FXのスリッページとは?起きる理由と許容スリッページの設定・各社の仕様、約定率の見方を解説

当ページのリンクには広告が含まれています。
FXのスリッページとは?起きる理由と許容スリッページの設定・各社の仕様、約定率の見方を解説

当記事では、FXのスリッページの意味、起きる理由と起きやすい場面、許容スリッページの設定と各社の仕様を中心に解説します。あわせて、有利・不利の扱いに関する金融庁のルールと、各社が公表している約定率・スリッページ実績の読み方も整理します。

スリッページとは、注文したときの価格と実際に約定した価格のずれのことです。損切りの注文が思った価格で決済されなかった、という形で表れることもあるため、仕組みと設定方法を知っておくと、注文の種類を選ぶときの判断材料になります。

目次

FXのスリッページとは?注文時の価格と約定価格のずれ

スリッページの定義

金融庁の監督指針は、スリッページを「顧客の注文時に表示されている価格又は顧客が注文時に指定した価格と約定価格との相違」としています。GMOクリック証券も、「注文した価格と実際に約定された価格の差のことを指します」と説明しています。

たとえば、画面に表示された150.000円で買い注文を出したのに、150.003円で約定した場合、0.3銭のスリッページが発生したことになります(仮のレートによる例です)。

スリッページは不利な方向にも有利な方向にも起きる

スリッページは、損をする方向だけに起きるものではありません。GMOクリック証券は、変動が大きい相場ではお客様にとって不利なレートまたは有利なレートで約定する場合があると説明しています。DMM FXも、価格差は「お客様にとって有利な場合もあれば、不利な場合もあります」としています。

スリッページが起きる理由と起きやすい場面

注文が届くまでの時間に価格が動くため

金融庁の監督指針は、スリッページは「注文の伝達に係る時間の経過等に伴い必然的に発生するもの」としています。松井証券も、成行決済注文などの説明で、発注時の画面の価格と約定価格の差は、お客様の端末と同社のシステム間、および同社のシステム内の通信に伴う時間差により発生すると説明しています。

FXの価格は常に動いているため、注文ボタンを押してから注文がFX会社のシステムに届き、約定処理されるまでのわずかな時間にも価格が変わることがあります。

起きやすいのは成行・逆指値・ロスカット

GMOクリック証券は、同社では成行注文・逆指値注文・ロスカット注文でスリッページが発生するとしています(GMOクリック証券「スリッページについて」)。いずれも「約定させること」を優先する注文です。

とくに逆指値注文は、損切りに使われることが多い注文です。DMM FXの取引説明書は、市場レートが急激かつ大きく変動した場合などに、逆指値注文で指定した価格よりも不利な価格で約定する可能性があり、意図していない損失を被ることがあるとしています。注文の種類ごとの違いはFXの注文方法で解説しています。

経済指標の発表時・週明けなど価格が急に動く場面

DMM FXの取引説明書は、逆指値注文が出ている状態で週末をまたぎ、週末のクローズレートと翌週のオープンレートに乖離がある場合に、指定した価格より不利な価格で約定する可能性があるとしています。週明けに同社が初めて配信するレートが条件を満たしている場合、原則としてそのレートで約定するためです。

経済指標の発表時など相場が急変するおそれがある場合も、価格が大きく動いたり、FX会社がレート配信を止めたりすることがあります。週明けの価格の飛びはFXの窓開けとは、発表の予定は経済指標とはで確認できます。

スリッページが損益に与える影響(計算例)

計算例1:成行・即時注文で1銭不利にずれた場合

米ドル/円を表示価格150.000円で買い注文し、150.010円で約定した場合(1銭の不利なスリッページ)の影響は次のとおりです。

取引数量スリッページによる損益への影響
1,000通貨0.01円×1,000通貨=10円の不利
1万通貨0.01円×1万通貨=100円の不利
10万通貨0.01円×10万通貨=1,000円の不利

※当サイトによる仮の前提(1銭=0.01円、スプレッドは考慮しない)での計算例です。

1回あたりの金額は小さく見えても、取引の数量や回数が多いほど影響は大きくなります。短い時間で売買を繰り返すスキャルピングでは、スプレッドとあわせて意識しておきたいコストです。

計算例2:損切りの逆指値が週明けに不利に約定した場合

150.000円で1万通貨を買い、149.500円に損切りの逆指値注文を入れていたとします。週明けの最初の価格が149.000円だった場合、逆指値注文は149.500円ではなく149.000円付近で約定する可能性があります。

約定価格損失額(1万通貨)
想定していた損切り149.500円0.5円×1万通貨=5,000円
週明けに149.000円で約定した場合149.000円1.0円×1万通貨=10,000円

※当サイトによる仮の前提での計算例です。実際の約定価格は相場の状況によって変わり、この例より大きくずれることもあります。

許容スリッページの設定と各社の仕様

許容幅を決めておき、超えたら約定させない仕組み

国内のFX会社には、成行注文などでどこまでのずれなら約定させるか(許容スリッページ・スリッページ幅)を、あらかじめ設定できる会社があります。みんなのFXは、約定を優先させる場合はスリッページ幅を広く、価格を優先させる場合はゼロもしくは狭く設定する、と説明しています。

許容幅を狭くすると、想定から離れた価格での約定は避けやすくなる一方、価格が動いたときに注文が成立しにくくなります。広くするとその逆です。決済したいときに注文が通らないと、その間に損失が広がる可能性もある点に注意しましょう。

主なFX会社の許容スリッページの仕様

許容スリッページを設定できる注文や、許容幅を超えたときの扱いは会社ごとに違います。公式サイトで確認できた内容は次のとおりです。

会社設定できる注文・範囲初期値・未設定のとき許容幅を超えたとき
DMM FX即時注文(アプリでは0~99.9pips)アプリの初期値は2.0pips(20×0.1pips)不成立。FAQの例では有利・不利に関わらず失効
GMOクリック証券成行注文・スピード注文(逆指値注文には適用されない)空欄なら設定のない注文として受付注文は成立しない。設定すると注文を受け付けられない場合がある
松井証券成行(ストリーミング)注文・スピード注文(0~999.0pips)チェックを外すと幅「0」で発注約定しない
みんなのFX成行注文など(FXトレーダーでは0~99.9pips)初期設定は1.0pips。OFFだと設定なし約定しない(「0」なら差が出ると約定しない)
外為どっとコムマーケット注文初期設定は50pips不利な方向は不成立、有利な方向は成立
SBI FXトレード2WAY注文許容範囲を設定しないと、不利な価格では失効不利な方向は失効、有利な方向は約定

※2026年10月14日時点・各社の公式サイト(FAQ・取引ルール・取引説明書・契約締結前交付書面・操作マニュアル)より。範囲の記載がない会社は範囲を省略しています。対円の1pipsは、DMM FX・松井証券・みんなのFXは1銭ですが、外為どっとコムは自社の1pipsを0.1銭と定めており、同じ数字でも幅が違います。GMOクリック証券は、取引ルールでは「許容スリッページの設定は、成行注文のみ」、FAQではスピード注文でも設定できると案内しています。外為どっとコムは「外貨ネクストネオ」の説明です。

同じ「許容幅を超えた」場合でも、有利な方向のずれを約定させるか、不成立にするかは会社によって違います。DMM FXのFAQは、米ドル/円100.000円でスリッページ1.0銭の買い注文を出した例で、約定処理時のレートが99.990円なら成立、99.989円なら失効、100.010円なら成立としています(DMM FX よくあるご質問)。一方、外為どっとコムとSBI FXトレードは、有利な方向のスリッページであれば許容範囲を超えても約定すると説明しています。

なお、DMM FXの成行注文はスリッページ幅を設定できず、新規の成行注文は株アプリ内のFX/CFD取引ツールでのみ発注できます。DMM FXのアプリでの設定の流れはDMM FXアプリでの注文のやり方、松井証券の設定画面は松井証券FXアプリの使い方で紹介しています。

スリッページの有利・不利の扱いに関するルール

顧客にだけ不利な「非対称」な扱いは金融庁の監督の対象

金融庁の監督指針は、店頭デリバティブ取引業者が顧客にとって不利となる非対称な取扱いを行っていないかを確認する点として、次のような例をあげています(金融庁「金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針」IV-3-3-4)。

  • 不利なスリッページのときは不利な価格で約定させ、有利なスリッページのときにも不利な価格で約定させること
  • 不利な価格で約定させるスリッページの範囲を、有利な価格で約定させる範囲より広く設定すること
  • 不利なスリッページのときに約定させる取引額の上限を、有利なときの上限より大きく設定すること

さらに監督指針は、非対称な扱いをしない場合でも、スリッページが発生する旨とその原因、有利・不利のいずれにも働く可能性があること、発生した場合の会社の取り扱いを、顧客に事前に十分説明しているかを確認するとしています。

金融先物取引業協会の「金融先物取引業務取扱規則」第25条の2の2第3項は、上の3つと同じ趣旨の行為を会員に禁じています。この条は2013年8月9日に新設され(既存の会員は同年11月30日まで従前の例)、協会の処分文書も非対称スリッページが禁止された2013年12月1日以降と書いています。同規則は、注文の種類別にスリッページの有無・仕組み・有利不利を取引説明書等に書くことも求めています(第25条の2の3第3項)。

協会の処分や行政処分の勧告が出た例もある

協会は2015年1月、2013年12月1日以降も一部の口座で非対称スリッページによる取引を続けていた会員に、過怠金の処分を行いました(金融先物取引業協会「会員に対する処分について」)。

また、2020年8月には、自社のシステムでスリッページが発生し得ることを認識しながら「スリッページなし(0%)」と広告したFX会社について、証券取引等監視委員会が行政処分を行うよう勧告しています(証券取引等監視委員会「検査結果に基づく勧告について」)。広告の数字だけで判断せず、取引説明書の説明もあわせて確認しましょう。

約定率・スリッページ実績の開示の読み方

約定率は「注文が成立した割合」で、条件は会社が決めている

みんなのFXとLIGHT FXは、約定率99.9%を公表しています(2026年4月1日〜4月30日の自社調査)。ただし、調査の条件は次のように決められています(みんなのFXの場合)。

  • 調査対象注文:成行注文(スリッページ設定された注文を除く)
  • 調査対象システム:FXトレーダー、Webトレーダー
  • 算出方法:「成行注文のうち約定が成立した件数」÷「成行注文数」(小数点第2位以下は切り捨て)

※みんなのFX「約定率について」より。LIGHT FXの調査対象システムはシンプルトレーダー、アドバンスドトレーダー。両社とも「本調査結果は、お取引に際して上記の約定率を保証するものではありません」としています。

調査の対象は、スリッページ幅を設定していない成行注文です。許容幅を超えると不成立になりうる「スリッページを設定した注文」は、この約定率の計算に含まれていません。

約定率は、注文が成立したかどうかの割合で、どの価格で約定したか(スリッページの大きさ)を示すものではありません。対象の注文や期間、算出方法は会社ごとに決めているため、数字だけで他社と単純に比べることはできません。

スリッページの実績を月ごとに公表している会社もある

SBI FXトレードは、2WAY注文の約定時のスリッページ幅の割合を、有利・不利に分けて月ごとに公表しています(SBI FXトレード「スリッページ実績」)。同社は、全ての注文約定のスリッページの適切性を日次でチェックしているとし、約定については「お客さまのスリッページ指定幅を超過しての約定は発生しない他、お客さまが有利となるスリッページは上限なく有利に約定致します」と説明しています。

同社は、約定処理の方式やスリッページの発生状況に関する開示義務はまだないと説明しています。一方、スプレッドについては、広告を行う場合に実績を自社のホームページで公表することが協会の規則で義務付けられています(2020年12月1日施行)。スプレッドの見方はスプレッドとはで解説しています。

SBI FXトレードのスプレッドや1通貨から取引できる点などはSBI FXトレードの評判で紹介しています。

FXのスリッページに関するよくある質問

許容スリッページを0にするとどうなる?

松井証券は幅「0」だと発注時のレートでしか約定しないとし、みんなのFXも「0」の状態で注文価格と約定価格に差が出ると約定しないとしています。外為どっとコムは、0にすると不利な方向のずれはすべて不成立、有利な方向のずれなら成立すると説明しています。

「0」と「設定なし」は意味が逆になる点にも注意しましょう。GMOクリック証券は空欄ならスリッページの設定がない注文として受け付け、みんなのFXも設定がOFFだとスリッページが設定されないとしています。

許容スリッページはどれくらいに設定すればいい?

確認した各社の公式サイトに推奨値はなく、外為どっとコムも、目安は取引金額やトレードスタイルによって異なり「一概に適正値を示すことはできません」としています。

約定を優先するなら広く、価格を優先するなら狭く設定するのが基本です。初期値のまま使う場合も、その会社の1pipsが何銭かを確かめておきましょう。たとえば外為どっとコムの初期設定50pipsは、米ドル/円では5銭です。

【まとめ】FXのスリッページは許容幅の設定と注文の選び方で備えよう

当記事では、スリッページの意味、起きる理由と場面、損益への影響の計算例、許容スリッページの設定と各社の仕様、金融庁のルール、約定率・スリッページ実績の読み方をご紹介しました。スリッページは有利にも不利にも起き、許容幅を超えたときの扱いは会社ごとに違います。

まずは使う口座で許容スリッページを設定できる注文と、その初期値を確認してみましょう。口座選びから考えたい方は、FXおすすめアプリ・口座の比較も参考にしてみてください。

FX取引のリスクについて

FX(外国為替証拠金取引)は元本が保証される商品ではありません。為替相場や金利の変動により損失が生じる可能性があり、レバレッジをかけた取引では預けた証拠金を上回る損失が発生する可能性があります。取引の際は各FX会社の契約締結前交付書面等をよくお読みいただき、ご自身の判断と責任で行ってください。本記事の情報は2026年10月14日時点のものです。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

株式会社エウレカ編集部が運営するFX情報メディアの編集部です。

目次