最終更新:2026年10月17日
FRB(連邦準備制度理事会)とは、米国の中央銀行制度の中心にある理事会です。当記事では、FRBの仕組みと役割、FOMCとの違い、議長と理事の顔ぶれを中心に解説します。あわせて、現在の政策金利と、声明・議事要旨などの公表物の日本時間も整理します。
FRBの決定や議長の発言は、ドル円のニュースで毎回のように取り上げられます。「FRB」「FOMC」「Fed」の違いを、FRBの公式サイトの説明をもとにまとめました。
FRBとは?米国の中央銀行の仕組み
ここでは、FRBという言葉が指す範囲と、連邦準備制度の組み立てを整理します。
FRBは連邦準備制度を運営する7人の理事会
FRBは英語の「Federal Reserve Board」の略で、正式名称は「Board of Governors of the Federal Reserve System(連邦準備制度理事会)」です。首都ワシントンにある連邦政府の機関で、米国の中央銀行制度全体を運営する役割を担っています。
米国の中央銀行制度そのものは「Federal Reserve System(連邦準備制度)」と呼ばれ、英語のニュースでは「Fed(フェド)」と略されます。日本の報道では、制度全体の意味で「FRB」と書かれることも多くあります。
連邦準備制度は1913年の連邦準備法でつくられ、金融政策、金融システムの安定、金融機関の監督・規制、決済システムの運営、消費者保護・地域振興の5つを主な仕事としています。
連邦準備制度は理事会・12の地区連銀・FOMCの3つで動く
FRBによると、連邦準備制度は理事会(FRB)、12の地区連銀、FOMC(連邦公開市場委員会)の3つの組織が協力して動いています。それぞれの役割は次のとおりです。
| 組織 | 構成 | 主な役割 |
|---|---|---|
| 理事会(FRB) | 理事7人(任期14年) | 制度全体の運営、地区連銀の監督。米国議会に対して説明責任を負う |
| 12の地区連銀 | 各地区の連邦準備銀行12行(ほかに支店が全米で計24) | 銀行の監督、資金の貸し出し、現金の供給、地域の経済情報の収集 |
| FOMC | 投票メンバー12人 | 政策金利などの金融政策を決める。定例会合は年8回(必要に応じて臨時会合) |
※2026年10月17日時点・FRB「The Fed Explained: Who We Are」より
理事は大統領が指名し、上院の承認を経て就任します。
出典:FRB「The Fed Explained: Who We Are」、FRB「Board Members」
12の地区連銀は全米を12の地区に分けて担当する
地区連銀(連邦準備銀行)は、全米を12の地区に分け、それぞれの地区を1つの銀行が担当しています。ニュースの「ニューヨーク連銀総裁」などは、地区連銀のトップのことです。
12の地区連銀は、ボストン、ニューヨーク、フィラデルフィア、クリーブランド、リッチモンド、アトランタ、シカゴ、セントルイス、ミネアポリス、カンザスシティ、ダラス、サンフランシスコです。各地で集めた景気の情報は、全米の金融政策を考える材料になります。
FRBの役割と2つの目標(デュアルマンデート)
ここでは、FRBが何を目指して金融政策を行っているのかを解説します。
目標は「雇用の最大化」と「物価の安定」の2つ
FRBの金融政策には、米国議会が定めた「雇用の最大化」と「物価の安定」という2つの目標があります。2つの目標が並んでいることから、デュアルマンデート(2つの使命)と呼ばれます。
| 目標 | 意味 |
|---|---|
| 雇用の最大化 | 物価を安定させたまま、経済が続けられる範囲で雇用をできるだけ高く(失業をできるだけ低く)保つ |
| 物価の安定 | 日々の買い物で使うモノやサービスの値段を安定させる |
※FRB「The Fed Explained: Monetary Policy」より・当サイト訳
物価を抑えるための利上げが景気や雇用の重しになることもあるため、FRBの決定は2つの目標のバランスをどう考えたかとして読むと理解しやすくなります。
出典:FRB「The Fed Explained: Monetary Policy」
物価の目標は「2%」で、個人消費支出(PCE)物価指数で測る
FOMCは、長い目で見て年2%の物価上昇が2つの目標に最もかなうと判断しています。物差しにしているのは、個人消費支出(PCE)物価指数という統計の前年比です。
ニュースでよく見る米CPI(消費者物価指数)とは別の統計です。CPIの見方は米CPIとはで解説しています。
出典:FRB「Why does the Federal Reserve aim for inflation of 2 percent over the longer run?」
目標は議会が決め、手段はFRBが独立して決める
FRBによると、議会は金融政策の目標を定める一方で、その運営についてはFRBに独立性を認めています。データと客観的な分析にもとづき、長い目で判断するためです。その代わり、議論や決定の内容を公表して説明責任を果たしています。
出典:FRB「The Fed Explained: Monetary Policy」
FRBとFOMCの違い
FRBとFOMCは似た文脈で出てくるため、混同されがちです。ここでは2つの違いを整理します。
FRBは「組織」、FOMCは「金融政策を決める会議体」
ひと言でいうと、FRBは連邦準備制度を運営する組織、FOMCは政策金利を決める委員会です。FOMCのメンバーにはFRBの理事7人全員が入っており、FRBの議長がFOMCの議長も務めます。
| 比べる点 | FRB(理事会) | FOMC(連邦公開市場委員会) |
|---|---|---|
| メンバー | 理事7人 | 投票メンバー12人(理事7人+地区連銀総裁5人) |
| 主な役割 | 制度全体の運営、金融機関の監督・規制など | 政策金利(FF金利の誘導目標=FRBが目標にする金利の幅)などの金融政策を決める |
| 議長 | FRB議長 | FRB議長が兼ねる |
| 開催・活動 | 常設の機関 | 定例会合は年8回 |
※2026年10月17日時点・FRB「Federal Open Market Committee」「The Fed Explained: Who We Are」より
ニュースで「FRBが利上げを決めた」と書かれている場合、実際に決めているのはFOMCです。FOMCの日程や過去の決定はFOMCとはでまとめています。
出典:FRB「Federal Open Market Committee」、FRB「The Fed Explained: Who We Are」
2026年のFOMCの投票メンバーは理事7人と地区連銀総裁5人
FOMCの投票メンバーは、理事7人、ニューヨーク連銀総裁、残り11の地区連銀総裁のうち1年交代で回る4人です。2026年に投票権を持つ地区連銀は、ニューヨーク・クリーブランド・フィラデルフィア・ダラス・ミネアポリスです。
| 区分 | 2026年の投票メンバー |
|---|---|
| FRB理事(7人) | ウォーシュ(議長)、ジェファーソン、ボウマン、バー、クック、パウエル、ウォラー |
| ニューヨーク連銀 | ウィリアムズ総裁(FOMC副議長) |
| 持ち回りの4人 | ハマック(クリーブランド)、ポールソン(フィラデルフィア)、ローガン(ダラス)、カシュカリ(ミネアポリス) |
※2026年10月17日時点・FRB「Federal Open Market Committee」(2026年10月7日更新)より
投票権のない残り7人の総裁も議論に加わります。持ち回りの枠は毎年入れ替わり、2027年はシカゴ・リッチモンド・アトランタ・サンフランシスコの番です。
出典:FRB「Federal Open Market Committee」
FRBの議長と理事(2026年10月時点)
ここでは、FRBの議長と理事の顔ぶれを、FRBの公式サイトの経歴ページをもとに整理します。
議長は2026年5月22日に就任したケビン・ウォーシュ氏
FRBの議長は、2026年5月22日に就任したケビン・ウォーシュ(Kevin Warsh)氏です。議長としての任期は4年で、2030年5月21日までです。FOMCの議長も兼ねています。
議長は理事の中から大統領が指名し、上院の承認を経て就任します。理事としての任期は別で、2040年1月31日までです。
出典:FRB「Kevin Warsh, Chairman」、FRB「Board Members」
ウォーシュ議長の経歴や主な発言はウォーシュFRB議長とはで詳しく解説しています。
理事は7人で、前議長のパウエル氏も理事として残っている
2026年10月17日時点の理事は次の7人です。前議長のジェローム・パウエル氏は、議長を退いたあとも理事として在任しています(理事の任期は2028年1月31日まで)。
| 氏名 | 役職 | 理事の任期の終わり |
|---|---|---|
| ケビン・ウォーシュ | 議長(2026年5月22日就任) | 2040年1月31日 |
| フィリップ・ジェファーソン | 副議長(2023年9月13日就任) | 2036年1月31日 |
| ミシェル・ボウマン | 監督担当副議長(2025年6月9日就任) | 2034年1月31日 |
| マイケル・バー | 理事 | 2032年1月31日 |
| リサ・クック | 理事 | 2038年1月31日 |
| ジェローム・パウエル | 理事(2018年2月5日〜2026年5月22日は議長) | 2028年1月31日 |
| クリストファー・ウォラー | 理事 | 2030年1月31日 |
※2026年10月17日時点・FRB「Board Members」と各理事の経歴ページより
FRBの政策金利(FF金利)の現在の水準
ここでは、FOMCが決める米国の政策金利の現在の水準を確認します。
FF金利の誘導目標は3.75〜4.00%(2026年9月16日に引き上げを決定)
2026年10月17日時点で、米国の政策金利にあたるFF金利の誘導目標は3.75〜4.00%です。2026年9月15日・16日のFOMCで、0.25%ポイント(0.25%分)引き上げられました。
FF金利(フェデラル・ファンド金利)とは、銀行どうしが翌日までお金を貸し借りするときの金利で、目標は幅(レンジ)で示されます。
次回のFOMCは10月27日・28日です。会合ごとの結果と日程はFOMCとは、日米の政策金利の比較は政策金利とはで解説しています。
FRBの主な公表物と日本時間
ここでは、ドル円のニュースでよく出てくる5つの公表物と、日本時間での目安を整理します。
声明・会見・議事要旨・ベージュブック・経済見通しの5つを押さえる
FRBの公式カレンダーでは、声明・議事要旨・ベージュブックはいずれも米国東部時間の午後2時、議長の会見は午後2時30分の予定です。米国は11月1日まで夏時間のため、10月中は日本時間の翌日午前3時、11月以降は午前4時が目安になります。
| 公表物 | 内容 | 頻度 | 次回(日本時間の目安) |
|---|---|---|---|
| 声明 | FOMCの決定内容と理由 | FOMCのたび(年8回) | 10月29日(木)午前3時 |
| 議長の記者会見 | 決定の理由を議長が説明 | FOMCのたび | 10月29日(木)午前3時30分 |
| 議事要旨 | 会合での議論の要約 | 決定の原則3週間後 | 11月19日(木)午前4時 |
| ベージュブック | 12地区の景気の報告 | 年8回 | 11月26日(木)午前4時 |
| 経済見通し(SEP) | 参加者の金利・物価・成長率などの予測 | 年4回 | 12月10日(木)午前4時 |
※2026年10月17日時点・FRBの公式カレンダー(2026年10月〜12月)より。議長の会見は10月のカレンダーで米国東部時間の午後2時30分と示されています。日本時間は、カレンダーの米国東部時間を換算した目安です。米国の夏時間は3月第2日曜日から11月第1日曜日までです(NIST)。
出典:FRB「Calendar(October 2026)」、同(November 2026)、同(December 2026)、NIST「Daylight Saving Time (DST)」
時刻が変わる場合もあるため、直前にFRBの公式ページで確認しましょう。
議事要旨は議論の中身、ベージュブックは各地の景気が分かる
議事要旨(Minutes)は、FOMCでの議論をまとめた文書で、原則として決定の3週間後に公表されます。声明が結論だけを伝えるのに対し、意見の分かれ方が分かるため、次の会合を考える材料として注目されます。
ベージュブック(Beige Book)は、12の地区連銀が集めた各地の景気の情報をまとめた報告書で、年8回公表されます。企業や専門家への聞き取りなど数字に表れにくい情報が中心で、なお、FRBは、ベージュブックはFRB関係者の見解を示すものではないと説明しています。
出典:FRB「Beige Book」、FRB「Beige Book: Frequently Asked Questions」
経済見通し(SEP)は年4回、参加者の予測の中央値が公表される
経済見通し(SEP)は、FOMCの参加者が示した成長率・失業率・物価・政策金利の予測をまとめたもので、3月・6月・9月・12月の年4回公表されます。2026年9月の予測の中央値のうち、物価と政策金利は次のとおりです。
| 項目 | 2026年 | 2027年 | 2028年 | 長期 |
|---|---|---|---|---|
| PCE物価指数の上昇率 | 3.7% | 2.3% | 2.1% | 2.0% |
| FF金利 | 4.1% | 4.1% | 3.9% | 3.2% |
※FRB「Summary of Economic Projections」(2026年9月16日公表)の中央値より抜粋。FF金利は各年末の水準の予測です。
出典:FRB「Summary of Economic Projections, September 2026」
これは参加者の見通しの中央値で、FOMCとして約束した金利の道筋ではありません。
FRBの決定がドル円で注目される理由
ここでは、注目される理由を一般論として解説します。相場の動きを予想するものではありません。
金融先物取引業協会は、為替相場を動かす要因の1つとして金利を挙げています。FRBは米ドルの金利を左右する立場にあるため、その決定や見通しが米ドルの材料として注目されます。ドル円では、日本銀行の政策金利(2026年10月17日時点で1.25%程度)との差も見られています。
ただし、為替は経済指標・政治・市場心理・地政学など多くの要因で動くため、利上げや据え置きが決まっても、それだけでドル円がどちらに動くかは決まりません。
出典:金融先物取引業協会「学ぼう!FX #3 為替相場を動かす要因」、日本銀行「金融市場調節方針の変更について」(2026年9月18日)
結果と相場の関係はFOMCとは、日米の金利差はスワップポイントとは、円安・円高の基本は円安・円高とはで解説しています。
FRBのニュースを見るときの注意点
最後に、FRBのニュースを読むときと、発表の前後に取引するときの注意点をまとめます。
地区連銀総裁や理事の発言は「FRBの決定」ではない
ニュースでは「FRB高官が利上げに前向き」のような見出しがよく出ます。ただし、1人の理事や地区連銀総裁の発言は、その人の考えであり、FOMCの決定ではありません。投票権を持つメンバーかどうかも、あわせて確認すると読み違えにくくなります。
また、会合の前後には参加者が金融政策の発言を控える「ブラックアウト期間」があり、10月の会合では米国東部時間の10月17日(土)から29日(木)までです。
出典:FRB「FOMC Policy on External Communications of Committee Participants」
発表の前後は急変動と証拠金を上回る損失に注意する
FRBの公表物の多くは、日本時間の早朝に出ます。金融先物取引業協会は、重要な発表の直後などでレートが急変するとスプレッドが広がりやすくなること、ロスカットが十分に機能せず、預けた証拠金以上の損失が出る場合があることを注意点として挙げています。発表をまたいでポジションを持つ場合の備え方はFOMCとはで解説しています。
出典:金融先物取引業協会「学ぼう!FX #2 為替相場とは」、金融先物取引業協会「FX取引に係る主なリスク」
ロスカットの仕組みはロスカットとは、損切りの設定は損切りのやり方、ほかの重要な指標の日程は経済指標とはもあわせて確認してみてください。
【まとめ】FRBの仕組みを知ってニュースを読み解こう
当記事では、FRBの仕組みと役割、FOMCとの違い、議長と理事、政策金利、主な公表物をご紹介しました。
- FRBは米国の中央銀行制度を運営する7人の理事会で、政策金利はFOMCが決める
- 目標は「雇用の最大化」と「物価の安定」で、物価は2%が目標
- 議長は2026年5月22日就任のウォーシュ氏、FF金利の誘導目標は3.75〜4.00%(2026年10月17日時点)
- 次回FOMCの声明は日本時間10月29日午前3時ごろ、議事要旨は11月19日午前4時ごろが目安
FRBの仕組みが分かると、ドル円のニュースの意味もつかみやすくなります。FXをこれから始める方はFXの始め方から確認し、アプリ選びに迷ったらFXおすすめアプリ・口座10社比較も参考にしてみてください。
FX(外国為替証拠金取引)は元本が保証される商品ではありません。為替相場や金利の変動により損失が生じる可能性があり、レバレッジをかけた取引では預けた証拠金を上回る損失が発生する可能性があります。取引の際は各FX会社の契約締結前交付書面等をよくお読みいただき、ご自身の判断と責任で行ってください。本記事の情報は2026年10月17日時点のものです。

コメント