FXの信託保全とは?FX会社が破綻したらお金はどうなるか仕組みと限界を解説

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FXの信託保全とは?FX会社が破綻したらお金はどうなるか仕組みと限界を解説

当記事では、FXの信託保全の仕組み、FX会社が破綻したときに預けたお金がどうなるか、主なFX会社の信託保全先を中心に解説します。あわせて、信託保全では守られないものや、FX会社を選ぶときの確認点も整理します。

FXの信託保全とは、FX会社が顧客から預かった証拠金を、信託銀行等に金銭信託して会社の財産と分けて管理する仕組みです。法令で義務付けられており、FX会社が破綻した場合でも、信託された財産から顧客にお金が返される仕組みになっています。ただし、預けたお金の全額が必ず戻ることまでは保証されていないため、仕組みと限界の両方を知っておきましょう。

目次

FXの信託保全とは?証拠金を会社の財産と分けて守る仕組み

信託保全は証拠金を信託銀行等に預けて区分管理すること

金融庁は、金融商品取引業者は、万が一業者が破綻した場合でも顧客の資産を保護するために、信託銀行等への金銭信託により、顧客から預かった資産を自己の資産と明確に区分して管理することが求められていますと説明しています。

法律では、金融商品取引法第43条の3が、FXなどのデリバティブ取引に関して顧客から預かった保証金を自己の固有財産と区分して管理するよう定め、金融商品取引業等に関する内閣府令(金商業等府令)第143条が、FXを含む通貨関連デリバティブ取引等の金銭は「信託会社又は信託業務を営む金融機関への金銭信託」で管理すると定めています。FX会社の多くは、この仕組みを「信託保全」と呼んでいます。

引用:いわゆる外国為替証拠金取引について(金融庁)、金融商品取引業等に関する内閣府令(e-Gov法令検索)

2010年2月から全てのFX会社に金銭信託が義務付けられた

金融先物取引業協会によると、2007年夏以降、FX会社の破たんが複数あり、その中で資金の流用などにより顧客に証拠金が返還できないという事例がみられました。こうした実態を踏まえて金商業等府令が改正され、FXの証拠金の管理方法が信託銀行等への金銭信託に一本化されました。

金融庁の公表資料でも、この時期の事例が確認できます。FXの証拠金の区分管理違反などで全業務の停止命令を受けていた証券会社について、2008年3月に関東財務局長が登録を取り消し、金融庁長官が顧客資産の保全等を図るために東京地方裁判所へ破産手続開始などを申し立てたと公表されています。この公表では、同社は資産超過の状況で、顧客を含む債権者に全額弁済できる可能性がある時点での申立てとされています。

引用:日本ファースト証券株式会社に対する行政処分等について(金融庁・2008年3月19日)

改正府令は2009年8月1日に施行され、その時点で営業していた業者にも2010年2月1日から適用されています。

引用:区分管理方法の信託一本化(金融先物取引業協会)

FXの信託保全の仕組み|誰が・いくらを・いつ信託するか

ここでは、金商業等府令第143条の2が定める顧客区分管理信託の要件をもとに、信託保全の仕組みを3つのポイントで解説します。

FX会社・信託銀行等・顧客の3者で成り立つ

信託保全では、FX会社が委託者、信託銀行等が受託者、顧客が受益者になります。受益者とは、信託されたお金を受け取る権利を持つ人のことです。

立場担う人役割
委託者FX会社顧客から預かった証拠金に見合う金額を信託する
受託者信託銀行等信託された財産を管理する
受益者顧客(FXの利用者)破綻時などに、信託財産から返還を受ける権利を持つ
受益者代理人弁護士等を含む顧客に代わって信託の状況をチェックし、破綻時に権利を行使する

※金融商品取引業等に関する内閣府令 第143条の2第1項第1号・第2号、金融先物取引業協会「区分管理方法の信託一本化」より作成。

FXの顧客は大勢いるため、顧客に代わって手続きをする受益者代理人を選ぶことが義務付けられており、少なくとも1人は弁護士・公認会計士・税理士など(弁護士等)でなければなりません。

信託するのは証拠金に損益やスワップを加減した金額

信託する金額は、預かった証拠金そのものではありません。金融先物取引業協会によると、FX会社は証拠金に実現損益・評価損益・スワップ損益を加減算し、未払い手数料を差し引いた金額を顧客ごとに日々計算し、その合計(顧客区分管理必要額)に見合う金額を信託します。

つまり、保有中のポジションに含み益があればその分も計算に入り、含み損があればその分が差し引かれます。

不足が出たら2営業日以内に追加で信託する

信託財産の額が顧客区分管理必要額に足りなくなった場合、FX会社は足りなくなった日の翌日から数えて2営業日以内に不足額を追加で信託しなければなりません。ここでいう営業日は銀行営業日です。

金融先物取引業協会は、計算日の午前7時を基準に計算する例で、月曜日の取引の不足額は木曜日までに追加すると説明しています。計算する時点と追加で信託する期限の間には時間差がある点は、後ほど解説する「全額が戻るとは限らない理由」につながります。

詳しい計算の考え方は、FXの証拠金とはの記事もあわせて参考にしてみてください。

FX会社が破綻したらお金はどうなる?信託保全での返還の流れ

FX会社が登録の取り消しや破産手続開始の申立てなどに当たった場合(以下、破綻時等)、金商業等府令は信託財産を顧客に返すための手順を定めています。ここでは、破綻時等に預けたお金が返されるまでの流れを4つのステップで解説します。

手順1:弁護士等の受益者代理人だけが権限を持つ

FX会社が破綻時等に当たると、弁護士等である受益者代理人だけが権限を行使できるようになります(その受益者代理人が他の受益者代理人の権限行使を認める場合を除く)。平常時は、FX会社の内部管理責任者などが受益者代理人を務めるケースが一般的だと、金融先物取引業協会は説明しています。

手順2:FX会社は信託財産の運用を指図できなくなる

破綻時等には、弁護士等である受益者代理人が特に認める場合を除き、FX会社は信託銀行等に対して信託財産の運用を指図できません。信託財産の運用を止めて、顧客の資産を守るためです。

手順3:受益者代理人が全ての顧客の権利をまとめて行使する

弁護士等である受益者代理人が必要と判断した場合、顧客の受益権は、受益者代理人によって全ての顧客について一括して行使されます。顧客に対して公平かつ確実に返還するための決まりで、一括して行使された後は信託契約を終了できるとされています。

手順4:信託財産を換価し、顧客ごとの金額に応じて返還する

顧客に支払われる金額は、信託財産(元本部分)を換価して得られる額を、顧客ごとの区分管理金額の割合で按分した額です。顧客ごとの区分管理金額を超える場合は、その金額が上限になります。

信託財産が十分にあれば顧客の証拠金は全て保全されていることになり、余った部分はFX会社に帰属します。反対に、信託財産が足りなければ、信託財産からは按分した分しか返還されないことになります。

なお、破綻から返還までにかかる期間は、金商業等府令にも金融先物取引業協会の解説にも定められていません(2026年10月14日時点)。

引用:区分管理方法の信託一本化(金融先物取引業協会)

信託保全でも全額が戻るとは限らない理由

金融先物取引業協会は、信託一本化について区分管理必要額の計算時と追加信託の期限に時間差があることなどから、いかなる状況でも必ず証拠金が全額返還されることを保証する制度ではないとしています。

各社の説明でも、次のような注意書きが確認できます。

  • GMOクリック証券:信託保全対象額の計算は毎営業日1回で、信託口座への入金手続が完了するまで2銀行営業日かかるため、破綻時点の資産の全額が返還されるとは限らない
  • SBI FXトレード:会社の過誤、システム障害、急激な相場変動などで適切に信託されなかった場合、証拠金が保全されないことがある
  • ヒロセ通商:信託された金額が証拠金の総額に不足する場合があり、証拠金の一部が返還されない場合がある

※2026年10月14日時点・各社公式サイトの信託保全の説明より(要旨)。

主なFX会社の信託保全先一覧

信託保全先(受託者)は、FX会社ごとに異なります。主なFX会社の信託保全先は次のとおりです。

FX会社(サービス)信託保全先
DMM FX日証金信託銀行、SMBC信託銀行、SBIクリアリング信託
松井証券(FX)日証金信託銀行
GMOクリック証券(FXネオ)三井住友銀行、三井住友信託銀行、日証金信託銀行
楽天証券(楽天FX)三井住友銀行、楽天信託
SBI FXトレードSBIクリアリング信託、三井住友銀行
外為どっとコム三井住友銀行、みずほ信託銀行、あおぞら銀行、SBIクリアリング信託、三井住友信託銀行
外為オンライン三井住友銀行、みずほ信託銀行、日証金信託銀行
ヒロセ通商(LION FX)三井住友銀行
みんなのFX・LIGHT FX(トレイダーズ証券)三菱UFJ信託銀行、SBIクリアリング信託、三井住友銀行、日証金信託銀行
(最新の取引説明書の記載。信託保全のページなどは3社のまま)

※2026年10月14日時点・各社公式サイト(信託保全のページ・契約締結前交付書面等)より。社名は「株式会社」等を省略。信託保全先は変わることがあるため、口座開設前に公式サイトで確認してください。

みんなのFXとLIGHT FXの信託保全先は、最新の取引説明書(2026年9月12日改訂)とサービス概要では、日証金信託銀行を含む4社です。ただし、信託保全のページなど一部のページは、日証金信託銀行を除く3社の記載のままです(2026年10月14日時点)。気になる方は、各サービスのサポート(電話・お問合せフォーム)で確認できます。

信託保全の範囲の説明も各社で表現が異なります。たとえばDMM FXは、証拠金だけでなく、ポジションの評価損益や未実現スワップポイントなども信託保全の対象と案内しています。各社の特徴は、DMM FXの評判、松井証券FXの評判の記事でも紹介しています。

GMOクリック証券のサービス内容は、GMOクリック証券 FXネオの評判の記事を参考にしてください。

FXの信託保全で守られないものとFX会社選びの確認点

取引で出た損失は信託保全では補われない

信託保全は、FX会社が破綻したときに証拠金を返すための仕組みで、相場の変動で出た取引の損失を補う制度ではありません。DMM FXも「信託保全は、お取引の元本を保証するものではありません。」と明記しています。

相場が急に動いたときには、ロスカットが働いても預けた証拠金を上回る損失が出る可能性があります。不足金の仕組みはFXで借金になる?の記事で解説しています。

FXは投資者保護基金の補償対象ではない

株式などの取引では、証券会社が破綻して資産が返されない場合に、日本投資者保護基金が1人1,000万円を上限に補償する制度があります。しかし日本投資者保護基金は、外国為替証拠金取引(FX取引)は補償対象ではないと案内しています。東京金融取引所の「くりっく365」などの取引所の通貨関連取引も、補償を受けられない取引として挙げられています。

同じ証券会社で取引していても、FXの証拠金は投資者保護基金ではなく、信託保全の仕組みで守られていると理解しておきましょう。

引用:Q&A(日本投資者保護基金)

無登録の海外業者は日本の信託保全の対象外

信託保全は、日本の金融商品取引業の登録を受けた業者に課されたルールです。金融庁は、無登録業者について投資者等の保護のための態勢が確保されているか当局では確認できないとしています。無登録の海外業者の危険性は、海外FXの危険性の記事で詳しく解説しています。

FX会社の信用力はリスク情報や説明書類で確かめる

金融庁は、登録を受けた業者と取引する場合でも、その業者の信用力を慎重に判断するよう呼びかけています。店頭FX業者はリスク情報をウェブサイトで公表しているため、口座を選ぶときの参考にできます。この公表は、金融商品取引業等に関する内閣府令(第117条第1項第28号の2)で、毎月の基準時点の数値を翌月20日までにインターネット等で公表することが求められているものです。

リスク情報意味(金融庁の説明)
未カバー率顧客の買いと売りの差額のうち、カバー取引をしていない割合。高いほど業者の相場変動リスクが高い
カバー取引の状況カバー取引の相手の信用格付ごとの建玉の割合。相手の格付が低いほど、相手の破綻の影響を受けるおそれが高い
平均証拠金率証拠金の預託額に対する建玉残高の割合。低いほど、業者が顧客の損失を回収できなくなるリスクが高い

※金融庁「いわゆる外国為替証拠金取引について」より。

このほか、金融商品取引業者は業務や財産の状況を記載した説明書類を開示しています。自己資本規制比率や行政処分の確認方法は危ないFX会社の見分け方で解説しています。信託保全先や信託のタイミングは、各社の信託保全のページや契約締結前交付書面で確認しましょう。

FXの信託保全に関するよくある質問

信託銀行に直接お金を返してもらえる?

FX会社によっては、直接の請求はできないと定めています。たとえばDMM FXは、顧客が信託先の信託銀行等に直接、証拠金等の支払いを請求することはできないと案内しています。破綻時等には、弁護士等である受益者代理人が必要と判断した場合、全ての顧客の権利をまとめて行使する手続きになります。返還の手続きは、各社の信託保全の説明や契約締結前交付書面で確認しましょう。

信託保全はどのFX会社でも同じ?

国内の登録業者には、証拠金を信託銀行等に金銭信託する義務があります。一方で、信託保全先の数や、入金から信託されるまでのタイミング、説明の書き方は各社で異なります。たとえばSBI FXトレードは、入金した資金がFX会社を経由せずに直接信託会社に入金・信託保全される「即時信託保全」を導入しています(三井住友銀行への入金は従来の方式)。

信託保全に上限はある?

投資者保護基金の「1人1,000万円まで」のような金額の上限は、金商業等府令の顧客区分管理信託の要件にはありません。FX会社が信託するのは、顧客ごとの区分管理金額を合計した顧客区分管理必要額に見合う金額です。ただし、返還される額は顧客ごとの区分管理金額が上限で、信託財産が足りなければ按分した額になります(前述の手順4)。

FXで儲かりすぎると口座凍結される?

今回確認した5社(DMM FX・GMOクリック証券・松井証券・みんなのFX・SBI FXトレード)の約款・規程には、利益の額そのものを理由に取引を制限するという規定は見当たりません。取引の制限や口座の凍結の対象として定められているのは、システムの脆弱性やインターバンク市場の混乱等を利用して不当に利益を得ようとする行為、短時間に注文を繰り返す行為、取引システム以外のツールの使用などの禁止行為です。たとえばDMM FXは、禁止行為があった場合はアカウントを凍結し、過去に遡って約定を無効にできると定めています(店頭外国為替証拠金取引約款 第7条)。どの取引が該当するかは各社が判断するため、取引ルールは口座開設前に確認しておきましょう。各社の約款の禁止行為と凍結されたときの扱いはFXの口座凍結とはで整理しています。

取引所FXの証拠金はどう管理される?

金融庁によると、取引所FXの証拠金は、金融商品取引業者を通じて金融商品取引所に直接預託され、取引所で管理されます。店頭FX(FX会社と顧客が直接取引するFX)とは管理の方法が異なります。

【まとめ】FXの信託保全の仕組みと限界を確認しよう

当記事では、FXの信託保全の仕組み、FX会社が破綻したときの返還の流れ、主なFX会社の信託保全先、信託保全で守られないものをご紹介しました。国内の登録業者は、法令にもとづいて証拠金を信託銀行等に金銭信託しており、破綻時等には弁護士等の受益者代理人だけが顧客に代わって権利を行使できるようになります。

一方で、計算と信託の時間差などから全額の返還が保証されているわけではなく、取引の損失も補われません。信託保全先やリスク情報も確認しながら、信用できるFX会社を選びましょう。口座選びに迷ったら、FXおすすめアプリ・口座の比較も参考にしてみてください。

FX取引のリスクについて

FX(外国為替証拠金取引)は元本が保証される商品ではありません。為替相場や金利の変動により損失が生じる可能性があり、レバレッジをかけた取引では預けた証拠金を上回る損失が発生する可能性があります。取引の際は各FX会社の契約締結前交付書面等をよくお読みいただき、ご自身の判断と責任で行ってください。本記事の情報は2026年10月14日時点のものです。

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この記事を書いた人

株式会社エウレカ編集部が運営するFX情報メディアの編集部です。

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