当記事では、FXで損失が出た年に確定申告をする理由、使う申告書と付表、申告の手順、付表の書き方、翌年以後に損失を差し引く流れを中心に解説します。あわせて、取引しなかった年や複数の会社で取引している場合の扱いも、国税庁の原文と様式をもとに整理します。
FXで損失が出た年は、FXの利益にかかる税金は発生しません。ただし、確定申告をしておくと、その損失を翌年以後3年間繰り越して、FXなどの利益から差し引けます。損失が出た年こそ、申告するかどうかで翌年以後の税金が変わる可能性があるため、手続きを確認しておきましょう。
FXで損失が出た年に確定申告をする理由
FXの損失は給与などほかの所得とは相殺できない
国税庁 No.1521によると、FXの損失はほかの「先物取引に係る雑所得等」の金額との損益通算は可能ですが、「先物取引に係る雑所得等」以外の所得の金額との損益通算はできません。そのため、FXで損をしても、給与から差し引かれた所得税が戻ってくることはありません。
損益通算できる範囲や税率の内訳は、FXの税金の解説記事で詳しく整理しています。
申告すれば損失を翌年以後3年間繰り越せる
一方で、引ききれない損失は翌年以後3年間にわたり繰り越し、その年の「先物取引に係る雑所得等」の金額から差し引くことができます(国税庁 No.1523)。これを「先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除」といいます。
繰越控除を受けるには、損失が生じた年分から確定申告をすることが条件です。松井証券も、損失の年は「原則として確定申告は不要です。ただし、損失を繰り越す場合(損失の繰越控除)、確定申告が必要です。」と案内しています。DMM FXも、損失が発生した年について確定申告を行い、その後も継続して確定申告が必要と説明しています。
繰越控除を使った場合と使わない場合の差(計算例)
たとえば、2026年(令和8年分)にFXで50万円の損失、2027年(令和9年分)に50万円の利益が出たとします。2026年分で損失を申告して繰り越していれば、2027年分のFXの所得は0円になり、FXの所得にかかる税金は発生しません。
| ケース | 2027年分のFXの所得 | FXの所得にかかる税額(単純計算) |
|---|---|---|
| 2026年分で損失を申告して繰り越した(2027年分も付表を添付して申告) | 50万円−50万円=0円 | 0円 |
| 2026年分で損失を申告しなかった | 50万円 | 101,575円(50万円×20.315%) |
※当サイトによる単純計算です(端数処理前)。経費やほかの「先物取引に係る雑所得等」はないものとしています。令和9年分以後は復興特別所得税1.1%+防衛特別所得税1%に変わりますが、合計の税率は当サイトの計算で20.315%です(国税庁 No.1522)
このように、損失の年の申告は翌年以後に利益が出たときの税金に関わります。FXは相場の変動によって翌年以後も損失が続く可能性がある取引のため、利益が出ることを前提にせず、申告の手間と照らして判断しましょう。
FXの損失の確定申告で使う申告書と付表
国税庁の「先物取引に係る雑所得等の説明書」(令和7年分)では、繰越控除を受ける場合に使用する申告書は原則として、申告書第一表、第二表及び第三表(分離課税用)としています。損失の年に用意するものは次のとおりです。
| 書類 | 損失の年に使う理由 |
|---|---|
| 確定申告書 第一表・第二表 | 申告書の本体(給与などの所得もここに書く) |
| 申告書第三表(分離課税用) | 申告分離課税の先物取引の雑所得等がある方が使う。繰り越す損失の金額を書く欄がある |
| 先物取引に係る雑所得等の金額の計算明細書 | FXの損益を決済ごと・合計で計算する(確定申告書に添付) |
| 申告書付表(先物取引に係る繰越損失用) | 翌年以後に繰り越す損失の金額を計算する(確定申告書に添付) |
※国税庁 No.1522・No.1523、「申告書・申告書付表と税額計算書等 一覧(申告所得税)」、「先物取引に係る雑所得等の説明書」(令和7年分)より作成
付表は「繰り越す損失がある年」に使う書類
申告書付表(先物取引に係る繰越損失用)の冒頭には、前年から繰り越された損失を本年分から控除する場合や、翌年以後に繰り越される前2年分及び本年分に生じた損失の金額がある場合に使用しますと書かれています(要約)。損失が出た年だけでなく、繰り越した損失が残っている年にも使う書類です。
国税庁の様式一覧でも、この付表は「「先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除」の適用を受ける方が本年分に生じた先物取引の差金等決済に係る損失の金額を翌年以後に繰り越す場合に使用します。」と説明されています。
>>申告書付表(先物取引に係る繰越損失用)(国税庁・PDF)
第四表(損失申告用)を使うのは一定の場合だけ
同じ説明書では、次のいずれかに当てはまる場合は、第三表ではなく、申告書第一表、第二表及び第四表(損失申告用)を使用するとしています。
- その年分の先物取引に係る雑所得等以外の所得金額が赤字の場合
- 雑損控除額をその年分の所得金額から控除すると赤字になる場合
- 先物取引の差金等決済に係る損失以外の繰越損失額をその年分の所得金額から控除すると赤字になる場合
給与所得のある会社員で、FXだけが損失になった方は、上の3つに当たらなければ原則どおり第三表を使う形です。どちらを使うか迷う場合は、作成コーナーの案内に沿って入力するか、所轄の税務署で確認しましょう。
FXの損失の確定申告のやり方(5ステップ)
ここでは、損失が出た年に、損失を翌年以後へ繰り越すための申告の流れを解説します。e-Taxの準備やマイナンバーカードの使い方は、FXの確定申告のやり方で解説しているので、あわせて確認してください。
手順1:すべてのFX会社の年間損益を集める
まずは、口座を持っているすべてのFX会社の年間の報告書で、1年間の損益を確認します。FXの損益はほかの「先物取引に係る雑所得等」と通算できるため、A社で損失、B社で利益が出た年は合計した金額で考えます(国税庁 No.1521)。
各社の報告書の名前や取り出し方は、FXの年間取引報告書の見方とダウンロードで紹介しています。
なお、確定申告をする年は、副業などの20万円以下の所得もあわせて申告する必要があります。国税庁は、20万円以下の規定は確定申告を要しない場合を定めたもので、確定申告を行う場合にも20万円以下の所得を申告しなくてよいという規定ではないとしています(No.1900 Q&A)。
手順2:計算明細書に損失を記入する
次に、「先物取引に係る雑所得等の金額の計算明細書」を作ります。国税庁の記載例では、「差金等決済に係る利益又は損失の額」(①)に確定した損失の額を記載し、損失は赤書き(△印)にするとしています。「種類」欄には「為替証拠金米ドル/円」のように記載する例が示されています。
記載例によると、合計の「所得金額」(⑫)が赤字の場合は、申告書第三表(分離課税用)の「所得金額」欄に「0」と書くよう案内されています。また、⑫の合計額が赤字で、その赤字を翌年以降に繰り越す場合は、申告書付表もあわせて作成するよう記載されています。
手順3:申告書付表で繰り越す損失を計算する
申告書付表(先物取引に係る繰越損失用)の「1 先物取引に係る雑所得等の金額」の①には、計算明細書の「合計」欄の⑫の金額を転記します。損失の年は、ここが赤字になります。
そのうえで、付表の「3 申告書への記載事項」で、①が赤字の場合の欄(⑰「翌年以後に繰り越される先物取引に係る損失の金額」)を計算します。具体的な書き方は、次の「付表の書き方」で解説します。
手順4:申告書第三表に転記する
付表の⑰の金額は、申告書第三表(分離課税用)の「その他」欄の「99」の欄(先物取引の「翌年以後に繰り越される損失の金額」)に転記します。付表の注記では、あわせて第三表の「所得金額」欄の「75」の欄(先物取引)と「その他」欄の「98」の欄(本年分の75から差し引く繰越損失額)に「0」を書くよう案内しています。
あわせて、計算明細書の「合計」欄の④(収入金額の計)は、第三表の「収入金額」欄の「ト」(先物取引)に転記します(計算明細書の記載例)。
※欄の番号は申告書第三表(令和7年分以降用)・付表(07.11版)の様式によるものです(様式では丸囲みの数字)。第四表を使う場合は転記先が異なります。年分によって様式が変わることがあるため、提出する年分の様式で確認してください
手順5:期限までに提出し、控えを保存する
国税庁の確定申告書等作成コーナーでは、金額等を入力することで、申告書付表と計算明細書も自動的に作成されます(作成コーナー よくある質問)。FXは、「申告する所得の選択等」画面で「先物取引」を選び、「収入・所得の入力」画面の「先物取引に係る雑所得等」から入力するよう案内されています(同・令和7年分)。手書きで様式を埋めるのが不安な方は、作成コーナーを使うと計算の誤りを防ぎやすいでしょう。
確定申告の期間は、原則として翌年2月16日から3月15日までです(国税庁 No.2020)。提出した申告書と付表の控え(e-Taxなら作成したデータ)は、翌年以後の付表を作るときに使うため、必ず保存しておきましょう。
申告書付表(先物取引に係る繰越損失用)の書き方【記入例】
付表は、「1 先物取引に係る雑所得等の金額」「2 翌年以後に繰り越される先物取引に係る損失の計算」「3 申告書への記載事項」の3つのブロックでできています。ここでは、損失の年に使う欄を中心に整理します。
損失の年に使う主な欄
| 欄 | 内容(様式の記載より) |
|---|---|
| ① | 本年分の先物取引に係る雑所得等の金額(計算明細書の「合計」欄の⑫を転記) |
| 2の表(A〜C) | 3年前・2年前・前年に生じた損失の金額と、本年分で差し引く金額を計算する。右端の④・⑧・⑫は差引金額(④=①−③、⑧=④−⑥、⑫=⑧−⑩) |
| ⑬ | 先物取引に係る雑所得等の金額の差引金額又は損失額(付表の2の表の⑫の金額。計算明細書の⑫とは別の欄。赤字のときは△を付けないで書く) |
| ⑭〜⑯ | ①が黒字(0を含む)の場合に使う。⑭=①、⑮=本年分の所得から差し引く損失額(①−⑬)、⑯=翌年以後に繰り越される損失の金額(⑦+⑪) |
| ⑰ | ①が赤字の場合の「翌年以後に繰り越される先物取引に係る損失の金額」(⑦+⑪+⑬) |
※国税庁「申告書付表(先物取引に係る繰越損失用)」(07.11版)の様式より作成
記入例:前年以前の損失がなく、本年に50万円の損失が出た場合
前年以前から繰り越した損失がない方が、本年に50万円の損失を出した場合を考えます(手数料等の経費はないものとします)。当サイトが様式の計算式どおりに当てはめると、①は△500,000円、⑬と⑰は500,000円になります。
| 欄 | 記入する金額 | 考え方 |
|---|---|---|
| ① | △500,000円 | 計算明細書の合計⑫(赤字)を転記 |
| 2の表(A〜C) | ②③⑤⑥⑨⑩は0、⑫は△500,000円 | 前年以前の損失がないため差し引く金額は0。④=①−③、⑧=④−⑥、⑫=⑧−⑩をたどると⑫は①と同じ金額 |
| ⑬ | 500,000円 | 付表の⑫の金額。赤字のときは△を付けない |
| ⑰ | 500,000円 | ⑦+⑪+⑬(⑦と⑪は0) |
| 第三表「収入金額」のトの欄 | △500,000円 | 計算明細書の合計④(経費がないため⑫と同じ金額)を転記 |
| 第三表「その他」の99の欄 | 500,000円 | 付表の⑰を転記 |
| 第三表「所得金額」の75の欄・「その他」の98の欄 | 0 | 付表の注記に従って「0」と書く |
※当サイトが様式の計算式に当てはめた記入例です。実際の申告では、作成コーナーで作成するか、所轄の税務署で確認してください
前年以前の損失も残っている場合
前年以前にも損失がある場合は、2の表のA(3年前)・B(2年前)・C(前年)の各行に、前年の付表の金額を書き写して計算します。様式では、Aの②は「前年の付表の⑦の金額」、Bの⑤は「前年の付表の⑪の金額」、Cの⑨は「前年の付表の①が赤字の場合に、その赤字の金額を△を付けずに」書くよう指示されています。
このとき、⑰は⑦+⑪+⑬で計算します。⑦は2年前、⑪は前年に生じた損失のうち本年分で差し引ききれなかった金額で、3年前の損失には翌年以後に繰り越す欄がありません(翌年以後3年間の繰り越しのため)。前年の付表の控えがないと計算できないため、毎年保存しておきましょう。
>>先物取引に係る雑所得等の説明書(令和7年分・国税庁PDF)
翌年以後に繰り越した損失を差し引く流れ
損失が残っている間は毎年連続して申告する
国税庁 No.1523では、繰越控除を受けるための手続きとして、損失が生じた年分の申告に加えて、「その後において連続して上記の申告書付表を添付した確定申告書を提出すること」を挙げています。損失の年だけ申告して翌年に申告しなかった場合、繰越控除の要件を満たさなくなるおそれがあります。
さらに、繰越控除を受けようとする年分も、付表と計算明細書を添付した確定申告書を提出する必要があります。
>>No.1523 先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除(国税庁)
差し引くのは古い年の損失から
前年以前3年内の2つ以上の年に損失がある場合は、最も古い年分に生じた損失の金額から順に差し引きます(国税庁 No.1523)。また、雑損失の繰越控除もある場合は、先物取引の損失の繰越控除を行った後に雑損失の繰越控除を行います。
3年間の流れの例
2026年(令和8年分)に50万円の損失が出て、翌年以後に利益が出た場合の流れを、単純な数字で示すと次のとおりです。
| 年分 | その年のFXの損益 | 差し引く繰越損失 | FXの所得 | 翌年以後に繰り越す損失 |
|---|---|---|---|---|
| 2026年(令和8年分) | △50万円 | — | 0円 | 50万円 |
| 2027年(令和9年分) | 20万円 | 20万円 | 0円 | 30万円 |
| 2028年(令和10年分) | 40万円 | 30万円 | 10万円 | 0円 |
※当サイトによる単純計算の例です。経費・ほかの先物取引の損益はないものとしています。2026年分の損失を差し引けるのは、翌年以後3年間(2027年〜2029年分)です
この例では、2028年分のFXの所得10万円に税金がかかります。2029年分までに差し引ききれなかった2026年分の損失は、それ以上は繰り越せない点に注意しましょう(翌年以後3年間の繰り越しのため)。
黒字の年の付表と第三表の書き方(記入例)
繰り越した損失を差し引く黒字の年は、付表の⑭・⑮・⑯の金額を申告書第三表に転記します(「先物取引に係る雑所得等の説明書」)。様式の矢印では、⑭は第三表「所得金額」欄の75、⑮は「その他」欄の98(本年分の75から差し引く繰越損失額)、⑯は「その他」欄の99(翌年以後に繰り越される損失の金額)に転記するよう示されています。上の例の2027年分(利益20万円)を、当サイトが様式の計算式に当てはめると次のとおりです。
| 欄 | 記入する金額 | 考え方 |
|---|---|---|
| ① | 200,000円 | 計算明細書の合計⑫を転記 |
| A・Bの行(②③⑤⑥⑦) | 0、④と⑧は200,000円 | 3年前・2年前の損失がないため差し引く金額は0 |
| Cの⑨ | 500,000円 | 前年(2026年分)の付表の①の赤字を△を付けずに書き写す |
| Cの⑩ | 200,000円 | ⑧と⑨のいずれか低い方 |
| Cの⑪ | 300,000円 | ⑨−⑩(前年の損失のうち差し引ききれなかった金額) |
| ⑫・⑬ | 0 | ⑧−⑩ |
| ⑭ | 200,000円 | ①の金額 → 第三表「所得金額」の75の欄へ |
| ⑮ | 200,000円 | ①−⑬ → 第三表「その他」の98の欄へ |
| ⑯ | 300,000円 | ⑦+⑪ → 第三表「その他」の99の欄へ |
※当サイトが様式(07.11版)の計算式に当てはめた記入例です。経費・ほかの先物取引の損益はないものとしています。実際の申告では、作成コーナーで作成するか、所轄の税務署で確認してください
翌2028年分(利益40万円)は、2026年分の損失が「2年前」になるため、前年の付表の⑪(300,000円)をBの行の⑤に書き写します。⑥は300,000円、⑦は0円、⑬は100,000円となり、⑭400,000円・⑮300,000円・⑯0円を第三表に転記します。差し引いたあとの100,000円に税金がかかる計算です。
FXの損失の確定申告に関するよくある質問
損失を繰り越している間、FXの取引をしなかった年も申告が必要?
付表の冒頭には、翌年以後に繰り越される前2年分及び本年分に生じた損失の金額がある場合に使用しますと書かれています。また、No.1523は「その後において連続して」付表を添付した確定申告書を提出することを求めています。
そのため、取引をしなかった年でも、繰り越す損失が残っていれば付表を添付した確定申告書を提出します。租税特別措置法第41条の15第5項は、ほかに確定申告をする必要がない年でも、繰越控除を受けるために損失の申告書(所得税法第123条の確定損失申告書)を提出できると定めています。GMOクリック証券も「損失を繰り越す期間中は、取引の有無にかかわらず毎年確定申告を行う必要がございます」と案内しています。
付表の様式では、⑭〜⑯は「①が黒字の場合(0の場合も含みます。)」に使う欄です。取引がない年は①が0になるため、前年の付表の金額を2の表に書き写し、⑯(翌年以後に繰り越される損失の金額)を第三表「その他」の99の欄に転記する形になります。たとえば2026年分に50万円の損失があり2027年に取引しなかった場合、当サイトが様式の計算式に当てはめると、Cの⑨と⑪が500,000円、⑭・⑮は0、⑯は500,000円です。
なお、取引のない年に計算明細書を添付する必要があるかは、様式・記載例・説明書には記載がありません(2026年10月14日時点)。作成コーナーの案内に沿って作成するか、所轄の税務署で確認しましょう。取引がない年があっても、損失を繰り越せる期間(翌年以後3年間)は延びません。
損失の年に申告し忘れた場合はどうなる?
条文では、繰越控除の要件になっている「確定申告書」に期限後申告書も含まれると定められています(租税特別措置法第41条の15第3項・第2条第1項第10号、所得税法第2条第1項第37号「当該申告書に係る期限後申告書を含む。」)。損失の申告書(確定損失申告書)を出せる人も、期限後に提出できます(国税通則法第18条)。そのため、所得税では、申告を忘れた損失の年分をあとから申告し、その後の年分も連続して申告していれば、繰越控除の対象になると読めます。
ただし、次の2点に注意が必要です。
- 損失を書かずに申告した場合:作成コーナーでは、当初の申告に繰り越す損失がないと、更正の請求・修正申告で入力してもエラーになります。令和5年分の説明では「当初の確定申告書に記載されていることが適用の条件」とされています(エラーコードSSAJ020-SUE040・旧TA-E99058)
- 住民税:住民税の繰越控除は、遅くとも納税通知書(給与天引きの方は特別徴収税額の決定通知書)が届くまでに申告書を出す必要があります(次の質問で解説)
国税庁のタックスアンサーには期限後申告の場合に直接触れた説明がないため(2026年10月14日時点)、実際に申告する前に、所轄の税務署で確認しましょう。
住民税でもFXの損失は繰り越せる?
住民税(道府県民税・市町村民税)にも、先物取引の損失を翌年度以後3年間繰り越す仕組みがあります(地方税法附則第35条の4の2)。所得税の確定申告書を提出すると、住民税の申告書を提出したものとみなされるため(地方税法第45条の3・第317条の3)、確定申告をしていれば、別に住民税の申告をする必要は原則ありません。
ただし、住民税の繰越控除は、損失の年の申告書を、遅くともその年度の納税通知書が送達される時までに提出し、その後も連続して提出していることが条件です。条文上、損失の年の申告書を期限後に出す場合、送達時までの提出が認められるのは市町村長がやむを得ない事情があると認めるときです(同附則)。堺市・岡崎市・加古川市はいずれも、納税通知書(特別徴収税額決定通知書を含む)が届くまでに提出するよう案内しており、加古川市は「送達後に申告をしても住民税では損失額の適用をすることはできません」としています。取引がなかった年に損失を繰り越すためだけの申告も、同じ期限で必要です(岡崎市・加古川市)。
扱いの詳細は、お住まいの市区町村の住民税の担当課で確認しましょう。
FXの損失は株式の利益と相殺できる?
できません。FXの損失と損益通算できるのは、ほかの「先物取引に係る雑所得等」の金額に限られます(国税庁 No.1521)。株式等の譲渡所得は「先物取引に係る雑所得等」に含まれないため、株式の利益とは相殺できません。繰越控除で差し引ける相手も、翌年以後の「先物取引に係る雑所得等」の金額です。NISAとの違いはFXはNISAでできる?で整理しています。
海外のFX業者で出た損失も繰り越せる?
国税庁 No.1521では、市場デリバティブ取引にも店頭デリバティブ取引(第一種金融商品取引業者・登録金融機関を相手方とするもの)にも当たらない取引は、一般的に雑所得として総合課税の対象となり、「先物取引に係る雑所得等」との損益通算もできないとしています。No.1523の繰越控除は「先物取引に係る雑所得等」の損失が対象のため、扱いが異なります。
金融庁は、FXは登録を受けた業者でなければ行うことができないとして、無登録業者からの勧誘に注意を呼びかけています。無登録業者の見分け方はFX詐欺の見分け方で解説しています。
【まとめ】FXで損失が出た年も確定申告で損失を繰り越そう
当記事では、FXで損失が出た年に確定申告をする理由、使う申告書と付表、5ステップの申告手順、付表の書き方、翌年以後に損失を差し引く流れをご紹介しました。FXの損失は給与などとは相殺できませんが、損失の年から付表を添付して申告を続ければ、翌年以後3年間のFXなどの利益から差し引けます。付表の控えは翌年の計算に使うため、毎年保存しておきましょう。
損失が続くと、税金以前に資金そのものが減ってしまいます。取引を続ける場合は、DMM FXアプリでの損切りの設定方法などを参考に、1回の損失の上限を決めておくことが大切です。取引の練習からやり直したい方は、FXデモトレードができるアプリも参考にしてみてください。
少ない資金・小さな取引単位で取引できる口座は、FXを少額で始めるおすすめ口座で比較しています。
FX(外国為替証拠金取引)は元本が保証される商品ではありません。為替相場や金利の変動により損失が生じる可能性があり、レバレッジをかけた取引では預けた証拠金を上回る損失が発生する可能性があります。取引の際は各FX会社の契約締結前交付書面等をよくお読みいただき、ご自身の判断と責任で行ってください。本記事の情報は2026年10月14日時点のものです。
