最終更新:2026年10月17日
展望レポート(経済・物価情勢の展望)とは、日本銀行が年4回、経済と物価の見通しや金融政策運営の考え方をまとめて公表するレポートです。当記事では、最新の見通しの数値、2026年の公表日程と公表時刻、レポートに書かれている内容を中心に解説します。あわせて、為替との関係と公表前後の注意点も整理します。
展望レポートは、日銀会合(金融政策決定会合)のうち、通常、1月・4月・7月・10月の会合で決められます。政策金利の決定とあわせて、日銀が今後の経済と物価をどう見ているかが分かる資料です。当記事は公表のたびに最新の数値へ更新していきます。
展望レポートの最新の見通し(2026年7月31日公表)
政策委員の見通しの中央値:2026年度の物価は+2.5%
2026年7月30日・31日の会合で決められた展望レポートでは、政策委員の見通しの中央値が、2026年度は実質GDPが+0.6%、消費者物価(除く生鮮食品)が+2.5%となりました。政策委員とは、日銀会合で議決する総裁・副総裁2名・審議委員6名の9名です(出典:日本銀行「金融政策の概要」)。
実質GDPは物価の変動を除いた経済規模の伸び(経済成長率)、消費者物価指数(除く生鮮食品)は天候で値段が大きく動く生鮮食品を除いた物価の上昇率を表します。2027年度・2028年度を含めた数値と、前回(4月)からの変化は次のとおりです。
| 年度 | 実質GDP | 消費者物価指数(除く生鮮食品) | (参考)除く生鮮食品・エネルギー |
|---|---|---|---|
| 2026年度 | +0.6% (4月:+0.5%) | +2.5% (4月:+2.8%) | +2.5% (4月:+2.6%) |
| 2027年度 | +0.8% (4月:+0.7%) | +2.4% (4月:+2.3%) | +2.6% (4月:+2.6%) |
| 2028年度 | +0.8% (4月:+0.8%) | +2.0% (4月:+2.0%) | +2.2% (4月:+2.2%) |
※2026年7月31日公表の展望レポート(基本的見解)の「政策委員の大勢見通し」より、政策委員見通しの中央値(対前年度比)。かっこ内は2026年4月時点の見通しの中央値です。年度は4月から翌年3月までを指します。
出典:日本銀行「経済・物価情勢の展望(2026年7月)基本的見解」
展望レポートは「前回の見通しと比べると、成長率は概ね不変である」としています。消費者物価(除く生鮮食品)の2026年度が4月から下がった理由は、政府による夏場のエネルギー負担緩和策(電気・ガス代)の効果等と説明されています。
日銀の物価の見通し:2026年度後半以降は2%をはっきり上回ると予想
物価の見通しについて、展望レポートは消費者物価(除く生鮮食品)の前年比が、2026年度後半以降、2%をはっきりと上回る水準まで伸び率を高めていくと予想されるとしています。理由として、賃金上昇の価格への転嫁、これまでの原油価格上昇、AI関連需要の増加に伴う半導体価格等の上昇、最近の為替円安を挙げています。
その後、見通し期間の後半には、原油高の影響が弱まるなかで2%程度に向けてプラス幅を縮小していくと考えられる、としています。また、消費者物価の基調的な上昇率(一時的な要因を除いた物価の流れ)は「2026年度後半から2027年度にかけて『物価安定の目標』と概ね整合的な水準」になるとの見方を示しています。
リスク要因は中東情勢・AI関連需要・為替相場
展望レポートは、当面のリスク要因として、中東情勢が金融・為替市場やわが国の経済・物価に及ぼす影響をとくに注視する必要があるとしています。このほか、AI関連需要の動向や、今後の為替相場の変動が経済・物価に与える影響にも留意が必要としています。
リスクのバランスは、経済の見通しについては「概ねバランスしている」、消費者物価の見通しについては「上振れリスクの方が大きい」と評価されています。これは、見通しより物価が高くなる可能性の方が大きい、という意味です。
2026年度の見通しの推移(2025年10月〜2026年7月)
同じ2026年度について、展望レポートごとの中央値を並べると次のとおりです。消費者物価(除く生鮮食品)の見通しは、2026年4月に1.9%から2.8%へ大きく引き上げられました。
| 公表時期 | 実質GDP(2026年度) | 消費者物価(除く生鮮食品・2026年度) |
|---|---|---|
| 2026年7月 | +0.6% | +2.5% |
| 2026年4月 | +0.5% | +2.8% |
| 2026年1月 | +1.0% | +1.9% |
| 2025年10月 | +0.7% | +1.8% |
※各回の展望レポート(基本的見解)の「政策委員の大勢見通し」の中央値より。新しい展望レポートが公表されたら表の一番上に追記します。
出典:2026年7月、2026年4月、2026年1月、2025年10月
なお、展望レポートと同じ日に決まった政策金利は、2026年1月・4月が0.75%程度で据え置きでした。その後、6月の会合で1.0%程度に引き上げられ、7月は1.0%程度で据え置き、9月の会合で1.25%程度に引き上げられています。決定の一覧は日銀会合とはでまとめています。
展望レポート(経済・物価情勢の展望)とは?
年4回、経済・物価の見通しと政策運営の考え方を示すレポート
日本銀行によると、展望レポートは年4回(通常1月、4月、7月、10月)の金融政策決定会合で決定・公表されるレポートです。先行きの経済・物価見通しや、見通しが上下にぶれる要因(上振れ・下振れ要因)を詳しく点検し、そのもとでの金融政策運営の考え方を整理したものとされています。
なお、曜日の並びなどによっては、開催が翌月の初めにずれ込むことがあるとされています。正式名称は「経済・物価情勢の展望」で、2003年10月以前は「経済・物価の将来展望とリスク評価」という名前で公表されていました。
基本的見解と背景説明を含む全文の2つが公表される
日本銀行のホームページでは、展望レポートとして主に次の資料が掲載されています。まず内容をつかみたいときは「基本的見解」の概要と、末尾の見通しの表を見るのが分かりやすいでしょう。
| 資料 | 内容 |
|---|---|
| 基本的見解 | 経済・物価の現状、見通し、リスク要因、金融政策運営の考え方。末尾に政策委員の見通しの表 |
| 背景説明を含む全文 | 基本的見解に、背景の詳しい説明を加えたもの |
| BOX | その時々の重要なテーマについての分析(2016年以降の抜粋を別ページに掲載) |
| ハイライト | 2022年以降のハイライトを別ページに掲載 |
※2026年10月17日時点・日本銀行「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」のページより。
中身の柱は、政策委員による実質GDPと消費者物価指数(除く生鮮食品)の見通しです。あわせて、各政策委員の見通しとリスクバランスの認識を示した「政策委員の経済・物価見通しとリスク評価」も公表されます。
出典:日本銀行「教えて!にちぎん 日本銀行の経済・物価情勢に関する判断や見通しは、何を見れば分かりますか?」
「大勢見通し」と「中央値」の見方
見通しの表には、「大勢見通し」と「中央値」の2つの数字が並んでいます。大勢見通しは、各政策委員が最も可能性が高いと考える数値から、最大値と最小値を1つずつ除いて幅で示したものです。たとえば2026年7月の2026年度の消費者物価(除く生鮮食品)は「+2.3〜+2.7%」で、中央値が「+2.5%」です。
この幅は、予測の誤差などを踏まえた見通しの上限・下限を意味するものではない、と注記されています。また、各政策委員は、すでに決めた政策を前提とし、先行きの政策運営については市場の織り込みを参考にして見通しを作っています。
出典:日本銀行「経済・物価情勢の展望(2026年7月)基本的見解」
物価の見通しが注目されるのは、日本銀行が消費者物価の前年比上昇率2%を「物価安定の目標」としているためです(出典:日本銀行「教えて!にちぎん」)。見通しが2%と比べてどうかは、今後の金融政策を考える材料の1つになっています。
2026年の展望レポートの公表日程と時刻(次回は10月30日)
2026年は1月・4月・7月・10月の会合で公表
2026年の展望レポートの公表日は次のとおりです。次回は10月29日(木)・30日(金)の会合で決められ、10月30日に基本的見解、11月2日(月)14時に全文が公表される予定です。
| 会合の日程 | 基本的見解の公表日 | 全文の公表日 |
|---|---|---|
| 1月22日(木)・23日(金) | 1月23日(金) | 1月26日(月) |
| 4月27日(月)・28日(火) | 4月28日(火) | 4月30日(木) |
| 7月30日(木)・31日(金) | 7月31日(金) | 8月3日(月) |
| 10月29日(木)・30日(金) | 10月30日(金)(予定) | 11月2日(月)14時(予定) |
※2026年10月17日時点・日本銀行「金融政策決定会合の運営」「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」より。全文の公表日は、掲載済みの回は同ページの掲載日、10月は「翌営業日の14時」の原則にもとづく予定です。
2027年は、1月22日(金)、4月28日(水)、7月22日(木)、10月29日(金)に基本的見解が公表される予定です(各会合の2日目)。
基本的見解は会合終了後直ちに、全文は翌営業日の14時
日本銀行は各資料の公表時間を原則として次のように定めています。基本的見解は会合終了後直ちに公表され、背景説明を含む全文は翌営業日の14時に公表されます。
| 資料 | 公表時間(原則) |
|---|---|
| 展望レポート(基本的見解) | 会合終了後直ちに |
| 展望レポート(背景説明を含む全文) | 翌営業日の14時 |
基本的見解は「会合終了後直ちに」とされており、日本銀行の資料には公表の時刻は書かれていません。会合2日目の会合が終わったあとに出るものと考えておくとよいでしょう。総裁の記者会見の時刻などは日銀会合とはで解説しています。
展望レポートと為替(ドル円)の関係
ここでは、展望レポートが為替に関係するといわれる理由を、一般論として解説します。特定の相場の動きを予想するものではありません。
金融政策運営の考え方が書かれている
展望レポートの最後には、金融政策運営の考え方が書かれています。2026年7月のレポートでは「経済・物価・金融情勢に応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになると考えている」としています。金融緩和の度合いを調整するとは、ここでは政策金利を段階的に引き上げることを指します。
そのうえで、調整のタイミングやペースは、中東情勢やAI関連需要の拡大、為替相場の変動の影響を含めて点検しながら検討していく方針と書かれています。
出典:日本銀行「経済・物価情勢の展望(2026年7月)基本的見解」
金融先物取引業協会は、為替相場を動かす要因の1つとして金利を挙げ、金利が上がった通貨に買いが集まり、通貨の価値が上昇することが考えられると説明しています(出典:金融先物取引業協会「学ぼう!FX #3 為替相場を動かす要因」)。展望レポートの物価見通しや政策運営の書きぶりは、今後の金利を考える材料として見られています。ただし、実際の為替はほかの国の金利や市場の予想との差でも動くため、これだけで円高・円安は決まりません。
日米の政策金利の違いは政策金利とは、米国の金融政策はFOMCとはでまとめています。
展望レポートは円安の物価への影響にも触れている
2026年7月の展望レポートは、リスク要因の3つ目に為替相場の変動を挙げています。円安の進行は、グローバル企業の収益などにプラスの影響がある一方、輸入物価の上昇などを通じて家計の実質所得を下押しする面があるとしています。また、過去と比べて為替の変動が物価に影響を及ぼしやすくなっている面があることにも留意が必要としています。
円安・円高の基本は円安・円高とはで解説しています。2026年の円安の背景は円安の理由の記事で解説しています。
見通しの上げ下げだけで為替の方向は決まらない
為替は、金利以外にも経済指標・政治・市場心理・地政学などさまざまな要因で動きます。そのため、展望レポートの見通しが上がった・下がったという理由だけで、為替がどちらに動くかは決まっていません。前もって予想されていた内容なら大きく動かないこともあり、予想と違う内容なら大きく動くこともあります。
展望レポートの見通しは、政策委員がその時点で最も可能性が高いと考える数値であり、将来の経済・物価や相場を約束するものではありません。ほかに注目される経済指標は経済指標とはでまとめています。
公表日の前後にFXで注意したいこと
公表をまたいでポジションを持たない、という選択肢もあります。展望レポートは政策金利の決定と同じ日に公表されるため、スプレッドの広がりなど公表前後の値動きの注意点は日銀会合とはとスプレッドとはもあわせて確認してみてください。
急変時は証拠金を上回る損失の可能性もある
相場が急に動くと、ロスカットが十分に機能せず、預けた証拠金以上の損失が出る場合があると金融先物取引業協会は注意を促しています。基本的見解の公表時刻は事前に示されていないため、ポジションを持ったまま公表を迎えることもあります。証拠金の仕組みはFXの証拠金とはで確認できます。
レバレッジを抑え、損切りの注文を入れておく
公表日に取引する場合は、レバレッジを低めにし、損切りの逆指値注文を入れておくことが大切です。ただし、急変時は指定した値段より不利なレートで約定することもあります。ロスカットの仕組みはロスカットとは、損切りの設定方法は損切りのやり方で解説しています。
注文の操作に慣れていない場合は、FXデモトレードができるアプリで実際の資金を使わずに確認しておくこともできます。
【まとめ】展望レポートの日程と見通しを確認しよう
当記事では、展望レポートの最新の見通し、レポートの中身と見方、2026年の公表日程と時刻、為替との関係、公表前後の注意点をご紹介しました。2026年7月の展望レポートでは、2026年度の消費者物価(除く生鮮食品)の見通しの中央値は+2.5%で、次回は10月30日に公表される予定です。
展望レポートを読むと、日銀会合の決定の背景が分かりやすくなります。FXをこれから始める方はFXの始め方から確認し、アプリ選びに迷ったらFXおすすめアプリ・口座10社比較も参考にしてみてください。
FX(外国為替証拠金取引)は元本が保証される商品ではありません。為替相場や金利の変動により損失が生じる可能性があり、レバレッジをかけた取引では預けた証拠金を上回る損失が発生する可能性があります。取引の際は各FX会社の契約締結前交付書面等をよくお読みいただき、ご自身の判断と責任で行ってください。本記事の情報は2026年10月17日時点のものです。

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