当記事では、ボリンジャーバンドの仕組み、計算式、±2σの意味、スクイーズ・エクスパンションの見方を中心に解説します。あわせて、逆張りと順張りの2つの使い方、注意点、ボリンジャーバンドを表示できる主なFXアプリも整理します。
ボリンジャーバンドは、移動平均線の上下に「値動きのばらつき」の幅を表示するテクニカル指標です。「±2σの間に約95%の確率で収まる」という説明をよく見かけますが、この数字には前提条件があります。
ボリンジャーバンドとは?移動平均線と値動きの幅を示す線
移動平均線の上下に標準偏差のバンドを引いた指標
ボリンジャーバンドは、米国のジョン・ボリンジャー氏が考案したテクニカル指標です。外為どっとコムは、単純移動平均線を中心として、その上下に標準偏差と呼ばれるバンドを表示するものと説明しています。
標準偏差とは、データが平均からどれくらいばらついているかを表す統計の値です。値動きが大きいほど標準偏差は大きくなり、バンドの幅も広がります。中心の移動平均線については移動平均線の見方・使い方で解説しています。
中心線と±1σ・±2σ・±3σのラインで構成される
ボリンジャーバンドは、中心の移動平均線と、その上下に標準偏差(σ:シグマ)の1倍・2倍・3倍の距離で引いたラインで構成されます。上のラインを「+1σ」「+2σ」、下のラインを「-1σ」「-2σ」のように呼びます。
| ライン | 位置 |
|---|---|
| +2σ | 移動平均+標準偏差×2 |
| +1σ | 移動平均+標準偏差 |
| 中心線 | n期間の単純移動平均 |
| -1σ | 移動平均-標準偏差 |
| -2σ | 移動平均-標準偏差×2 |
※外為どっとコム「ボリンジャーバンドとは?」の計算式をもとに作成。±3σは標準偏差×3。
バンドの幅は値動きの大きさ(ボラティリティ)を表す
外為どっとコムは、バンドが拡大していれば値動きが大きいこと、縮小していれば値動きが小さいことを示すと説明しています。価格の変動の大きさを「ボラティリティ」と呼びます。
考案者の公式サイトでは、バンドの幅を中心線で割って比べやすくした「BandWidth(バンド幅)」という指標も紹介されています。
ボリンジャーバンドの計算式と期間の設定
計算は「移動平均」と「標準偏差」の2段階
ボリンジャーバンドは、①n期間の終値の単純移動平均を求め、②同じ期間の標準偏差を求めて、③移動平均に標準偏差の1倍・2倍を足し引きするという順で計算します。外為どっとコムは、標準偏差を次の式で示しています。
標準偏差=√{(n×期間中の価格の2乗の合計-期間中の価格の合計の2乗)÷(n×(n-1))}
※外為どっとコム「ボリンジャーバンドとは?」の式(価格は通常終値)を当サイトで書き直したものです。同ページの表記ではルートが分子だけにかかるようにも読めるため、標準偏差(n-1で割る標本標準偏差)の定義に合わせて、割り算までルートの中に入れています。
ただし、計算の細部はツールによって違います。たとえば楽天証券の株式向けツール「マーケットスピード」のヘルプでは、終値ではなく高値・安値・終値の平均(ティピカル・プライス)を使って計算すると説明しています。同じ期間の設定でも、アプリが違えば線の位置が少しずれることがあります。
計算例:5本の終値でバンドを計算してみる
仕組みを確かめるため、5本分の終値で計算してみます(説明用の仮の数字です。考案者の初期設定は20期間です)。
| 項目 | 値(仮) |
|---|---|
| 5本の終値 | 150.10・150.30・150.20・150.50・150.40円 |
| 中心線(5本の単純平均) | 751.50÷5=150.30円 |
| 標準偏差(nで割る場合) | 約0.141円 |
| 標準偏差(n-1で割る場合:上の式) | 約0.158円 |
| +2σ(nで割る場合) | 150.30+0.141×2=約150.58円 |
| -2σ(nで割る場合) | 150.30-0.141×2=約150.02円 |
| +2σ(n-1で割る場合) | 150.30+0.158×2=約150.62円 |
| -2σ(n-1で割る場合) | 150.30-0.158×2=約149.98円 |
※当サイトによる仮の前提での計算です。平均からの差の2乗の合計は0.10(=0.04+0.00+0.01+0.04+0.01)で、nで割ると√0.02、n-1で割ると√0.025になります。
このように、標準偏差をnで割るかn-1で割るかでも、バンドの位置は数銭単位で変わります。アプリごとに線の位置が違って見えても、計算方法の違いによることがあります。
この点は公式の説明どうしでも異なります。考案者の公式サイトの解説ページ「Bollinger Bands」は標準偏差を母集団の計算(nで割る方法)で求めると説明していますが、外為どっとコムの式はn-1で割る形です。
考案者の初期設定は「20期間・2標準偏差」
「最強の設定」を示した公式の説明はありません。考案者の公式サイト「Bollinger Band Rules」では、移動平均と標準偏差の計算期間を20、バンドの幅を2標準偏差とするのがデフォルト(初期設定)とされています。ただし、同サイトは「あくまで初期設定であり、市場や目的によって適した値は異なりうる」としています。
同サイトは、期間を長くする場合は標準偏差の倍率を上げ(50期間なら2.1)、短くする場合は下げる(10期間なら1.9)ことも挙げています。国内のツールの初期値もさまざまで、外為どっとコムは「外貨ネクストネオ」リッチアプリ版の初期値を21、楽天証券のマーケットスピードは25日・26週・9ヵ月を採用していると案内しています。
外為どっとコムも「期間設定に迷う場合は、まずはデフォルトの設定で使ってみるとよい」としています。
「±2σに約95%」は正規分布を前提にした数字
よく見かける「±2σの間に約95%の確率で価格が収まる」という数字の意味を確認します。
データが正規分布なら±1σに約68%、±2σに約95%が入る
統計学では、データが正規分布(平均を中心に左右対称の釣り鐘型に分布する形)に従う場合、平均±1σの範囲に約68.3%、±2σの範囲に約95.4%、±3σの範囲に約99.7%のデータが入ることが知られています。
| 範囲 | データが入る割合(正規分布の場合) |
|---|---|
| ±1σ | 約68.3% |
| ±2σ | 約95.4% |
| ±3σ | 約99.7% |
※正規分布の性質から当サイトで計算(小数第2位を四捨五入)。外為どっとコムは±1σ「約68.3%」・±2σ「約95.4%」、楽天証券のヘルプは「データが正規分布している場合」に約68%・約95%と説明しています。
楽天証券のヘルプが「データが正規分布している場合」と前置きしているとおり、この割合は正規分布という前提があって初めて成り立つ数字です。
考案者は「価格は正規分布ではない」としている
考案者の公式サイトは、バンドの計算に標準偏差を使っていることを根拠に、統計的な前提を置かないようにと注意しています。理由として、証券の価格の分布は正規分布ではないこと、よく使われる期間(サンプル数)は統計的に意味のある結論を出すには小さすぎることを挙げています。
さらに同サイトは、初期設定のバンドの中に入るデータは、実際には95%ではなく90%程度であることが多いとしています。つまり「±2σを超える確率は約5%しかないから、超えたら必ず戻る」と考えるのは誤りです。±3σの約99.7%も同じ前提の数字で、目安として受け止めましょう。
出典:Bollinger Band Rules(John Bollinger公式サイト)
ボリンジャーバンドの見方|4つの形
外為どっとコムは、ボリンジャーバンドで覚えておきたい特徴的な形として、次の4つを挙げています。
| 形 | 状態 | 一般的に言われている意味 |
|---|---|---|
| スクイーズ | バンドの幅が狭くなっている | もみ合い相場・値動きが小さい |
| エクスパンション | バンドの幅が広がっている | ボラティリティが高まり、トレンド発生時に見られる |
| バンドウォーク | ローソク足が±2σに沿って並ぶ | トレンドが続いているときに見られる |
| ボージ | バンドの幅が最も広がった部分 | トレンドの終了を示唆する |
※外為どっとコム「ボリンジャーバンドとは?」をもとに作成。同ページでは、4つの形を挙げる箇所では「ボージ」、説明の見出しと本文では「ポージ」と表記しています。
見方の1つ目:スクイーズ(バンドが狭まる)
ボリンジャーバンドの見方の1つ目は「バンドが狭まっているスクイーズの状態を見る」ことです。
スクイーズは、バンドの幅が縮んで値動きが小さくなっている状態です。外為どっとコムは、スクイーズはもみ合い相場を意味し、ボラティリティが低い状態だと説明しています。考案者の公式サイトでも、バンド幅(BandWidth)の最もよく知られた使い方として「The Squeeze」を見つけることが挙げられています。
見方の2つ目:エクスパンション(バンドが広がる)
ボリンジャーバンドの見方の2つ目は「バンドが急に広がるエクスパンションを見る」ことです。
エクスパンションは、バンドの幅が広がり、ボラティリティが高まっている状態です。外為どっとコムは、エクスパンションはトレンドの発生時に見られると説明しています。スクイーズのあとに価格が±2σを超える動きの見方は、後述の順張りの使い方で紹介します。
見方の3つ目:バンドウォーク(±2σに沿って動く)
ボリンジャーバンドの見方の3つ目は「ローソク足が±2σに沿って並ぶバンドウォークを見る」ことです。
上昇トレンドでは+2σ、下降トレンドでは-2σのラインに沿ってローソク足が並ぶ傾向があるとされています。考案者の公式サイトも、トレンドのある相場では価格が上のバンドに沿って上がったり、下のバンドに沿って下がったりすることがあるとしています。
見方の4つ目:ボージ(幅が最も広がった部分)
ボリンジャーバンドの見方の4つ目は「バンドの幅が最も広がったボージを見る」ことです。
外為どっとコムは、ボージは価格の変動が最も大きいタイミングであり、トレンドの終了を示唆すると説明しています。ただし、どこが「最も広がった部分」かは、その後に幅が縮み始めるまで確かめにくい点に注意が必要です。
ボリンジャーバンドの使い方|逆張りと順張り
価格が±2σを超えたときの見方には、反対の考え方が2つあり、相場の状態によって説明が分かれています。
逆張り:もみ合い相場で±2σを「行き過ぎ」の目安にする
楽天証券の株式向けツール「マーケットスピード」のヘルプは、保ち合い相場では、+2σを抜けた(近づいた)ときに売り、-2σを割った(近づいた)ときに買いが一般的な活用法だと説明しています。保ち合い相場では株価が±2σの中で動くケースが多い、という考え方です。FXでも同じ考え方で使われることがありますが、同ヘルプは株価を前提にした説明です。保ち合いなどの値動きの形はFXのチャートパターン一覧で解説しています。
ただし、前述のとおり、±2σの中に収まる割合は正規分布を前提にした目安です。相場がもみ合いからトレンドに変わると、±2σを超えたまま進むことがあります。
順張り:スクイーズ後に±2σを抜けたらトレンドの始まりと見る
外為どっとコムは、代表的な手法として、スクイーズからエクスパンションに移り、終値が±2σを超えたら、その方向に順張りで入る方法を紹介しています。レンジの後に±2σを超えることを「ボラティリティ・ブレイクアウト」と呼び、同社はレンジ相場が終わってトレンドが発生する可能性を示唆するとしています。
考案者の公式サイトも、バンドの外で終わる終値は、最初は反転ではなく「継続」のシグナルだとしています。逆張りとは反対の見方なので、どちらの考え方で使うのかを先に決めておく必要があります。
バンドに触れただけでは売買のサインにならない
考案者の公式サイトは、上のバンドに触れること自体は売りシグナルではなく、下のバンドに触れること自体は買いシグナルではないと明記しています。バンドは価格が相対的に高いか安いかを示すもので、ほかの指標と照らし合わせて判断するものとされています。
組み合わせの例として、外為どっとコムはMACDのクロスとエクスパンションを合わせて見る方法を紹介しています。MACDの見方はMACDの見方で解説しています。
ボリンジャーバンドを使うときの注意点
±2σを抜けた後に逆に動く「ヘッドフェイク」がある
外為どっとコムは、価格が±2σのラインを超えたものの、その後逆行して逆方向のトレンドが発生するケースを「ヘッドフェイク」と呼び、ダマシの1つとして注意を促しています。
同社は対策として、ブレイクアウトの直後には入らず押し目・戻り目を待つこと、より長い時間足のトレンドの方向を確かめることなどを挙げています。ただし、どの方法でもダマシを完全に避けられるわけではありません。押し目・戻り目の目安を見る方法はフィボナッチ・リトレースメントの引き方で解説しています。
逆指値で損切りの位置を決めておく
外為どっとコムは、ヘッドフェイクが起きたときの損失を抑えるため、エントリーの際に損切りのためのストップ注文を入れておくことが重要だとしています。金融先物取引業協会も、為替相場が予想と反対に動いた場合は大きな損失が発生する可能性があると説明しています。
損切りの決め方はFXの損切りのやり方で解説しています。週明けなどに価格が飛んで逆指値が想定どおりに約定しないケースはFXの窓開けで整理しています。
ボリンジャーバンドを表示できる主なFXアプリ(2026年10月時点)
ここでは、公式サイトや操作マニュアルでボリンジャーバンドの搭載を確認できた主なFX会社のスマホアプリを紹介します。
主なFX会社のアプリとボリンジャーバンドの搭載
| FX会社(アプリ) | ボリンジャーバンド | 公式サイトでの補足 |
|---|---|---|
| DMM FX(スマホアプリ DMM FX) | あり | トレンド系。4画面チャートには表示不可(操作マニュアル) |
| GMOクリック証券(GMOクリック FXneo) | あり | 操作マニュアルでは中心線(SMA)の期間を1~188(分割チャートは1~100)、3本のバンドの倍率をそれぞれ1~3で設定可能 |
| 松井証券(松井証券 FXアプリ) | あり | メインチャートの指標として掲載 |
| 外為どっとコム(外貨ネクストネオ「GFX」) | あり | テクニカル設定から表示 |
| みんなのFX(FXトレーダー アプリ版) | あり | 操作マニュアルで、トレンド系4種類から1つを選んで表示 |
※2026年10月14日時点・各社公式サイト・操作マニュアルより。
期間・倍率の初期値と標準偏差の計算方法(nかn-1か)は、各社の公開マニュアル・ヘルプでは、外為どっとコムのリッチアプリ版(PC向け・21)以外は確認できませんでした(2026年10月14日時点)。GMOクリック証券はFAQで、算出方法などはサポート対象外としています。初期値はアプリの設定画面で確かめましょう。
DMM FXのアプリは、ボリンジャーバンドを含む11種類のテクニカル指標を使えます(4画面チャートで表示できるのは移動平均(SMA)のみ)。操作の流れはDMM FXアプリの使い方、松井証券のアプリは松井証券FXアプリの使い方で紹介しています。
高機能チャートのTradingViewを使える会社はTradingViewが使える国内FX口座で比較しています。
【まとめ】ボリンジャーバンドの見方を覚えて値動きの幅を確かめよう
当記事では、ボリンジャーバンドの仕組み、計算式と期間の設定、±2σの確率の意味、4つの形、逆張りと順張りの使い方、注意点、表示できる主なFXアプリをご紹介しました。ボリンジャーバンドは移動平均線の上下に標準偏差の幅を示した指標で、幅の広がり・狭まりから値動きの大きさの変化を読み取れます。
ただし、「±2σに約95%」は正規分布を前提にした数字で、考案者自身も実際には90%程度と述べています。バンドに触れただけで売買を決めず、損切りの位置を決めたうえで使いましょう。アプリ選びに迷ったらFXおすすめアプリ・口座10社比較も参考にしてみてください。
FX(外国為替証拠金取引)は元本が保証される商品ではありません。為替相場や金利の変動により損失が生じる可能性があり、レバレッジをかけた取引では預けた証拠金を上回る損失が発生する可能性があります。取引の際は各FX会社の契約締結前交付書面等をよくお読みいただき、ご自身の判断と責任で行ってください。本記事の情報は2026年10月14日時点のものです。
