当記事では、FXの税金の仕組み、税率20.315%の内訳、損益通算できるもの・できないもの、経費になりうるものを中心に解説します。あわせて、スワップポイントやキャッシュバックの扱いも整理します。
FXの税金は、FXで確定した利益に対して、給与などとは分けて一律の税率でかかる仕組みです。税率は所得税・復興特別所得税・地方税をあわせて20.315%(令和8年分まで)で、利益が出た年は確定申告が必要になる場合があります。始める前に仕組みを知っておけば、申告の時期になって慌てずに済むでしょう。
FXの税金とは?仕組みと課税の対象
FXの利益は「先物取引に係る雑所得等」として申告分離課税
国税庁 No.1521によると、FXの差金等決済によって生じた利益は、他の所得と区分し、「先物取引に係る雑所得等」として、所得税15パーセント(他に地方税5パーセント)の税率で課税されます(申告分離課税)。
申告分離課税とは、給与などのほかの所得と合計せず、分けて税額を計算する方法です。所得が多いほど税率が上がる「総合課税」(超過累進税率)と違い、FXの所得には利益の大きさにかかわらず同じ税率がかかります。
税金がかかるのは決済して確定した利益
課税の対象になるのは、ポジションを決済(差金等決済)したことで確定した損益です。国税庁の記載例でも、計算明細書の「差金等決済に係る利益又は損失の額」の欄には、決済によって確定した利益または損失の額を記載するとされています。
そのため、ポジションを持ったままの含み益や含み損は、その年の所得の計算には含まれません。年末をまたいでポジションを持っている場合は、決済した年の損益として扱われます。
対象は国内の登録業者などとの取引
申告分離課税の対象になるのは、取引所で行う「市場デリバティブ取引」と、第一種金融商品取引業者または登録金融機関を相手方とする「店頭デリバティブ取引」に当たるFXです(国税庁 No.1521)。
これらに当たらない取引の利益は、一般的に雑所得として総合課税の対象となり、所得に応じた税率(超過累進税率)で課税されます。損失が出た場合、雑所得の範囲内での損益通算は可能ですが、ほかの各種所得や「先物取引に係る雑所得等」との損益通算はできません。金融庁も、FXは金融商品取引法の登録を受けた業者でなければ行うことができないとして、無登録業者からの勧誘に注意を呼びかけています。国内の登録業者で口座を開く手順は、DMM FXの口座開設のやり方を例に解説しています。
>>No.1521 外国為替証拠金取引(FX)の課税関係(国税庁)
FXの税率20.315%の内訳と令和9年分以後の変更
令和8年分までの税率の内訳
FXの所得にかかる税率は、所得税15%・復興特別所得税0.315%・地方税5%の合計20.315%です。復興特別所得税は、平成25年から令和29年までの各年分について、基準所得税額の2.1パーセントを所得税とあわせて申告・納付するものです(国税庁 No.1522)。
| 税金の種類 | 税率の決まり方 | 所得に対する税率 |
|---|---|---|
| 所得税 | 所得の15% | 15% |
| 復興特別所得税 | 基準所得税額の2.1% | 0.315% |
| 地方税 | 所得の5% | 5% |
| 合計 | — | 20.315% |
※国税庁 No.1521・No.1522(令和8年4月1日現在法令等)より作成。0.315%と合計は当サイトで計算(15%×2.1%=0.315%)
令和9年分以後は復興特別所得税1.1%+防衛特別所得税1%に
国税庁 No.1522では、令和9年分以後は、復興特別所得税額が、基準所得税額の1.1パーセントとなり、防衛特別所得税を、基準所得税額の1パーセントの税率で、所得税および復興特別所得税と併せて申告・納付するとされています。
| 年分 | 復興特別所得税 | 防衛特別所得税 | 所得に対する合計の税率 |
|---|---|---|---|
| 令和8年分(2026年の取引分)まで | 基準所得税額の2.1% | — | 20.315% |
| 令和9年分(2027年の取引分)以後 | 基準所得税額の1.1% | 基準所得税額の1% | 20.315% |
※国税庁 No.1522より作成。合計の税率は当サイトで計算(15%×(1.1%+1%)=0.315%)
計算すると、令和9年分以後も所得税・復興特別所得税・防衛特別所得税・地方税の合計は20.315%で、合計の税率自体は変わりません(国税庁の原文に合計の税率の記載はなく、当サイトの計算です)。ただし、申告書で納める税金の内訳が変わるため、令和9年分の確定申告からは注意しましょう。
>>No.1522 先物取引に係る雑所得等の課税の特例(国税庁)
税額の計算例
たとえば、令和8年分のFXの所得金額(利益から経費を差し引いた金額)が50万円だった場合、単純計算で税額の合計は101,575円になります。
| 税金の種類 | 計算 | 金額 |
|---|---|---|
| 所得税 | 50万円×15% | 75,000円 |
| 復興特別所得税 | 75,000円×2.1% | 1,575円 |
| 地方税 | 50万円×5% | 25,000円 |
| 合計 | — | 101,575円 |
※当サイトによる単純計算です。実際の税額は、ほかの所得や所得控除の状況、端数の処理などによって変わります
FXの税金で損益通算できるもの・できないもの
損益通算とは、ある所得の損失をほかの所得の利益と相殺することです。FXの損失は、相殺できる相手が限られています。
損益通算できるのは「先物取引に係る雑所得等」同士
FXの損失は、ほかの「先物取引に係る雑所得等」の金額との損益通算が可能です(国税庁 No.1521)。国税庁 No.1522では、「先物取引に係る雑所得等」の対象として次のような取引を挙げています。
| 損益通算できるもの | 例 |
|---|---|
| 金融商品先物取引等 | FX(No.1521の対象のもの。複数のFX会社の損益どうしも含む)、記載例に挙がる「大阪ミニ225」などの先物・オプション取引(一定のもの) |
| 商品先物取引等 | 商品取引所の先物取引など(一定のもの) |
| カバードワラント | 権利の行使・放棄・譲渡(一定のもの) |
※国税庁 No.1522・計算明細書の記載例をもとに作成。対象となる取引の詳しい範囲は国税庁 No.1522で確認してください
たとえば、A社のFXで30万円の利益、B社のFXで10万円の損失が出た年は、合算した20万円が所得の計算のもとになります。
給与や株式の譲渡益などとは損益通算できない
一方で、FXの損失は、「先物取引に係る雑所得等」以外の所得の金額との損益通算はできません(国税庁 No.1521)。主な例は次のとおりです。
- 給与所得(会社員の給与)
- 事業所得(先物取引によるものを除く)
- 株式等の譲渡所得や配当所得
- 暗号資産の売却などによる雑所得
- 登録を受けていない業者との取引など、No.1521の対象外のFXの所得
つまり、FXで損失が出ても給与にかかった税金が戻ることはなく、株式の利益と相殺することもできません。会社員がFXを副業として考えるときの注意点はFXは副業になる?で解説しています。NISAとの違いはFXはNISAでできる?で整理しています。
引ききれない損失は翌年以後3年間繰り越せる
損益通算をしてもなお引ききれない損失は、一定の要件のもとで翌年以後3年内の各年分の「先物取引に係る雑所得等」の金額から控除できます(国税庁 No.1521・No.1523)。
この繰越控除を受けるには、損失が出た年分に申告書付表(先物取引に係る繰越損失用)と計算明細書を添付した確定申告書を提出し、その後も連続して付表を添付した確定申告書を提出する必要があります(国税庁 No.1523)。手続きの詳細は、FXの確定申告の記事で解説しています。損失が出た年の付表の書き方はFXで損失が出た年の確定申告で解説しています。
住民税にも同じ繰越控除の仕組みがあります(地方税法附則第35条の4の2)。所得税の確定申告書を提出すれば住民税の申告をしたものとみなされますが、損失が出た年の分は、原則として申告書の提出期限までに提出する必要があります。期限後に納税通知書が届くまでに提出した場合は、市区町村長が「やむを得ない事情がある」と認めたときに限り認められます。
▶ 関連記事:FXの確定申告のやり方|必要な人・必要書類・e-Taxの流れ
FXの経費になりうるもの
FXの所得金額は、総収入金額から必要経費を差し引いて計算します。ここでは、国税庁の原文で確認できる範囲に絞って紹介します。
経費になりうるものの1つ目は「手数料等」
経費になりうるものの1つ目は、「手数料等」です。国税庁の「先物取引に係る雑所得等の金額の計算明細書」には、必要経費等として「手数料等」の欄と、それ以外の「その他の経費」の欄が設けられています。
取引手数料が無料のFX会社では、この欄に書く金額がないこともあります。取引した会社の年間の報告書で確認しましょう。
経費になりうるものの2つ目は「投資顧問への年会費・成功報酬」
経費になりうるものの2つ目は、先物取引に限定した助言を受けるために投資顧問会社に支払う年会費・成功報酬です。国税庁の質疑応答事例(令和7年8月1日現在の法令・通達等に基づく)では、投資顧問契約を結んで先物取引に限定した助言を受けている照会について、年会費と成功報酬は「先物取引に係る雑所得等の計算上必要経費に算入することができます」と回答しています。
ただし、この事例は助言が先物取引に限られているなど、照会された事実関係を前提にした回答です。国税庁も、具体的な取引に当てはめると回答と異なる課税関係が生じることがあると注意しています。
>>質疑応答事例「投資顧問会社に支払う年会費及び成功報酬」(国税庁)
それ以外の費用は税務署で確認する
国税庁の質疑応答事例では、必要経費に算入すべき金額は「総収入金額を得るため直接に要した費用の額」や「その他事業所得等を生ずべき業務について生じた費用の額」などと規定されている(所得税法第37条第1項)と説明しています。パソコンや通信費、書籍代などがFXの経費になるかについては、国税庁の原文で一般的な基準を確認できなかったため、当記事では断定しません。
FXとの関係が分かる領収書や記録を残したうえで、経費に含めてよいか迷う費用は、所轄の税務署などで確認しましょう。
スワップポイント・キャッシュバックの税金の扱い
スワップポイントがいつ課税対象になるかは受け渡しの仕組みで違う
国税庁のタックスアンサー No.1521には、スワップポイントについての直接の記載はありません。参考になるのは、国税庁が公開しているさいたま地方裁判所の判決(平成25年12月25日)です。スワップポイントの受け渡しが決済時に行われる取引について、建玉を反対売買で決済した時に「収入の原因となる権利が確定する」と判断しました。この判断は東京高等裁判所(平成26年7月2日)でも維持され、最高裁判所(平成26年12月18日)で確定しています(国税庁 税務訴訟資料264号)。
FX会社の公式サイトの案内も、スワップポイントを日々受け渡すか、決済やスワップ振替のときに受け渡すかによって分かれています(2026年10月14日時点)。
| FX会社 | 公式サイトの記載 |
|---|---|
| 外為どっとコム | スワップ振替で「振り替えられた金額は、確定益金であり、売買差益と同様に申告分離課税の対象」 |
| SBI FXトレード | 「個人口座の場合、決済していないポジションの評価損益やスワップポイントは、課税対象とはなりません。」 |
| GMOクリック証券(FXネオ) | 「FXネオ取引はスワップポイントの受払いが日々発生するため原則、受払いのあったスワップはすべて課税対象となります。」 |
※2026年10月14日時点・各社公式サイト(GMOクリック証券はよくあるご質問 No.1736)より
外為どっとコムやSBI FXトレードの案内からは、ポジションを決済したり、スワップ振替で受け取ったりして確定したスワップポイントが申告分離課税の対象になると読み取れます。一方、GMOクリック証券のFXネオのように日々受け渡す会社では、ポジションを決済していなくても、受け払いのあったスワップポイントがその年の課税対象になると案内されています。会社によって扱いが違うため、取引している会社の公式サイトで確認し、迷う場合は税務署にも確認しましょう。
なお、スワップポイントは受け取りから支払いに転じることもあります。高金利通貨を長く持つと、為替レートの変動で受け取ったスワップポイント以上の損失が出る可能性がある点にも注意が必要です。
キャッシュバックの扱いはFX会社の表記がそれぞれ異なる
口座開設や取引量に応じたキャッシュバックについては、各社がキャンペーンページで税金の扱いを案内しています。国税庁の原文で直接触れたページは確認できませんでした。2026年10月13日時点で確認できた各社の表記は次のとおりです。
| FX会社 | キャンペーンページの税金に関する記載 |
|---|---|
| みんなのFX・LIGHT FX | 「キャッシュバックは一時所得として扱われます。」(50万円を超える場合は源泉徴収税額を差し引いて入金) |
| 楽天証券(楽天FX) | 「現金によるキャッシュバックは雑所得となります。」 |
| アイネット証券 | 「雑所得となり総合課税の対象となる場合があります。」 |
| 松井証券 | 「キャッシュバックの金額は課税対象となり、確定申告が必要な場合があります。」 |
※2026年10月13日時点・各社のキャンペーンページより。キャンペーンの内容・条件は変わることがあります
このように、キャッシュバックの所得区分は会社によって表記が違います。今回確認した5社には、FXの売買損益と同じ「先物取引に係る雑所得等」として扱うと明記した会社はありませんでした。受け取った場合は各社の案内と税務署で扱いを確認しましょう。表にある松井証券のFXのサービスの特徴は、松井証券FXの評判でまとめています。
FXの税金を納める手続き
FXの利益は年末調整の対象にならないため、条件に当てはまる方はご自身で確定申告をして税金を納めます。期限までに申告しなかった場合の扱いはFXの無申告はバレる?で解説しています。要点は次の3つです。
- 会社員(給与1か所)は、FXなど給与所得・退職所得以外の所得金額の合計額が20万円を超えると確定申告が必要(国税庁 No.1900)
- 確定申告の期間は、原則として翌年2月16日から3月15日まで(国税庁 No.2020)
- 確定申告書を提出すれば、原則として改めて住民税の申告書を出す必要はない(住民税で所得税と異なる控除等を受ける場合は別途申告が必要なことがある。国税庁 確定申告期に多いお問合せ事項Q&A)
国税庁の確定申告特集では、公的年金等に係る雑所得のみの方の項目で「所得税等の確定申告が必要ない場合であっても、住民税の申告が必要な場合があります」と注記しています。会社員でFXの所得が20万円以下のため所得税の確定申告をしなかった年も、地方税法第317条の2の定めにより、住民税の申告は原則として必要です。申告の方法や様式は、お住まいの市区町村に確認しましょう。必要書類や作成の流れは、FXの確定申告の記事で詳しく解説しています。住民税の徴収方法と勤務先との関係はFXは会社にバレる?で解説しています。
▶ 関連記事:FXの確定申告のやり方|必要な人・必要書類・e-Taxの流れ
【まとめ】FXの税金は20.315%、仕組みを知って申告に備えよう
当記事では、FXの税金の仕組み、税率20.315%の内訳と令和9年分以後の変更、損益通算できるもの・できないもの、経費になりうるもの、スワップポイントとキャッシュバックの扱いをご紹介しました。FXの利益は「先物取引に係る雑所得等」として申告分離課税の対象になり、合計の税率は令和9年分以後も20.315%です。損失はFX同士などで相殺でき、引ききれない分は申告を続けることで3年間繰り越せます。
ただし、税金がかかるのは利益が出たときの話で、FXは相場の変動で損失が出る可能性がある取引です。少額・低いレバレッジから始め、損切りのルールを決めて、国内で登録を受けたFX会社を選びましょう。口座選びに迷ったら、FXおすすめアプリ・口座10社比較も参考にしてみてください。
レバレッジの仕組みとリスクは、レバレッジとは?で解説しています。
FX(外国為替証拠金取引)は元本が保証される商品ではありません。為替相場や金利の変動により損失が生じる可能性があり、レバレッジをかけた取引では預けた証拠金を上回る損失が発生する可能性があります。取引の際は各FX会社の契約締結前交付書面等をよくお読みいただき、ご自身の判断と責任で行ってください。本記事の情報は2026年10月13日時点のものです。
