最終更新:2026年10月17日
2026年10月17日時点のECB(欧州中央銀行)の政策金利は、中心となる預金ファシリティ金利が2.50%です。主要リファイナンス金利は2.65%、限界貸付金利は2.90%で、いずれも2026年9月10日の政策理事会で0.25%ポイント引き上げられました。ファシリティは、中央銀行が銀行のために用意している「預け入れ・借り入れの窓口」のことです。
当記事では、最新の決定内容、2025年からの推移、2026年の残りの政策理事会の日程と日本時間を中心に解説します。あわせて、ECBの仕組みと、ユーロ円・ユーロドルとの関係も整理します。ECBの金利や日程は、ECBの公表文・公式サイトで確認したものです。
ECBの政策金利の最新の決定(2026年9月10日)
最新の金融政策の会合(政策理事会)は2026年9月10日に開かれました。公表文(プレスリリース)をもとに決定内容を整理します。
3つの政策金利をそろって0.25%ポイント引き上げた
2026年9月10日の政策理事会は、3つの政策金利をそろって0.25%ポイント(25ベーシスポイント)引き上げることを決めました。ベーシスポイントは金利の変化を表す単位で、1ベーシスポイント=0.01%です。
| 政策金利 | 決定前 | 決定後(9月16日から適用) |
|---|---|---|
| 預金ファシリティ金利 | 2.25% | 2.50% |
| 主要リファイナンス金利 | 2.40% | 2.65% |
| 限界貸付金利 | 2.65% | 2.90% |
※2026年10月17日時点・ECB「Monetary policy decisions」(2026年9月10日)より
ECBの政策金利は、決定した日ではなく、その翌週の水曜日などの「適用日」から新しい水準になる点に注意しましょう。9月の決定は9月16日(水)から適用されています。
出典:ECB「Monetary policy decisions」(2026年9月10日)
中東情勢によるインフレ圧力が利上げの理由とされた
公表文は、中東の紛争がインフレ圧力を生み続けており、インフレ率は長期間にわたって目標を大きく上回る見通しだと説明しています。インフレ率とは、物の値段が全体としてどれだけ上がったかを示す割合です。同時に公表されたECBスタッフの見通し(基本シナリオ)は次のとおりです。
| 項目 | 2026年 | 2027年 | 2028年 |
|---|---|---|---|
| インフレ率(総合) | 3.0% | 2.5% | 2.1% |
| インフレ率(エネルギー・食品を除く) | 2.5% | 2.6% | 2.3% |
| 実質経済成長率 | 0.9% | 1.4% | 1.5% |
※ECB「Monetary policy decisions」(2026年9月10日)より。いずれも年平均の見通し
今後の金利の道筋は前もって約束しない
公表文は、今後の金融政策は経済指標などのデータを見て、会合のたびに判断するとしています。そのうえで、特定の金利の道筋を前もって約束しない(”not pre-committing to a particular rate path”)と明記しています。
次回の10月29日の政策理事会で利上げ・据え置き・利下げのどれになるかは、公表文からは分かりません。決定が出たら、この記事の表に追記していきます。
ECBの政策金利の推移(2025年〜2026年)
2025年1月以降の金融政策の決定を表にまとめました。
| 決定日 | 決定内容 | 預金ファシリティ金利 | 主要リファイナンス金利 | 限界貸付金利 |
|---|---|---|---|---|
| 2026年9月10日 | 0.25%pt引き上げ | 2.50% | 2.65% | 2.90% |
| 2026年7月23日 | 据え置き | 2.25% | 2.40% | 2.65% |
| 2026年6月11日 | 0.25%pt引き上げ | 2.25% | 2.40% | 2.65% |
| 2026年4月30日 | 据え置き | 2.00% | 2.15% | 2.40% |
| 2026年3月19日 | 据え置き | 2.00% | 2.15% | 2.40% |
| 2026年2月5日 | 据え置き | 2.00% | 2.15% | 2.40% |
| 2025年12月18日 | 据え置き | 2.00% | 2.15% | 2.40% |
| 2025年10月30日 | 据え置き | 2.00% | 2.15% | 2.40% |
| 2025年9月11日 | 据え置き | 2.00% | 2.15% | 2.40% |
| 2025年7月24日 | 据え置き | 2.00% | 2.15% | 2.40% |
| 2025年6月5日 | 0.25%pt引き下げ | 2.00% | 2.15% | 2.40% |
| 2025年4月17日 | 0.25%pt引き下げ | 2.25% | 2.40% | 2.65% |
| 2025年3月6日 | 0.25%pt引き下げ | 2.50% | 2.65% | 2.90% |
| 2025年1月30日 | 0.25%pt引き下げ | 2.75% | 2.90% | 3.15% |
※2026年10月17日時点・ECBの各回の「Monetary policy decisions」と「Key ECB interest rates」より。金利は決定後の水準(適用日は決定の翌週)。新しい決定は表の一番上に追記します。
出典:ECB「Monetary policy decisions」(一覧)、ECB「Key ECB interest rates」
2025年は6月までに4回引き下げ、預金金利は2.00%に
2025年は1月から6月までの4回で0.25%ポイントずつ引き下げ、預金ファシリティ金利は3.00%(2024年12月18日適用)から2.00%になりました。その後、2026年4月までの7回の金融政策の会合では据え置きが続きました。
出典:ECB(2025年1月30日)、ECB(2025年6月5日)、ECB「Key ECB interest rates」
2026年は6月と9月に引き上げ、預金金利は2.50%に
2026年6月11日の引き上げは、ECBの金利の表によると、預金ファシリティ金利としては2023年9月以来です。7月23日は据え置き、9月10日に再び引き上げて2.50%になりました。
出典:ECB(2026年6月11日)、ECB(2026年7月23日)、ECB(2026年9月10日)
ECB(欧州中央銀行)とは?
ECBがどのような組織で、誰が政策金利を決めているのかを解説します。
ユーロを使う21か国の金融政策を担う中央銀行
ECB(European Central Bank:欧州中央銀行)は、共通通貨ユーロを使う国々(ユーロ圏)の金融政策を担う中央銀行です。本部はドイツのフランクフルトにあります。
ECBによると、ユーロはEU加盟27か国のうち21か国で法定通貨として使われています。日本でいえば日本銀行、米国でいえばFRB(連邦準備制度)にあたる存在です。
目標は物価の安定で、インフレ率2%を目指す
ECBの最も重要な目標は物価の安定で、中期的にインフレ率2%を目指すとしています。この2%は、ユーロ圏全体のHICP(統合消費者物価指数)で判断します。
2026年は、インフレ率が目標を上回る見通しのもとで利上げが行われています。
出典:ECB「Two per cent inflation target」
政策金利は27人の政策理事会が決め、総裁はラガルド氏
政策金利を決めるのは、ECBの最高意思決定機関である政策理事会(Governing Council)です。ニュースでは「ECB理事会」とも呼ばれます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 構成 | 役員会の6人(総裁・副総裁と4人の理事)+ユーロ圏21か国の中央銀行総裁(計27人) |
| 総裁 | クリスティーヌ・ラガルド(Christine Lagarde)氏 |
| 副総裁 | ボリス・ブイチッチ(Boris Vujčić)氏 |
| 金融政策の会合 | 6週間ごと(年8回) |
※2026年10月17日時点・ECB「Governing Council」「Executive Board」より
各国の中央銀行総裁は、交代で投票権を持つ仕組みです。決定の内容は、総裁が副総裁とともに記者会見で説明します。
出典:ECB「Governing Council」、ECB「Executive Board」
ECBの3つの政策金利の違い
日本銀行の政策金利は1つですが、ECBは3つの政策金利を決めています。
預金・資金供給・貸出の3つの金利がある
ECBの政策金利は、銀行がECBにお金を預けるとき・借りるときに使われる3つの金利です。
| 政策金利 | 英語名 | 中身 |
|---|---|---|
| 預金ファシリティ金利 | Deposit facility | 銀行がユーロシステム(ECBと各国の中央銀行)に翌日まで資金を預けるときの金利 |
| 主要リファイナンス金利 | Main refinancing operations | 銀行が担保を出して、ECBが週1回行う資金の貸し出し(資金供給オペ)で資金を借りるときの金利。預金ファシリティ金利より高く設定 |
| 限界貸付金利 | Marginal lending facility | 銀行が担保を出して翌日まで資金を借りるときの金利。主要リファイナンス金利より高く設定 |
※ECB「Key ECB interest rates」より・当サイト訳
3つの金利の差は、主要リファイナンス金利が預金ファシリティ金利より0.15%ポイント高く、限界貸付金利はさらに0.25%ポイント高い設定です。2025年以降の決定では、3つの金利がそろって同じ幅で上げ下げされています。
出典:ECB「Key ECB interest rates」
いま中心とされるのは預金ファシリティ金利
ECBは2024年3月に、金融政策の方向を預金ファシリティ金利で示し続けることを決めています。短期の市場金利は、預金ファシリティ金利の近くで動くことが想定されています。
そのため、ニュースで「ECBの政策金利は2.50%」と書かれている場合は、預金ファシリティ金利を指していることが多いです。主要リファイナンス金利(2.65%)の場合もあるため、どの金利の数字かを確かめましょう。
出典:ECB「Key ECB interest rates」、ECB「Decisions, statements & accounts」
日本と米国の政策金利の決まり方は政策金利とはで解説しています。
2026年のECB政策理事会の日程と日本時間
ECBの公式カレンダーによると、2026年の金融政策の会合は全8回で、残りは2回です。
残りは10月29日と12月17日の2回
2026年の残りの政策理事会は、10月28日・29日と12月16日・17日です。いずれも2日目に決定が公表され、記者会見が開かれます。
| 会合(現地の日付) | 決定の公表(日本時間) | 総裁の記者会見(日本時間) |
|---|---|---|
| 10月28日・29日 | 10月29日(木)22時15分 | 10月29日(木)22時45分 |
| 12月16日・17日 | 12月17日(木)22時15分 | 12月17日(木)22時45分 |
※2026年10月17日時点・ECBの公式カレンダーより。日本時間は、これまでと同じ現地時間に行われた場合の目安です。
出典:ECB「Meetings of the Governing Council and General Council」
決定は現地14時15分、10月25日以降は日本時間22時15分
ECBは2022年7月から、金融政策の決定を現地時間の14時15分に公表し、記者会見を14時45分から行っています。金融政策の声明などの関連資料は15時に公表されます。
EUの夏時間は3月の最終日曜日に始まり、10月の最終日曜日に終わります。2026年は10月25日(日)に夏時間が終わるため、日本時間は次のように1時間遅くなります。
| 期間 | 日本との時差 | 決定の公表 | 記者会見 |
|---|---|---|---|
| 夏時間(3月最終日曜〜10月最終日曜) | 7時間 | 日本時間21時15分 | 日本時間21時45分 |
| 冬時間(標準時) | 8時間 | 日本時間22時15分 | 日本時間22時45分 |
米国は11月1日まで夏時間のため、日米で時刻が切り替わる日がずれる点にも注意しましょう。
出典:ECB「New times for ECB’s monetary policy decisions and press conference」(2022年6月27日)、ECB「Weekly schedule」、欧州委員会「Summertime」
米国のFOMCの日程はFOMCとは、日銀の会合は日銀会合(金融政策決定会合)とはで確認できます。10月は27日〜30日にFOMC・ECB・日銀の会合が続きます。
ECBの政策金利とユーロ円・ユーロドルの関係
ECBの政策金利と為替の関係を一般論として解説します。相場の動きを予想するものではありません。
金利が上がった通貨に買いが集まることがある
金融先物取引業協会は、為替相場を動かす要因の1つとして金利を挙げ、金利が上がった通貨に買いが集まり、通貨の価値が上昇することが考えられると説明しています。ECBの利上げや、利上げを続けるという見方は、ユーロの材料として注目されることがあります。
出典:金融先物取引業協会「学ぼう!FX #3 為替相場を動かす要因」
ユーロ円は日欧、ユーロドルは米欧の金利差も見られる
ユーロ円(ユーロ/円)は日本との、ユーロドル(ユーロ/米ドル)は米国との金利差もあわせて見られています。2026年10月17日時点の政策金利は次のとおりです。
| 中央銀行 | 政策金利 | 直近の決定 |
|---|---|---|
| ECB | 預金ファシリティ金利 2.50% | 2026年9月10日に引き上げ |
| FRB(米国) | FF金利の誘導目標 3.75〜4.00% | 2026年9月16日に引き上げ |
| 日本銀行 | 無担保コールレート 1.25%程度 | 2026年9月18日に引き上げ |
※2026年10月17日時点・各中央銀行の公表文より
出典:ECB(2026年9月10日)、FRB(2026年9月16日)、日本銀行(2026年9月18日)
ユーロの政策金利は日本より高く、米国より低い水準です。金利差はスワップポイントにも関わるため、スワップポイントとはもあわせて確認してみてください。
利上げのあとにユーロドルが下がった期間もある
ただし、為替は金利だけで決まるわけではありません。ECBが公表する参照レートでは、9月10日の利上げのあとも、ユーロドルは1ユーロ=1.1652ドル(9月9日)から1.1253ドル(10月16日)に下がりました。参照レートは取引に使うレートではなく、参考値として公表されているものです。
出典:ECB「Euro foreign exchange reference rates」
米国が9月16日、日本が9月18日に利上げしたことを含め、ほかの国の金利・経済指標・地政学など多くの要因が重なります。ECBの決定だけでユーロの方向は決まらないと考えておきましょう。円安・円高の基本は円安・円高とはで解説しています。
ECB理事会の前後にFXで注意したいこと
ECBの決定は日本時間の夜(冬時間は22時15分)に出て、30分後に総裁の記者会見が続くため、決定と会見の2回、値動きが出ることがあります。金融先物取引業協会は、重要な発表の直後などはスプレッドが広がりやすく、急変時はロスカットが十分に機能せず、預けた証拠金以上の損失が出る場合があると説明しています。
発表をまたいで取引する場合は、会見の間も値動きが続くことがあると考えて、取引量や注文の内容を見直しておきましょう。損切りの逆指値注文も、急変時は指定した値段より不利なレートで約定することがあります。
出典:金融先物取引業協会「学ぼう!FX #2 為替相場とは」、金融先物取引業協会「FX取引に係る主なリスク」
スプレッドの仕組みはスプレッドとは、ロスカットはロスカットとは、損切りの設定は損切りのやり方で確認できます。
【まとめ】ECBの政策金利と理事会の日程を確認しよう
当記事では、ECBの政策金利の最新の決定と推移、ECBの仕組み、2026年の政策理事会の日程と日本時間、ユーロ円・ユーロドルとの関係をご紹介しました。
- 中心の預金ファシリティ金利は2.50%(2026年9月10日決定・9月16日適用)
- 2025年は2.00%まで引き下げ、2026年は6月と9月に引き上げ
- 次回は10月29日(木)で、決定は日本時間22時15分・会見は22時45分が目安
ECBの決定が出たら、この記事の表に追記していきます。FXをこれから始める方はFXの始め方から確認し、アプリ選びに迷ったらFXおすすめアプリ・口座10社比較も参考にしてみてください。
FX(外国為替証拠金取引)は元本が保証される商品ではありません。為替相場や金利の変動により損失が生じる可能性があり、レバレッジをかけた取引では預けた証拠金を上回る損失が発生する可能性があります。取引の際は各FX会社の契約締結前交付書面等をよくお読みいただき、ご自身の判断と責任で行ってください。本記事の情報は2026年10月17日時点のものです。

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