最終更新:2026年10月17日
ケビン・ウォーシュ(Kevin Warsh)氏は、2026年5月22日に就任した米国のFRB(連邦準備制度理事会)議長です。当記事では、ウォーシュ議長の経歴と就任の経緯、議長になってからの金融政策、主な発言を中心に解説します。あわせて、ドル円との関係と次回FOMCの日程も整理します。
FRB議長の発言は、ドル円のニュースで大きく取り上げられます。人物の評価ではなく、FRBの公式発表と報道で確認できる事実をまとめました。
ウォーシュFRB議長とは?経歴と就任の経緯
ここでは、FRBの公式サイトの経歴とプレスリリースをもとに、ウォーシュ議長の人物像と就任の経緯を整理します。
FRB議長とFOMC議長を兼ねる米国の金融政策のトップ
FRBによると、ウォーシュ氏は2026年5月22日にFRB議長に就任し、任期は4年で2030年5月21日までです。政策金利を決めるFOMC(連邦公開市場委員会)の議長も務めています。
理事としての任期は2040年1月31日までで、議長と理事の任期は別々に決まっています。
FRB理事を2006年から2011年まで務めた経験がある
ウォーシュ氏は2006年から2011年までFRBの理事を務めた経験があります。FRBの公式サイトの経歴は次のとおりです。
| 時期 | 経歴 |
|---|---|
| 1992年 | スタンフォード大学で学士号を取得 |
| 1995年 | ハーバード・ロースクールを修了 |
| 1995年〜2002年 | モルガン・スタンレーに勤務 |
| 2002年〜2006年 | 大統領特別補佐官(経済政策担当)・国家経済会議(NEC)事務局長 |
| 2006年〜2011年 | FRB理事 |
| 2011年以降 | スタンフォード大学フーバー研究所の客員フェロー、同大学経営大学院の講師など |
※FRB「Kevin Warsh, Chairman」(2026年6月17日更新)より・当サイト訳
2026年3月に指名され、5月に上院で承認された
FRBのプレスリリースによると、ウォーシュ氏は2026年3月4日に指名され、5月に米上院で承認されました。就任までの流れは次のとおりです。
| 日付(米国時間) | 出来事 |
|---|---|
| 2026年3月4日 | トランプ大統領がウォーシュ氏を指名 |
| 2026年5月12日 | 米上院が理事として承認 |
| 2026年5月13日 | 米上院が議長として承認 |
| 2026年5月15日 | パウエル議長の任期満了に伴い、FRB理事会がウォーシュ氏の就任までパウエル氏を臨時の議長(chair pro tempore)に指名 |
| 2026年5月22日 | ウォーシュ氏が宣誓して議長・理事に就任。同日、FOMCが全会一致で議長に選出 |
出典:FRB プレスリリース(2026年5月22日)、FRB プレスリリース(2026年5月15日)
前任はジェローム・パウエル氏で、2026年1月〜4月のFOMCはパウエル氏が議長でした。FOMCの仕組みはFOMCとはで解説しています。
議長就任後のFOMCの決定
ウォーシュ議長の就任後、FOMCは3回開かれています(2026年10月17日時点)。各会合の決定を声明をもとに整理します。
6月・7月は据え置き、9月に0.25%ポイントの利上げ
就任後の3回の会合では、6月と7月はFF金利の誘導目標を3.50〜3.75%で据え置き、9月に3.75〜4.00%へ引き上げました。FF金利は米国の政策金利にあたる金利で、誘導目標はFRBが目標とする水準(幅で示す)のことです。
| 声明の公表日(米国時間) | FF金利の誘導目標 | 決定内容 | 賛否 |
|---|---|---|---|
| 2026年9月16日 | 3.75〜4.00% | 0.25%ポイント(0.25%分)引き上げ | 12対0 |
| 2026年7月29日 | 3.50〜3.75% | 据え置き | 9対3 |
| 2026年6月17日 | 3.50〜3.75% | 据え置き | 12対0 |
※2026年10月17日時点・FRBの各会合の声明より
出典:FRB 声明(2026年9月16日)、FRB 声明(2026年7月29日)、FRB 声明(2026年6月17日)
7月は、反対した3人(ハマック氏、カシュカリ氏、ローガン氏)が、この会合での0.25%ポイントの利上げを主張しました。6月と9月は全会一致です。
9月の利上げは物価の安定を早めるための判断とされた
9月16日の声明は、経済活動は堅調に拡大している一方でインフレは高止まりしているとし、今回の決定が2%の物価目標へのより早い回帰を支えるとしています。FRBが公表している政策金利の推移によると、利上げは2023年7月以来です。
出典:FRB 声明(2026年9月16日)、FRB「Open Market Operations」
FOMCの過去の決定一覧と日程はFOMCとは、日米の政策金利の違いは政策金利とはでまとめています。
ウォーシュ議長の主な発言と考え方
FRBの会見記録と報道から、主な発言を紹介します。( )内は当サイトによる日本語の要旨です。
先の金融政策を示す「フォワードガイダンス」は出さない
ウォーシュ議長の考え方の特徴の1つが、今後の金融政策の方向を前もって示す「フォワードガイダンス」を出さない姿勢です。フォワードガイダンスとは、「当面は金利を据え置く見込み」のように、中央銀行が先行きの方針を言葉で示すことを指します。
初めて議長として臨んだ2026年6月の会見では、声明からフォワードガイダンスを外したことを説明しています。
“We’ve dropped forward guidance.”(フォワードガイダンスはやめました。)
9月の会見でも、利上げが続くかを問われて次のように答えています。
“I’m not in the forward guidance business.”(フォワードガイダンスはしない方針です。)
“I’m not going to prejudge any future decisions we make.”(今後の決定を前もって決めつけることはしません。)
つまり、次の会合で利上げするか据え置くかを、議長の発言から事前に読み取ることは難しいということです。
出典:FRB「Transcript of Chairman Warsh’s Press Conference」(2026年6月17日)、同(2026年9月16日)
1つの経済指標の結果ではなく流れを重視する
9月の会見でウォーシュ議長は、1つの経済指標の結果に反応して判断するのではなく、流れ(トレンド)を重視する考えを示しました。
“Trends matter. Data points are noisy. Data point dependence is a dangerous preoccupation.”(大切なのは流れです。1回ごとの数字にはぶれがあります。1つの数字に頼りすぎるのは危うい考え方です。)
米雇用統計や米CPI(消費者物価指数)など、1回ごとの数字に注目が集まりすぎることに否定的な考えです。
物価の安定を最優先にする
9月の会見の冒頭でウォーシュ議長は、5年以上インフレが目標を上回っているため、物価の安定の側に重点を置いていると説明し、次のように述べています。
“The plain fact is that inflation is too high and has been for too long.”(端的に言えば、インフレは高すぎ、それが長く続きすぎています。)
また、8月のジャクソンホール会議では「特定の決定ではなく、金融政策の規律を約束した」と振り返りました。そのうえで、基調的なインフレ(一時的な値動きを除いた物価の流れ)が、2%の目標に向けてはっきりと十分な速さで動いていると確信できることを行動の基準に挙げています。
9月の利上げは、FOMCがこの基準を満たしていないと判断した結果だと説明しています。
出典:FRB「Transcript of Chairman Warsh’s Press Conference」(2026年9月16日)
10月16日のバンコクでは次の利上げの時期を示さなかった
報道によると、ウォーシュ議長はタイ・バンコクで開かれたIMF(国際通貨基金)・世界銀行の年次総会の場で、次の利上げの時期について手がかりを示しませんでした。発言は現地時間の10月16日(金)朝、米国東部時間では15日夜です。
“We made very clear we’d deliver price stability.”(物価の安定を実現すると明確にしてきました。)
“We’re not in that business anymore.”(もうそういうこと〔先の見通しを示すこと〕はしていません。)
同じ報道によると、ウォーシュ議長は米国の経済が9月の会合で想定した方向におおむね進んでいると述べました。また、「米国では大規模な投資の急増が起きている」と話し、「それが金融政策の運営を根本的に変えることになると思う」とも述べたと伝えられています。報道は、この投資の急増をAIブームによるものと説明しています。
この発言はFRBの講演ページに掲載がないため(2026年10月17日時点)、報道の内容として紹介しています。
FRB議長の発言がドル円で注目される理由
ここでは、注目される理由を一般論として解説します。相場の動きを予想するものではありません。
米国の金利の見通しがドルの材料になる
金融先物取引業協会は、為替相場を動かす要因の1つとして金利を挙げ、金利が上がった通貨に買いが集まり、通貨の価値が上昇することが考えられると説明しています。ただし、実際の値動きは他の要因にも左右されます。FRB議長の発言は、この米国の金利の見通しを考える材料として注目されます。
出典:金融先物取引業協会「学ぼう!FX #3 為替相場を動かす要因」
ドル円は日米の金利差もあわせて見られている
ドル円は米ドルと日本円の交換なので、米国の金利と日本の金利の差も見られています。2026年10月17日時点で、米国のFF金利の誘導目標は3.75〜4.00%、日本銀行の政策金利は1.25%程度です。
日本銀行の外国為替市況によると、2026年10月16日(金)17時時点のドル円は158.00〜158.02円、同日の東京市場のレンジ(安値〜高値)は157.80〜158.18円でした。
出典:日本銀行「外国為替市況」(2026年10月16日)、日本銀行「金融市場調節方針の変更について」(2026年9月18日)
金利差とFXの関係はスワップポイントとは、円安・円高の基本は円安・円高とはで解説しています。
先の見通しが示されないぶん、声明と会見そのものが手がかりになる
前述の通り、ウォーシュ議長は先の見通しを示さない方針です。そのため、FOMCの声明や会見の内容そのものを確認することが、これまで以上に大切になると考えられます。
また、為替は金利以外にも、経済指標・政治・市場心理・地政学など多くの要因で動きます。議長の発言や利上げ・据え置きの結果が出ても、ドル円がどちらに動くかは決まっていません。
次回FOMCの日程(10月27日・28日)と日本時間
ウォーシュ議長のもとで4回目となるFOMCは、10月27日・28日に開かれます。
声明は日本時間10月29日の午前3時ごろが目安
FOMCの声明は、これまで米国東部時間の午後2時に公表されてきました。米国は11月1日まで夏時間のため、10月28日の声明は日本時間10月29日(木)の午前3時ごろが目安です。時刻が変わる場合もあるため、直前にFRBの公式カレンダーで確認しましょう。
| 会合 | 日程(米国時間) | 声明の目安(日本時間) |
|---|---|---|
| 次回 | 10月27日・28日 | 10月29日 午前3時ごろ |
| 次々回 | 12月8日・9日 | 12月10日 午前4時ごろ(冬時間) |
※2026年10月17日時点・FRB「Meeting calendars and information」より。日本時間は、これまでと同じ米国東部時間の午後2時に公表された場合の目安です。米国の夏時間は3月第2日曜日から11月第1日曜日までです(NIST)。
出典:FRB「Meeting calendars and information」、NIST「Daylight Saving Time (DST)」
会合前はFRB関係者が金融政策の発言を控える期間に入る
FOMCの対外コミュニケーションの方針では、会合の前後に参加者が金融政策についての発言を控える「ブラックアウト期間」が決められています。期間は会合の2つ前の土曜日に始まり、会合の翌日に終わります。今回は米国東部時間の10月17日(土)から10月29日(木)までです。
報道によると、ウォーシュ議長のバンコクでの発言は、この期間に入る前の最後のFRB関係者の発言とされています。
出典:FRB「FOMC Policy on External Communications of Committee Participants」、NBC News(2026年10月15日・米国時間)
また、日本銀行の金融政策決定会合も10月29日・30日に開かれます。日米の会合が同じ週に続くため、結果の確認には日銀会合(金融政策決定会合)とはもあわせて使ってみてください。
議長の発言やFOMCの前後にFXで注意したいこと
議長の発言やFOMCの結果が出る前後は、相場が急に動くことがあります。金融先物取引業協会は、重要な発表の直後などでレートが急変するとスプレッドが広がりやすくなること、ロスカットが十分に機能せず、預けた証拠金以上の損失が出る場合があることを注意点として挙げています。
| 注意点 | 備え方 |
|---|---|
| 発表直後のスプレッド拡大 | 発表の前後は新しい注文を急がない |
| 急変による大きな損失 | レバレッジを低めにし、損切りの逆指値注文(決めた値段まで不利に動いたら自動で決済する注文)を入れておく |
ただし、急変時は指定した値段より不利なレートで約定することもあります。
出典:金融先物取引業協会「学ぼう!FX #2 為替相場とは」、金融先物取引業協会「FX取引に係る主なリスク」
詳しくはFOMCとはで解説しています。ロスカットの仕組みはロスカットとは、損切りの設定は損切りのやり方もあわせて確認してみてください。
【まとめ】ウォーシュFRB議長の発言とFOMCの日程を確認しよう
当記事では、ウォーシュFRB議長の経歴、就任後の金融政策、主な発言、ドル円との関係、次回FOMCの日程をご紹介しました。
- 2026年5月22日に就任し、9月にFF金利の誘導目標を3.75〜4.00%へ引き上げ
- フォワードガイダンスを出さず、1つの指標より流れを重視する
- 次回FOMCの声明は日本時間10月29日の午前3時ごろが目安
ニュースの意味が分かると、ドル円の動きも理解しやすくなります。FXをこれから始める方はFXの始め方から確認し、アプリ選びに迷ったらFXおすすめアプリ・口座10社比較も参考にしてみてください。
FX(外国為替証拠金取引)は元本が保証される商品ではありません。為替相場や金利の変動により損失が生じる可能性があり、レバレッジをかけた取引では預けた証拠金を上回る損失が発生する可能性があります。取引の際は各FX会社の契約締結前交付書面等をよくお読みいただき、ご自身の判断と責任で行ってください。本記事の情報は2026年10月17日時点のものです。

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