、パスワードを変えた後も、証券会社・FX会社のサーバーの仕様によっては一定期間、既存の接続が維持され、第三者が取引を続けられる場合があるとしています。マイページなどで接続中の全セッションを切断するか、業者の窓口に切断を依頼してください。
手順3:取引履歴と残高を確認する
取引口座の取引履歴・注文履歴・残高に、身に覚えのない取引がないかを確認します。10月21日から全プランのサーバーが停止しているため、そこで動かしていた自動売買のポジションや注文が、管理されないまま残っていないかもあわせて確認しましょう。見つかった場合は、まず口座のある証券会社・FX会社に連絡するよう案内されています。日時・内容・損失額が分かる画面や書類は、後の補償の申請で必要になる可能性があるため、残しておくと安心です。
手順4:二段階認証・ほかのサービスのパスワードを見直す
口座のある会社が二段階認証(二要素認証)を提供していれば設定します。サーバー内に保存していたID・パスワード、同じパスワードを使い回している他のサービス、ブラウザに保存しているID・パスワードも、あわせて変更するよう求められています。
手順5:自分の端末をウイルススキャンする
第3報・第5報では、予防的な対応として、自分のPCやスマートフォンをウイルス対策ソフトでフルスキャンし、データのバックアップを取るよう求めています。また、攻撃者を名乗る者からメールやメッセージが届いた場合は、URLやファイルを開かず、返信もしないよう注意を呼びかけています。
お見舞金5,000円と不正取引の損失補償
第4報で発表された特別措置は次の3つです。お見舞金は被害の有無にかかわらず支払われ、不正取引の損失の補償とは別のものとされています。
| 措置 | 内容 | 案内の時期 |
|---|---|---|
| お見舞金 | 本サービスを現在利用しているすべての人に一律5,000円 | 連絡方法・手続き・支払時期は2026年10月30日(金)23:59までにメールで案内 |
| 代替サービス | Windowsデスクトップ環境を続けたい人は、独立したクラウド基盤の代替サービスへ乗り換え可能。乗り換え後6か月無償。本人の同意なく移行はしない | 開始時期・申し込み方法などは2026年10月30日(金)23:59までにメールで案内 |
| 損失の補償 | 不正アクセスによる本人の意思によらない取引で生じた実現損失(取引の差損・手数料等) | 申請方法・必要書類・受付期間・支払時期は11月6日(金)までに公式サイトとメールで案内 |
損失の補償には条件があります。市場の変動による損失、得られたはずの利益、その他の間接的な損害は対象外で、対象になるかどうかは同社が取引やアクセスの記録をもとに確認します。利用者には、口座のある証券会社・FX会社等に不正アクセスによる取引であることを説明し、取引の取消しや返金を相談するよう求めています。返金があった場合はその分を差し引いた残りを、返金に応じてもらえない場合も対象の損失を、同社が支払うとしています。申請にあたっては、本人確認書類や、取引履歴を確認するための閲覧専用パスワード(MT4/MT5の閲覧専用パスワード等)の提示を求めることがあるとされています。提示は、公式サイトと登録メールアドレスに届く正式な案内の手続きの中だけで行い、補償や返金を名乗る別の連絡には応じないようにしましょう。
出典:お名前.com「お名前.com デスクトップクラウドサービスに対するサイバー攻撃について(第4報)」
金融庁・FX会社の対応
報道によると、金融庁は10月22日付で、FX業者が加盟する自主規制団体の金融先物取引業協会を通じて、FX業者に対し、顧客にパスワードの変更などを促す注意喚起を求める通知を出しました。身に覚えのない取引がないかを顧客に確認するよう求め、FX業者には不正取引の監視の強化も要請したと報じられています(朝日新聞(Yahoo!ニュース))。
GMOインターネットと同じグループのGMOクリック証券は10月23日、複数のFX業者で自動売買ツールによるものと考えられる不正取引の事例が報告されているとして注意喚起を出しました。同社は「現段階では当社の口座における不正な操作は確認されておりません」としたうえで、取引履歴・残高の確認、パスキー認証の設定、ログイン通知・約定通知メールの設定を呼びかけています。同社のログインは2026年11月28日(土)からパスキー認証のみになる予定です(GMOクリック証券のお知らせ)。ほかのFX会社も注意喚起を出しており、各社の案内はFX各社の不正アクセスの注意喚起まとめで整理しています。口座のある会社のお知らせやマイページもあわせて確認してください。
VPSを使っていない人も気をつけたいこと
今回の件は、VPS上の取引ツールに保存したログイン情報が狙われたものですが、金融庁はこれ以前から、偽サイトや偽アプリ、マルウェアで盗まれたログイン情報による不正取引への注意を呼びかけています。公式サイトへはブックマークからアクセスする、パスワードを使い回さない、パスキーや多要素認証が使えるなら切り替える、といった基本の対策は、VPSを使っていない人にも当てはまります(金融庁「インターネット取引サービスへの不正アクセス・不正取引にご注意ください」/金融先物取引業協会「注意喚起(不正アクセス)」)。
また、第3報では、補償や返金を装う不審な連絡にも注意するよう呼びかけています。GMOインターネットは、メールや電話でパスワード・クレジットカード情報・口座情報などを尋ねることはないとしています。偽の業者や勧誘の見分け方はFX詐欺の見分け方でまとめています。
次の予定(2026年10月25日時点)
| 日付 | 予定 |
|---|---|
| 2026年10月30日(金)23:59まで | お見舞金の受け取り方法・支払時期、代替サービスの開始時期・申し込み方法を、登録メールアドレスに案内 |
| 2026年11月6日(金)まで | 損失補償の申請方法・必要書類・受付期間・支払時期を、公式サイトとメールで案内 |
| 未定 | 侵入経路と被害の範囲の調査結果(GMOインターネットは判明しだい知らせるとしている) |
※各社の公表内容をもとにした予定です。変更されることがあるため、公式のお知らせで確認してください。
為替相場の面では、日本時間10月29日(木)3時に米国のFOMC(連邦公開市場委員会)の結果が、30日には日本銀行の金融政策決定会合の結果が公表される予定です。予定とポイントはFOMCとはと日銀の金融政策決定会合とはで確認できます。
注意点
不正なログインで勝手にポジションを持たれると、相場の急変でロスカットが間に合わず、預けた証拠金を上回る損失が出る場合もあります。口座の状況を確認するときは、未決済のポジションや注文が残っていないかもあわせて見ておきましょう。ロスカットの仕組みはロスカットとはで解説しています。
証拠金を上回る損失の可能性についての出典:金融先物取引業協会「FX取引に係る主なリスク」
【まとめ】お名前.com デスクトップクラウドでMT4/MT5を使っていた人はパスワード変更とセッション切断を
当記事では、2026年10月21日〜24日に公表された「お名前.com デスクトップクラウド」への不正アクセスをご紹介しました。サーバー内の情報が外部に持ち出されたことが確認され、取引ツールに保存されていたFX口座のログイン情報も影響を受けた可能性があるとされています。利用者からは身に覚えのない取引の報告も出ています。このサービスで取引ツールを使っていた人は、FX取引に使っていない端末からのパスワード変更、全セッションの切断、取引履歴と残高の確認を急ぎましょう。お見舞金と補償の手続きは、10月30日と11月6日までに案内される予定です。
今週の為替の動きは今週の為替ニュースまとめで更新しています。国内のFX会社が提供する自動売買サービスの種類と注意点はFX自動売買おすすめ7選で、各社のアプリやログインの仕組みの違いはFXおすすめアプリ・口座10社比較で確認できます。
FX(外国為替証拠金取引)は元本が保証される商品ではありません。為替相場や金利の変動により損失が生じる可能性があり、レバレッジをかけた取引では預けた証拠金を上回る損失が発生する可能性があります。取引の際は各FX会社の契約締結前交付書面等をよくお読みいただき、ご自身の判断と責任で行ってください。本記事の情報は2026年10月25日時点のものです。

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