経常収支とは?日本の最新結果と内訳・推移、為替との関係【2026年10月更新】

当ページのリンクには広告が含まれています。
経常収支とは?日本の最新結果と内訳・推移、為替との関係【2026年10月更新】

最終更新:2026年10月18日

経常収支とは、日本と海外とのモノ・サービスの取引や、投資から得た利子・配当などの出入りをまとめた収支です。当記事では、財務省が公表した2026年8月分の最新結果、内訳の意味、暦年・年度の推移、次回の発表日を中心に解説します。あわせて、円の需給や為替との関係、数字を見るときの注意点も整理します。

円相場のニュースで「経常黒字」「貿易赤字」という言葉を見かけたときに、その数字が何を表しているのかを読み取れるようになりましょう。

目次

経常収支の最新結果【2026年8月分・10月8日公表】

ここでは、財務省が2026年10月8日に公表した「令和8年8月中 国際収支状況(速報)」の主な数字を整理します。

8月の経常収支は4兆620億円の黒字

2026年8月の経常収支は4兆620億円の黒字で、前年同月から4,339億円黒字幅が広がりました。財務省は、第一次所得収支が黒字幅を拡大したこと等から経常収支の黒字幅が拡大したと説明しています。一方、貿易収支は6,877億円の赤字で、前年同月の黒字から赤字に転じました。

項目2026年8月前年同月比
経常収支4兆620億円+4,339億円(黒字幅拡大)
貿易・サービス収支▲8,035億円▲6,507億円(赤字幅拡大)
貿易収支▲6,877億円▲8,015億円(黒字から赤字に転じた)
輸出9兆8,623億円+16.9%
輸入10兆5,500億円+26.7%
サービス収支▲1,158億円+1,509億円(赤字幅縮小)
第一次所得収支5兆1,332億円+9,105億円(黒字幅拡大)
第二次所得収支▲2,677億円+1,740億円(赤字幅縮小)

※▲は赤字(マイナス)。速報値で、今後改訂されることがあります。2026年10月18日時点・財務省「令和8年8月中 国際収支状況(速報)の概要」(2026年10月8日公表)より。

出典:財務省「令和8年8月中 国際収支状況(速報)の概要」

輸入が輸出を上回り貿易収支は赤字、投資の収益は黒字が拡大

財務省の概要によると、8月は輸出が12か月連続、輸入が7か月連続で前年同月より増え、輸入額の増加が輸出額の増加を上回ったことで貿易収支が赤字に転じました。参考として示された原油価格(ドルベース)は1バレル=101.67ドルで、前年同月比40.9%の上昇です。

一方、海外の子会社からの配当などを含む第一次所得収支は5兆1,332億円の黒字で、財務省は「直接投資収益」が黒字幅を拡大したこと等によると説明しています。

直近6か月の経常収支はすべて黒字、6月は599億円と小さい

2026年3月から8月までの月次の経常収支は次のとおりです。6か月とも黒字でしたが、6月は第一次所得収支の黒字が小さく、経常収支は599億円にとどまりました。前年の2025年6月も1兆2,818億円と多くの月より小さく、月ごとの数字には季節による偏りがあります。

財務省は6月分の速報で、「証券投資収益」が赤字幅を拡大したこと等から第一次所得収支の黒字幅が縮小したと説明しています。なお、6月の経常収支は速報(8月10日公表)では923億円の赤字でしたが、10月8日の第2次速報で599億円の黒字に改訂されました。

月経常収支貿易収支サービス収支第一次所得収支第二次所得収支
2026年8月(速報)4兆620億円▲6,877億円▲1,158億円5兆1,332億円▲2,677億円
2026年7月(速報)2兆9,889億円▲3,999億円▲5,129億円4兆2,896億円▲3,879億円
2026年6月599億円▲1,318億円▲1,044億円4,083億円▲1,121億円
2026年5月4兆841億円▲112億円1,200億円4兆2,798億円▲3,046億円
2026年4月3兆9,257億円3,485億円▲3,502億円4兆2,144億円▲2,871億円
2026年3月4兆7,754億円8,207億円▲1,774億円4兆6,539億円▲5,218億円

※季節調整をしていない原数値。2026年10月18日時点・財務省「国際収支総括表【月次】」(時系列データ)より。四捨五入のため内訳の合計が経常収支と合わないことがあります。

季節による偏りをならした季節調整済みの8月の経常収支は2兆9,794億円の黒字です(財務省「季節調整済 国際収支の推移表」より)。

出典:財務省「国際収支状況 時系列データ」/財務省「季節調整済 国際収支の推移表」(2026年8月・PDF)

経常収支とは?国際収支統計の仕組み

ここでは、経常収支の意味と、国際収支統計の作り方を解説します。

経常収支は海外との取引で生じたお金の出入りの差額

財務省の用語解説では、経常収支は貿易・サービス収支、第一次所得収支、第二次所得収支の合計とされています。受け取りが支払いより多ければ黒字(プラス)、支払いが多ければ赤字(マイナス)です。

ここでいう「海外との取引」は、国籍ではなく、日本に住む人や企業(居住者)と、海外に住む人や企業(非居住者)との間の取引を指します。たとえば、日本の自動車メーカーが海外に車を輸出すれば受け取り、日本人が海外旅行で宿泊費を払えば支払いとして記録されます。

出典:財務省「用語の解説」(国際収支状況)/財務省「国際収支状況」

国際収支統計は日銀が集計し財務省と共同で公表する

日本銀行によると、国際収支関連統計は外国為替及び外国貿易法にもとづき、日本銀行が財務大臣から委任を受けて集計・推計し、財務省と共同で公表しています。

国際収支統計には、経常収支のほかに、海外への投資や海外からの投資の出入りを記録する「金融収支」と、債務免除などを記録する「資本移転等収支」があります。

出典:日本銀行「国際収支関連統計(IMF国際収支マニュアル第6版ベース)」

速報は対象月の2か月後に出て、その後に改訂される

国際収支統計は月次で作られ、取引が行われた月の2か月後に速報が公表されます。その後、四半期ごとの「第2次速報」や、翌年・翌々年4月の「年次改訂」で数字が見直されます。

経常収支の内訳(貿易・サービス収支、第一次所得収支、第二次所得収支)

経常収支は大きく3つ(細かくは4つ)の収支に分かれます。それぞれが何を表すのかを解説します。

貿易・サービス収支はモノとサービスの売り買いの差

貿易収支は、モノ(財貨)の輸出額から輸入額を引いたものです。一般に、原油などのエネルギー価格が上がったり、円安で円に換算した輸入額がふくらんだりすると、貿易収支は赤字になりやすくなります。

サービス収支は、輸送、旅行、金融の手数料、特許権・著作権などの使用料といったサービスの取引の差です。訪日外国人が日本で使う宿泊費や飲食費は「旅行」の受け取りに、日本人の海外旅行の費用は支払いに入ります。貿易収支とサービス収支の合計が「貿易・サービス収支」です。

第一次所得収支は海外への投資から得る利子・配当

第一次所得収支は、海外への投資から生じる利子・配当金などの収支です。財務省は主な項目として、親会社と子会社の間の配当金・利子などの「直接投資収益」、株式配当金や債券利子の「証券投資収益」、貸付や預金の利子の「その他投資収益」を挙げています。

日本の経常黒字の大部分は、この第一次所得収支の黒字が占めています。2025年度は42兆2,997億円の黒字で、経常収支(34兆6,220億円)を上回りました。

第二次所得収支は対価のないお金の受け払い

第二次所得収支は、見返りを求めない資産の提供の収支で、官民の無償資金協力、寄付、贈与の受け払いなどが記録されます。日本では支払いが受け取りを上回る赤字が続いており、2025年度は5兆2,300億円の赤字でした。

出典:財務省「用語の解説」/財務省「国際収支状況 時系列データ」/財務省「令和7年度中 国際収支状況(速報)の概要」

日本の経常黒字の推移【暦年・年度】

ここでは、財務省の時系列データから、経常収支と内訳の推移を暦年(1〜12月)と年度(4月〜翌年3月)で整理します。

2025年(暦年)の経常収支は32兆2,350億円の黒字

2025年の経常収支は32兆2,350億円の黒字で、財務省が時系列データを掲載している1996年以降で最も大きな黒字です。貿易収支は5,677億円の赤字でしたが、第一次所得収支が41兆8,201億円の黒字となりました。

暦年(単位:兆円)経常収支貿易収支サービス収支第一次所得収支第二次所得収支
2025年32.2▲0.6▲3.441.8▲5.6
2024年29.3▲2.7▲3.240.3▲5.1
2023年22.5▲6.6▲3.336.6▲4.1
2022年11.4▲15.5▲5.635.0▲2.5
2021年21.51.8▲4.226.3▲2.4
2020年16.02.8▲3.719.4▲2.6
2019年19.30.2▲1.121.6▲1.4
2018年19.51.1▲1.021.4▲2.0

※単位は兆円(億円の値を小数第1位で四捨五入)。2026年10月18日時点・財務省「国際収支総括表【暦年・半期】」より。速報公表後の改訂を反映した値で、2025年の経常収支は2026年2月9日の速報時点では31兆8,799億円でした。

2022年は経常黒字が11.4兆円まで縮みました。この年は貿易収支が15.5兆円の赤字でした。輸入額は約114.4兆円で、前年(約80.6兆円)から大きくふくらんでいます。その後は貿易赤字が縮小し、第一次所得収支の黒字が増え続けたことで、経常黒字は2023年から3年続けて拡大しています。

2025年度の経常収支は34兆6,220億円の黒字

年度で見ると、2025年度(2025年4月〜2026年3月)の経常収支は34兆6,220億円の黒字でした。財務省の速報(2026年5月13日公表)は、貿易収支が黒字に転じたこと等から経常収支の黒字幅が拡大したと説明しています。

年度(単位:兆円)経常収支貿易収支サービス収支第一次所得収支第二次所得収支
2025年度34.61.3▲3.842.3▲5.2
2024年度30.0▲3.0▲3.141.4▲5.2
2023年度26.4▲3.5▲3.237.5▲4.4
2022年度9.1▲17.9▲5.435.4▲3.0
2021年度20.1▲1.5▲4.929.0▲2.5

※単位は兆円(小数第1位で四捨五入)。2026年10月18日時点・財務省「国際収支総括表【年度・半期】」より。2025年度の経常収支は速報時点では34兆5,218億円でした。

出典:財務省「国際収支状況 時系列データ」/財務省「令和7年中 国際収支状況(速報)の概要」/財務省「令和7年度中 国際収支状況(速報)の概要」

国際収支状況の発表日と時刻【次回は11月10日8時50分】

ここでは、財務省が公表している国際収支状況の今後の公表予定を整理します。

次回(9月分速報)は2026年11月10日(火)8時50分

財務省の公表予定によると、2026年9月分の速報は2026年11月10日(火)午前8時50分に公表されます。同じ日に、2026年度上期(4〜9月)の速報と、4〜6月の地域別国際収支も公表される予定です。

公表日時(日本時間)主な公表内容
2026年11月10日(火)8時50分2026年9月分(速報)、2026年度上期(速報)、4〜6月(地域別)
2026年12月8日(火)8時50分2026年10月分(速報)
2027年1月12日(火)8時50分2026年11月分(速報)、7〜9月(第2次速報)
2027年2月8日(月)8時50分2026年12月分(速報)、2026年(暦年・速報)、7〜9月(地域別)

※2026年10月18日時点・財務省「国際収支状況」の公表予定より。予定は変更される場合があります。

前年の9月分(2025年9月)の経常収支は、改訂後の時系列データで4兆4,447億円の黒字でした。

日銀短観や消費者物価指数など、ほかの日本の指標は日銀短観の解説記事・日本の消費者物価指数(CPI)の解説記事で確認できます。米国も含めた主な指標の発表日は経済指標の発表日一覧にまとめています。日本の経済成長率は日本のGDPの解説記事で確認できます。

出典:財務省「国際収支状況」(公表予定)

円の需給・為替との関係(一般論)

ここでは、経常収支が円相場とどう関係するのかを、公的機関の資料と一般論にもとづいて解説します。

輸出や配当の受け取りは円を買う動きにつながることがある

金融先物取引業協会は、経済成長率や物価指数と並んで国際収支を為替相場の基礎的なデータ(ファンダメンタルズ)の1つに挙げています。一般に、輸出企業が受け取ったドルを円に替えれば円買い、輸入企業が代金を払うために円をドルに替えれば円売りになります。

このため、貿易赤字が大きい時期は円を売る需要が多いと見られることがあります。同協会は、ある国の貿易赤字が市場参加者の予想よりはるかに悪ければ、その国の通貨の価値が下落するかもしれないという例も示しています。

出典:金融先物取引業協会「学ぼう!FX #3 為替相場を動かす要因」

経常黒字でも円高になるとは限らない

ただし、経常収支が黒字だから円高になる、とは限りません。日本の経常黒字の中心である第一次所得収支は、海外で得た利益のすべてが円に替えられるわけではないためです。

財務省の「国際収支から見た日本経済の課題と処方箋」懇談会の報告書(2024年7月)は、第一次所得収支の黒字の多くが国内に還流せずに海外で再投資されていると指摘しています。直接投資収益のうち配当として還流されるのは約半分で、残りは海外拠点での事業拡大に充てられているとしています。

同じ報告書は、第一次所得収支の黒字が増えた背景に円安の影響もあるとしています。海外で得たドル建ての利子や配当は、円安になるほど円に換算した金額が大きくなるためです。また、家計による外国株などへの投資の増加にも触れており、こうした投資は円を外貨に替える動きになります。

出典:財務省「『国際収支から見た日本経済の課題と処方箋』懇談会 報告書」(2024年7月2日・PDF)

ドル円は金利差や他の指標とあわせて動く

ドル円は、日本の経常収支だけでなく、日米の金利差、米国の経済指標、中央銀行の政策などさまざまな材料で動きます。当記事は経常収支の結果から値動きを予想したり、売買をすすめたりするものではありません。

金利の影響は日米金利差の解説記事や政策金利の解説記事、円安・円高の基本は円安・円高の解説記事で整理しています。2026年の円安について日本銀行が貿易赤字の見方をどう書いたかは円安の理由の解説記事で確認できます。

数字を見るときと発表前後の注意点

最後に、経常収支の数字を読むときと、発表前後に取引するときの注意点を整理します。

速報値の改訂と季節の偏りに気をつける

前述の通り、速報値は第2次速報や年次改訂で見直されます(2026年6月は赤字から黒字に変わりました)。また、月ごとの数字には季節による偏りがあるため、前の月と比べるなら季節調整済みの数字、原数値(季節調整をしていない数字)なら前年同月と比べるのが基本です。

発表前後はスプレッドの広がりと急な値動きに注意する

金融先物取引業協会は、重要な経済指標が発表された直後などでレートが急変した場合に、スプレッド(売値と買値の差)が広がりやすくなると説明しています。国際収支状況の公表は日本時間の朝8時50分で、日本の株式市場が開く9時の直前です。

同協会は、相場急変時にはロスカット(損失を抑えるための強制決済)が十分に働かず、預けた証拠金を上回る損失が出る可能性があるとも説明しています。発表の前後は取引量を小さくする、新しい注文を控えるといった選択肢も考えましょう。

出典:金融先物取引業協会「学ぼう!FX #2 為替相場とは」/金融先物取引業協会「学ぼう!FX FX取引に係る主なリスク」

仕組みはスプレッドの解説・ロスカットの解説・レバレッジの解説で確認できます。

【まとめ】経常収支の最新結果と次回の発表日を確認しよう

当記事では、経常収支の最新結果、国際収支統計の仕組み、内訳の意味、暦年・年度の推移、発表日、円の需給や為替との関係、注意点をご紹介しました。2026年8月分は4兆620億円の黒字で、貿易収支は赤字、第一次所得収支は5兆1,332億円の黒字でした。次回の9月分は11月10日(火)8時50分公表予定です。

経常収支の内訳が分かると、「貿易赤字」「経常黒字」といった円相場のニュースを一歩深く読めるようになります。これからFXを始める方はFXの始め方で全体の流れを確認し、口座選びに迷ったらFXおすすめアプリ・口座10社比較も参考にしてみてください。

FX取引のリスクについて

FX(外国為替証拠金取引)は元本が保証される商品ではありません。為替相場や金利の変動により損失が生じる可能性があり、レバレッジをかけた取引では預けた証拠金を上回る損失が発生する可能性があります。取引の際は各FX会社の契約締結前交付書面等をよくお読みいただき、ご自身の判断と責任で行ってください。本記事の情報は2026年10月18日時点のものです。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

株式会社エウレカ編集部が運営するFX情報メディアの編集部です。

コメント

コメントする

目次