最終更新:2026年10月28日
オーストラリア準備銀行(RBA)のミシェル・ブロック総裁は2026年10月28日、議会の上院委員会での冒頭陳述でインフレ(物価の上昇)は最近、前年比3.5〜4%程度で推移しており、しばらく高止まりする可能性が高いとの見方を示しました。8月の金融政策報告(RBAが年4回公表する経済・物価の見通し)で示した見通しよりも、インフレが高くなる可能性が高いとも述べています。
同じ日には、オーストラリア統計局(ABS)が9月の消費者物価指数(CPI)を公表し、前年比の上昇率は4.3%と8月の4.0%から高まりました。当記事では、RBAが公表した冒頭陳述とABSの公表資料をもとに、発言の要点と物価の結果、これまでの流れ、豪ドルとの関係、11月の会合までの予定をまとめます。
RBAブロック総裁の発言の要点(2026年10月28日・上院経済法制委員会)
RBAによると、ブロック総裁は上院経済法制委員会の予算見積もりの追加審査(Supplementary Budget Estimates。議会が政府機関の運営について質問する定例の公聴会)にビデオ会議で出席しました。RBAのサイトに掲載された冒頭陳述のうち、金融政策に関わる主な内容をまとめると次のとおりです。
| テーマ | 発言の内容(当サイトで要約) |
|---|---|
| 前回の公聴会以降の決定 | 政策金利(キャッシュレート目標)を0.25%引き上げ、2026年の引き上げ幅は合計1.00%になった |
| インフレの現状 | インフレは2025年後半に高まり、それ以降は目標(2〜3%)を上回っている。最近は前年比3.5〜4%程度 |
| インフレの見通し | 国内の需給のひっ迫と、中東情勢などによる世界的なコスト上昇の両方から、インフレはしばらく高止まりする可能性が高い |
| 8月の見通しとの比較 | 8月の見通しでは、インフレが目標の中間付近に戻るのは2027年後半としていた。その後、国内外の上振れリスクの一部が現実になっている、または現実になりつつあり、インフレは8月の基本シナリオより高くなる可能性が高い |
| エネルギー価格・インフレ期待 | 世界のエネルギー価格は8月の見通しで想定したよりかなり高い。短期のインフレ期待(人々が予想する将来の物価上昇率)も高い水準にある |
| 労働市場 | 失業率は想定よりやや大きく上昇した。一方で、労働市場はこれまでの判断より少し引き締まっているようにも見える |
| 次の会合 | 理事会は来週開かれる。これまでの引き締めでインフレが妥当な期間内に目標に戻るのに十分かが重要な論点になる |
出典:RBA「Opening Statement to the Senate Economics Legislation Committee」(2026年10月28日)
表の内容は、英語の冒頭陳述を当サイトで日本語にして要約したものです。
「これまでの引き締めで十分か」が11月の会合の論点
今回の冒頭陳述では、来週の会合についても説明しています。ブロック総裁は、理事会ではデータの流れとリスクの広がり方についての評価を議論するとしたうえで、「これまでの金融引き締めが、妥当な期間内にインフレを目標に戻すのに十分かどうか」が重要な問いだと述べました(金融引き締めは、政策金利を上げるなどして物価の上昇を抑えること。原文:A key question is whether the tightening in monetary policy to date will be sufficient to bring inflation back to target in a reasonable time.)。
一方で、会合で何を決めるかは示していません。冒頭陳述では、金利の上昇が住宅ローンを抱える家計などの負担になっていることにも触れ、厳しい状況にある人への理解を示しています。また、金融政策は住宅価格を目標にしていないとも説明しました。
冒頭陳述では、「高インフレが続くことを許すことはできない」とも述べています(原文:But we can’t allow high inflation to persist.)。
同じ日に公表された豪州の消費者物価指数(9月・7〜9月期)
ABSは10月28日の日本時間9時30分(現地時間11時30分)、9月の消費者物価指数を公表しました。オーストラリアの消費者物価指数は月次が中心の統計になっており、四半期の数値は3か月ごとの公表で追加されます。主な数値は次のとおりです。
| 項目 | 結果 | 前回 |
|---|---|---|
| CPI(9月・前年比) | 4.3% | 4.0%(8月) |
| CPI(9月・前月比) | 0.8%(季節調整済みは0.6%) | 0.4%(8月) |
| トリム平均(9月・前年比) | 3.6% | 3.5%(8月・改定後) |
| 加重中央値(9月・前年比) | 3.4% | - |
| CPI(7〜9月期・前期比) | 1.3% | - |
| トリム平均(7〜9月期・前期比) | 1.0% | - |
※トリム平均は、値動きの大きい品目を上下から一定の割合で除いて計算する物価の指標、加重中央値は品目を値上がり率の順に並べたときに真ん中にあたる値上がり率で、どちらも物価の基調(一時的な要因を除いた流れ)をみる指標です。7〜9月期のトリム平均の前期比は、ABSが示す2025年10月より前の計算方法による数値です。8月のトリム平均の前年比は、前回の公表時は3.6%でしたが、季節調整の見直しで3.5%に改定されました。
出典:オーストラリア統計局「CPI rose 4.3% in the year to September 2026」(2026年10月28日)/オーストラリア統計局「Consumer Price Index, Australia, September 2026」
上昇の中心は住宅と交通(ガソリン)
ABSによると、9月の前年比の上昇に最も大きく寄与したのは住宅で、前年比5.2%の上昇でした。このうち電気代は12.8%上がり、政府の電気代補助の終了が主な理由とされています。次に大きかったのは交通で、前年比8.7%の上昇でした。世界の原油価格の上昇を受けて自動車燃料は前年比23.6%上がり、9月の1か月だけでも9.4%上がっています。
自動車燃料の値上がりには、ブロック総裁が冒頭陳述で触れた世界のエネルギー価格の高さが表れています。一方で、電気代の上昇は主に政府の補助の終了によるものとABSは説明しています。
背景:RBAは2026年に4回の利上げ、9月に4.60%へ
RBAは2026年9月29日、政策金利を0.25%引き上げて4.60%にすることを決めました。2026年の利上げは2月・3月・5月・9月の4回で、合計1.00%の引き上げです。ブロック総裁が冒頭陳述で触れた「前回の公聴会以降の0.25%の引き上げ」は、この9月の決定を指します。
出典:RBA「Statement by the Monetary Policy Board: Monetary Policy Decision」(2026年9月29日)/RBA「Cash Rate Target」
10月21日には、ハウザー副総裁がインフレの見通しは8月より大幅に悪化しているとの認識を示していました(くわしくはRBA副総裁が物価見通し悪化を指摘(10月21日))。今回の総裁の冒頭陳述も、インフレが8月の基本シナリオより高くなる可能性が高いという点で、同じ方向の認識を示した内容です。11月の会合では、経済・物価の新しい見通し(金融政策報告)も公表される予定です。
RBAのこれまでの決定の一覧と会合日程は豪ドルの政策金利(RBAの最新決定と会合日程)にまとめています。同じ28日に結果が出たニュージーランドについてはNZドルの政策金利(RBNZの最新決定)で確認できます。
為替(豪ドル)との関係
報道によると、10月28日の東京市場では、物価の公表の前から豪ドルが買われていましたが、公表後は買いの勢いが弱まりました。豪ドル円は111円35銭前後まで上昇したあと伸び悩んだと伝えられています。同じ日の午前にはニュージーランド準備銀行(RBNZ)が政策金利の据え置きを決め、NZドルが急落したことも、豪ドルの重しになったと報じられています。
出典:みんかぶFX「NZドルが急落、豪CPI後の豪ドルも伸び悩み=東京為替前場概況」(2026年10月28日)
金融先物取引業協会は、インフレになった国は金利を引き上げようとし、金利が上がった通貨に買いが集まることが考えられると説明しています。2026年10月28日時点で、オーストラリアの政策金利は4.60%、日本の政策金利は1.25%程度です。ただし、金利差だけで相場が決まるわけではありません。金利と為替の関係は政策金利とはで解説しています。
また、物価の数字が高く出たり、中央銀行のトップが物価への警戒を示したりしても、その通貨が上がり続けるとは限りません。結果が市場の予想どおりであれば反応が小さいこともあり、豪ドル円は日本側の金融政策や世界の市場心理でも動きます。今回の発言や物価の結果を受けて相場がどちらに動くかは、当サイトでは予想しません。豪ドル円のスワップポイントの仕組みはスワップポイントとはで確認できます。
出典:金融先物取引業協会「学ぼう!FX 為替相場を動かす要因」
次の予定(日本時間)
RBAの次の決定は11月3日(火)12時30分の予定で、新しい金融政策報告も同時に公表されます。その前に、米国・ユーロ圏・日本の中央銀行の決定が続きます。
| 日付(日本時間) | イベント | 内容 |
|---|---|---|
| 10月29日(木)3時 | FOMCの結果 | 米国の政策金利の決定(10月27日・28日開催) |
| 10月29日(木)22時15分 | ECB理事会の結果 | ユーロ圏の政策金利の決定 |
| 10月30日(金) | 日銀会合の結果 | 日本の政策金利の決定(10月29日・30日開催) |
| 11月3日(火)12時30分 | RBAの結果 | オーストラリアの政策金利の決定と金融政策報告(11月2日・3日開催) |
※2026年10月28日時点の各公表元の予定。日時は変わることがあるため、直前に公式サイトで確認してください。11月3日は日本の祝日(文化の日)のため、FXの取引時間もあわせて確認しておきましょう。
出典:RBA「Board Meeting Schedules」/FRB「Meeting calendars」/ECB「Meetings of the Governing Council and the General Council」/日本銀行「金融政策決定会合の運営」
注意点
中央銀行のトップの発言や物価指標の発表、政策金利の決定の前後は、相場が短い時間で大きく動き、スプレッド(買値と売値の差)が広がりやすいことがあります。急な値動きではロスカットが間に合わず、預けた証拠金を上回る損失が出る場合もあるため、取引量を抑える・損切りの注文を入れておくといったリスク管理が一般的です。くわしくはスプレッドとはとロスカットとはで解説しています。
証拠金を上回る損失の可能性についての出典:金融先物取引業協会「FX取引に係る主なリスク」
【まとめ】RBAブロック総裁はインフレの高止まりを指摘、9月のCPIは前年比4.3%
当記事では、2026年10月28日のRBAブロック総裁の議会での冒頭陳述と、同じ日に公表されたオーストラリアの消費者物価指数をご紹介しました。ブロック総裁は、インフレはしばらく高止まりする可能性が高く、8月の見通しより高くなる可能性が高いとの認識を示し、これまでの引き締めで十分かが来週の会合の論点になると述べました。9月のCPIは前年比4.3%で、8月の4.0%から高まっています。
RBAの次の決定は11月3日です。結果が出たら豪ドルの政策金利(RBAの最新決定)を更新します。FXをこれから始める方はFXの始め方から確認し、アプリ選びに迷ったらFXおすすめアプリ・口座10社比較も参考にしてみてください。
FX(外国為替証拠金取引)は元本が保証される商品ではありません。為替相場や金利の変動により損失が生じる可能性があり、レバレッジをかけた取引では預けた証拠金を上回る損失が発生する可能性があります。取引の際は各FX会社の契約締結前交付書面等をよくお読みいただき、ご自身の判断と責任で行ってください。本記事は情報提供を目的としたもので、特定の通貨の売買をすすめるものではありません。本記事の情報は2026年10月28日時点のものです。

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