FXのpips(ピップス)とは、為替レートの値動きの幅を表す単位です。当記事では、pipsの意味と通貨ペアによる単位の違い、pipsと円の換算、pipsを使った損益の計算方法を中心に解説します。あわせて、スプレッドのpips表記の読み方も整理します。
pipsが分かると、「20pips動いたらいくらの損益か」「スプレッド0.3pipsはいくらのコストか」を自分で計算できます。通貨ペアによって単位の大きさが違うため、計算例で順番に確認していきましょう。
FXのpipsとは?値動きの幅を表す単位
pipsは「レートがどれだけ動いたか」を数える単位
pipsは、為替レートが動いた幅を、通貨ペアごとに決まった小さな単位で数えたものです。たとえば「ユーロ/米ドルが20pips上がった」のように、値動きの大きさを表すときに使います。
円を含まない通貨ペアでは、値動きを円や銭で表せません。そこで、どの通貨ペアでも同じように値動きを数えられる単位としてpipsが使われています。
pipsの定義はFX会社の表記で確認する
pipsには、金融庁や金融先物取引業協会が定めた共通の定義は見当たりません。そのため、1pipsがいくつにあたるかは、利用するFX会社の公式表記で確認するのが確実です。当記事では、各社の公式サイトに書かれている表記をもとに解説します。
用語全体の意味はFX用語集でも整理しています。
円を含む通貨ペアと含まない通貨ペアで単位が違う
pipsの大きさは、通貨ペアに円が含まれるかどうかで変わります。FX会社の公式表記を並べると次のとおりです。
FX会社の公式表記での単位
| FX会社 | 円を含む通貨ペア(対円) | 円を含まない通貨ペア(外貨同士) |
|---|---|---|
| インヴァスト証券(トライオートFX) | 1銭=0.01円 | 1pips=0.0001外貨 |
| ヒロセ通商(LION FX) | (定義の記載なし。スプレッドは銭で表示) | 1pip=0.0001(USD/HUFは1pip=0.01) |
| GMOクリック証券(FXネオ) | レート最小単位は0.1銭 | レート最小単位は0.1pips |
| 松井証券(松井証券のFX) | 米ドル/円は0.1pips=0.1銭 | 米ドル/スイスフランは0.1pips=0.00001スイスフラン |
| 外為どっとコム(外貨ネクストネオ) | 1pips=0.001円(0.1銭) | ユーロ/ドル等は1pips=0.00001ドル |
※2026年10月13日時点・各社公式サイトより。インヴァスト証券は「対円通貨ペア:1銭=0.01円、対外貨通貨ペア:1pips=0.0001外貨」と表記しています。外為どっとコムは「実際はFX会社によって1pipsの定義は異なります」としたうえで、自社の定義を示しています。
外貨同士の通貨ペアは、外為どっとコムを除く表の各社の表記では1pips=0.0001(小数点以下4けた目の1)です。ユーロ/米ドルが1.1000から1.1020に動いた場合、0.0020の変化なので20pipsになります。ただし、ヒロセ通商がUSD/HUFを1pip=0.01としているように、例外の通貨ペアもあります。外為どっとコムのように、外貨同士の1pipsを0.00001(ほかの会社の0.1pips)とする会社もあります。
各社の公式情報:インヴァスト証券 トライオートFX スプレッド/ヒロセ通商 LION FX スプレッド一覧/松井証券 FX用語のQ&A
円を含む通貨ペアは「銭」で表示する会社が多い
米ドル/円のような円を含む通貨ペアは、値動きやスプレッドを「銭」(1銭=0.01円)で表示する会社が多いです(DMM FX・GMOクリック証券・ヒロセ通商など)。たとえばDMM FXは、米ドル/円の基準スプレッドを「0.2銭」と表示しています(2026年10月13日時点・各社公式サイトより)。
一方で、対円の通貨ペアも「pips」で表示する会社や資料があります。松井証券は「スプレッドは、pipsで表示しています」として米ドル/円を「0.2」と表示しています。インヴァスト証券も、ウェブページでは米ドル/円を「0.2 銭」、スプレッド提示率の資料では「0.2pips」と表記しています。
では、対円の通貨ペアで「pips」と書かれていたら、いくらと読めばよいのでしょうか。松井証券は「米ドル/円の場合は0.1pips=0.1銭」と説明しており、DMM FXも「USD/JPYで「スリッページ:1.0pips」と指定すると、1銭の許容範囲となります」としています(2026年10月13日時点・各社公式サイトより)。これらの会社では、米ドル/円の1pipsは1銭(0.01円)として読めます。一方、外為どっとコムは「1lot=1,000通貨、1pip=0.1銭(円絡みの通貨)」としており、同じ「1pips」が1銭とは限りません。
ただし、これは各社の説明であり、公的な共通の定義ではありません。同じ対円の値動きが「銭」と「pips」の両方で書かれることがあるため、ほかの会社では単位の説明を確認しましょう。当記事では、対円の通貨ペアは主に「銭」で計算します。
出典:松井証券 FX用語のQ&A(pips)/DMM FX よくあるご質問(スリッページ)/外為どっとコム FXのpipsとは
pipsと円の換算|1万通貨なら1銭=100円
値動きの幅が分かれば、通貨数量を掛けて円の金額に直せます。対円の通貨ペアと外貨同士の通貨ペアで、計算の手順が少し違います。
円を含む通貨ペア:1銭×1万通貨=100円
円を含む通貨ペアは、値動きの幅(円)×通貨数量でそのまま円の金額になります。1銭は0.01円なので、1万通貨なら0.01円×1万=100円です。
| 値動きの幅 | 1,000通貨 | 1万通貨 | 10万通貨 |
|---|---|---|---|
| 0.1銭(0.001円) | 1円 | 10円 | 100円 |
| 1銭(0.01円) | 10円 | 100円 | 1,000円 |
| 10銭(0.1円) | 100円 | 1,000円 | 1万円 |
| 100銭(1円) | 1,000円 | 1万円 | 10万円 |
※円を含む通貨ペアの計算例。スプレッド・スワップポイントは含めていません。
インヴァスト証券も、「円貨建て通貨ペアを1万通貨単位を取引する場合、0.001円の変動幅に対して10円の差損益金が発生します」と案内しています(2026年10月13日時点・各社公式サイトより)。表の0.1銭の行と同じ計算です。
外貨同士の通貨ペア:まず外貨で計算してから円に直す
外貨同士の通貨ペアは、損益がまず「/」の右側の通貨で出て、それを円に換算するという2段階の計算になります。ユーロ/米ドルなら、損益は米ドルで出ます。
1pips(0.0001)×1万通貨=1ドルです。1ドル150円なら、ユーロ/米ドルの1pipsは1万通貨で150円にあたります(仮のレートによる計算例です)。
| ユーロ/米ドルの値動き | 米ドルでの損益(1万通貨) | 円換算(1ドル150円) | 円換算(1ドル140円) |
|---|---|---|---|
| 1pips | 1ドル | 150円 | 140円 |
| 10pips | 10ドル | 1,500円 | 1,400円 |
| 50pips | 50ドル | 7,500円 | 7,000円 |
※前提:米ドル/円=150円・140円はいずれも仮のレート。円に換算するときのレートの決め方はFX会社の取引説明書で確認してください。
同じ1pipsでも、外貨同士の通貨ペアは米ドル/円などのレートによって円の金額が変わります。対円の「1銭=100円(1万通貨)」と同じ感覚で考えないよう注意しましょう。
pipsを使ったFXの損益計算の方法
ここでは、実際の取引を想定して、値動きの幅から損益を計算する手順を確認します。
損益=値動きの幅×通貨数量(外貨同士は円換算)
FXの損益は、(決済したレート−新規に取引したレート)×通貨数量で計算します。売りから入った場合は、新規に取引したレートから決済したレートを引きます。
金融先物取引業協会は、1ドル=100円のときに1万ドル(1万通貨)を買い、110円で決済すると(110−100)×10,000=10万円の受け渡しになる例を示しています。出典:取引スキーム(金融先物取引業協会)
計算例①:米ドル/円を1万通貨買った場合
米ドル/円を150.000円で1万通貨買い、150.300円で決済した場合、値動きの幅は0.300円(30銭)です。損益は0.3円×1万通貨=+3,000円になります。
反対に、149.700円まで下がって決済した場合は、−0.3円×1万通貨=−3,000円の損失です。同じ30銭の値動きでも、方向が逆なら同じ金額の損失になります(仮の数字による計算例です)。
計算例②:ユーロ/米ドルを1万通貨買った場合
ユーロ/米ドルを1.10000で1万通貨買い、1.09800で決済した場合、値動きの幅は−0.00200、つまり−20pipsです。米ドルでの損益は−0.002×1万通貨=−20ドルで、1ドル150円なら−3,000円の損失になります。
外貨同士の通貨ペアは、米ドル/円の動きによっても円での損益が変わります。計算は「pips→外貨→円」の順に進めると間違えにくくなります(仮の数字による計算例です)。
ロット数が変わると1pipsの金額も変わる
1pips(または1銭)あたりの金額は、通貨数量に比例します。1,000通貨なら1万通貨の10分の1、10万通貨なら10倍です。1ロットが何通貨かはFX会社で異なるため、FXのロットとはで自分の口座の取引単位も確認しておきましょう。
スプレッドのpips表記の読み方とコストの計算
pipsや銭は、FX会社のスプレッド(買値と売値の差)の表示にも使われています。表示の読み方と、円でのコストへの直し方を確認します。
スプレッドは買値と売値の差
金融先物取引業協会は、買値と売値の差をスプレッドと説明しています。買値107円15銭・売値107円10銭のとき、スプレッドは5銭で、1万通貨を買って同時に売るとスプレッドによる取引コストは5銭×1万通貨=500円になる、という例です。
スプレッドを円のコストに直す計算例
DMM FXの基準スプレッド(コアタイム・原則固定)を例に、通貨数量ごとのコストを計算すると次のとおりです。
| 通貨ペア(基準スプレッド) | 1万通貨(1Lot) | 10万通貨(10Lot) |
|---|---|---|
| 米ドル/円(0.2銭) | 20円 | 200円 |
| ユーロ/円(0.4銭) | 40円 | 400円 |
| ユーロ/米ドル(0.3pips) | 約45円 | 約450円 |
※スプレッドは2026年10月13日時点・DMM FX公式サイトより(コアタイム:午前9時~翌午前5時の原則固定。例外あり)。ユーロ/米ドルは1ドル150円の仮のレートで円換算。DMM FXの通常通貨ペアは1Lot=1万通貨です。1,000通貨で取引できるミニ通貨ペアは基準スプレッド(原則固定)の対象外のため、表に含めていません。
スプレッドは新規に取引した時点でかかるコストです。たとえば米ドル/円を買った直後は、スプレッドの分だけ含み損から始まります。
スプレッドは時間帯や相場の急変で広がることがある
スプレッドは常に一定ではありません。金融先物取引業協会は、早朝や主要国の祝祭日、重要な経済指標の発表前後などにはスプレッドが広がる場合があると説明しています。DMM FXも、コアタイム以外の時間帯は原則固定の対象外としています。
スプレッドの仕組みや各社の比較はスプレッドとはで詳しく解説しています。
FXのpipsを見るときの注意点
最後に、pipsで値動きやコストを見るときに迷いやすいポイントを3つ整理します。
注意点の1つ目は「銭とpipsのどちらで書かれているかを見る」ことです
注意点の1つ目は「銭とpipsのどちらで書かれているかを見る」ことです。前述のとおり、対円の通貨ペアは会社や資料によって「銭」と「pips」の両方の表記があります。比べるときは、同じ単位にそろえてから比べましょう。
注意点の2つ目は「注文画面の値幅の単位を確認する」ことです
注意点の2つ目は「注文画面の値幅の単位を確認する」ことです。DMM FXの決済同時発注では、損切・利食値幅を「5.0pips~99.9pips」の範囲で設定します(2026年10月13日時点・各社公式サイトより)。DMM FXは米ドル/円の1.0pipsを1銭として説明しているため、米ドル/円なら5銭~99.9銭の値幅です。値幅で入力する注文は、単位を取り違えると想定と違う価格で注文が出るおそれがあります。
注文の種類と入力のしかたはFXの注文方法で解説しています。
注意点の3つ目は「小さな値幅でも数量しだいで大きな損失になる」ことです
注意点の3つ目は「小さな値幅でも数量しだいで大きな損失になる」ことです。10万通貨の取引なら、米ドル/円が1円(100銭)動くだけで10万円の損益になります。レバレッジをかけた取引では、相場の急変時に預けた証拠金を上回る損失が出る可能性もあります。
取引する前に「何pips(何銭)逆に動いたらいくらの損失か」を計算しておくと、損切りの幅や数量を決めやすくなります。損切りの決め方はFXの損切りのやり方で解説しています。
【まとめ】FXのpipsを理解して損益とコストを計算しよう
当記事では、FXのpipsの意味、円を含む通貨ペアと含まない通貨ペアでの単位の違い、pipsと円の換算、損益の計算方法、スプレッドの読み方、注意点をご紹介しました。pipsは値動きの幅を表す単位で、対円の通貨ペアでは「銭」で表示されることも多く、外貨同士の通貨ペアは円への換算が必要です。単位をそろえて計算すれば、値動きやコストを円の金額で確かめられます。
まずは自分が取引する通貨ペアで「1銭・1pipsがいくらか」を計算し、小さな数量で値動きを確かめてみましょう。口座選びに迷ったらFXおすすめアプリ・口座10社比較も参考にしてみてください。
FX(外国為替証拠金取引)は元本が保証される商品ではありません。為替相場や金利の変動により損失が生じる可能性があり、レバレッジをかけた取引では預けた証拠金を上回る損失が発生する可能性があります。取引の際は各FX会社の契約締結前交付書面等をよくお読みいただき、ご自身の判断と責任で行ってください。本記事の情報は2026年10月13日時点のものです。
