FXのスプレッドとは、同じ通貨ペアの「買うときの値段」と「売るときの値段」の差のことです。当記事では、スプレッドの意味、コストの計算方法、「原則固定(例外あり)」の読み方を中心に解説します。あわせて、主なFX会社の米ドル/円のスプレッドと提示率も整理します。
取引手数料が無料のFX会社では、スプレッドが取引のたびにかかる実質的なコストになります。計算方法と広がりやすい時間帯を知っておけば、口座選びや注文のタイミングを考えるときに役立ちます。
FXのスプレッドとは?買値と売値の差=実質的な取引コスト
スプレッドは買値(Ask)と売値(Bid)の差
FXの画面には、同じ通貨ペアに2つのレートが並んでいます。買うときの値段(Ask・Offer)と、売るときの値段(Bid)です。買うときの値段は売るときの値段より常に高く、その差がスプレッドです。
金融先物取引業協会は、為替レートが「1ドル107円10銭~15銭」と伝えられる場合、1ドルを買う値段が107円15銭、売る値段が107円10銭で、この差の5銭をスプレッドと説明しています。
取引手数料が無料ならスプレッドが実質的なコストになる
国内のFX会社の多くは、取引手数料を無料にしています。たとえばDMM FXは「取引手数料(売買手数料)は無料です。スプレッドのみが、取引にあたって負担いただく実質的なコストとなります。」と案内しています(2026年10月時点・公式サイトより)。スプレッド以外にかかる手数料はFXの手数料で整理しています。
スプレッドが狭いほど、1回の取引でかかるコストは小さくなります。FX会社を比べるときに、スプレッドが重要な項目とされるのはこのためです。
スプレッドの単位は「銭」と「pips」
米ドル/円などの対円の通貨ペアでは、スプレッドを「銭」(1銭=0.01円)で表示する会社が多くあります。一方で、松井証券のように「pips」で表示する会社もあります。松井証券は「米ドル/円の場合は0.1pips=0.1銭」と説明しています(松井証券 FAQ)。
ユーロ/米ドルのような円を含まない通貨ペアは、pipsで表示されるのが一般的です。単位の詳しい考え方はpipsとはで解説しています。
FXのスプレッドのコストの計算方法
コスト=スプレッド(円)×取引数量
スプレッドのコストは、スプレッドを円に直した金額×取引数量で計算できます。0.2銭は0.002円なので、1万通貨なら0.002円×1万通貨=20円です。数量ごとの目安は次のとおりです。
| 取引数量 | スプレッド0.2銭の場合 | スプレッド3.9銭に広がった場合 |
|---|---|---|
| 1,000通貨 | 0.002円×1,000=2円 | 0.039円×1,000=39円 |
| 1万通貨 | 0.002円×1万=20円 | 0.039円×1万=390円 |
| 10万通貨 | 0.002円×10万=200円 | 0.039円×10万=3,900円 |
※米ドル/円の計算例です。3.9銭はDMM FXの米ドル/円のコアタイム外(午前5時〜午前9時)の上限側の基準スプレッド(2026/10/09現在)を例として使っています。
ユーロ/米ドルのように円を含まない通貨ペアは、コストがドルで計算されます。0.3pips(0.00003ドル)×1万通貨=0.3ドルで、1ドル150円なら約45円です(仮のレートによる計算例です)。
新規注文の直後はスプレッド分の含み損から始まる
スプレッドがあるため、買った直後のポジションは、スプレッド分だけマイナスの状態から始まります。たとえば売値150.000円・買値150.002円のときに1万通貨を買うと、買値の150.002円で約定します。
この時点で決済すると売値の150.000円で売ることになるため、損益は−20円です。損益がプラスになるには、売値が少なくとも0.2銭上がる必要があります(仮のレートによる計算例です)。
取引の回数が多いほど、このコストは積み重なります。1万通貨・0.2銭で月に20回取引すれば、スプレッドのコストは20円×20回=400円になる計算です。短い時間で売買を繰り返すスキャルピングを考えている方は、各社の規約を比べたスキャルピングOKの国内FX口座も参考になります。
スプレッドの「原則固定(例外あり)」とは
決められた時間帯に広告の値を提示するという意味
FX会社の広告にある「原則固定(例外あり)」は、決められた時間帯に、広告のスプレッドで配信することを原則としているという意味です。いつでも固定という意味ではありません。
DMM FXは、原則固定の時間帯を「コアタイム」(毎営業日午前9時〜翌午前5時)とし、「上記スプレッドは固定されたスプレッドではありません。」「なお、その上限は一定値に限定されません。」と注記しています(2026年10月時点・公式サイトより)。
みんなのFXやLIGHT FXも、広告で表示しているスプレッドを保証するものではないと案内しています。広告の数字は「通常時の目安」と考え、時間帯や条件の注記まで確認しましょう。
原則固定の対象外になる通貨ペア・注文もある
同じ米ドル/円でも、商品・注文の種類や数量によっては、原則固定の対象外になったり、広告の値とは別のスプレッドが適用されたりします。主な例は次のとおりです(2026年10月時点・各社公式サイトより)。
- DMM FX:ミニ通貨ペア(1,000通貨単位)・ラージ通貨ペアは基準スプレッド(原則固定)の対象外
- みんなのFX・LIGHT FX:USD/JPYラージは原則固定の対象外
- 松井証券:0.1pipsの縮小スプレッドは、米ドル/円で1,000通貨以内の成行(ストリーミング)注文などに限られる。指値・逆指値などは通常スプレッド
- 楽天FX:注文数量(〜200万通貨・200万超〜300万通貨など)によってスプレッドが変わる
- SBI FXトレード:米ドル/円には原則固定の広告スプレッドがない
スプレッドが広がりやすい時間帯・タイミング
金融先物取引業協会は、スプレッドが広がる主な要因として「流動性の低下」と「為替相場の急変」を挙げています。各社の公式の注記を見ると、具体的には次のような時間帯・タイミングが挙げられています。
| FX会社 | 公式の注記に挙がっている例 |
|---|---|
| DMM FX | 月曜日の午前7時〜午前8時頃、夏時間の午前6時前後(冬時間の午前7時前後)、年末年始、クリスマス時期、経済指標の発表前後など |
| GMOクリック証券 | 米国東部時間午後5時前後、年末年始、クリスマス時期、重要指標発表時間帯、市場の急変時など |
| 楽天FX | 平日早朝時(概ね6時30分〜7時30分。サマータイム期間中は1時間繰り上がり)、国内外の金融市場休場日、主要経済指標の発表前後など |
| 松井証券・SBI FXトレード | 週初や週末、年末年始、クリスマス時期、重要指標発表時間帯、市場の急変時など |
| みんなのFX・LIGHT FX | 金融市場休場日や営業休日明けのマーケットオープン時、マーケットクローズ間際、重要な経済指標の結果発表時の急変時など |
※2026年10月13日時点・各社公式サイトのスプレッドに関する注記より(表現は一部要約)。
早朝(日本時間の朝6〜8時ごろ)
金融先物取引業協会は、早朝の時間帯は取引量が減るため注意が必要としています。DMM FXは夏時間の午前6時前後(冬時間の午前7時前後)、楽天FXは平日早朝(概ね6時30分〜7時30分。サマータイム期間中は1時間繰り上がり)を、スプレッドが広がりうる時間として挙げています。
原則固定の時間帯も、多くの会社が早朝を外しています。DMM FXは午前9時〜翌午前5時、GMOクリック証券や楽天FXは午前9時〜翌午前3時です。取引時間の全体像はFXの取引時間で確認できます。
経済指標の発表前後や相場の急変時
米国雇用統計などの重要な経済指標の発表前後や、テロ・大震災などが起きたときは、スプレッドが平時より広がっている場合があります(金融先物取引業協会)。
DMM FXは、経済指標の発表時など相場が急変するおそれがある場合、その前後でレート配信を止めて注文を受け付けない場合があるとしています。金融庁も、相場の急変で流動性が下がるとスプレッドが広くなり、意図した取引ができなくなるおそれがあると説明しています。
週明け・年末年始・クリスマス時期
月曜日の朝(週明けの取引開始直後)や、年末年始・クリスマス時期は、取引量が少なくなりやすく、スプレッドが広がる場合があります。
スプレッドが広がると、逆指値の損切り注文が想定より不利なレートで約定することもあります。損切りの注意点はFXの損切りのやり方で解説しています。
出典:学ぼう!FX スプレッド、手数料について(金融先物取引業協会)/いわゆる外国為替証拠金取引について(金融庁)
主なFX会社の米ドル/円スプレッド(2026年10月時点)
主なFX会社の米ドル/円のスプレッドを、公式サイトの表記どおりにまとめました。原則固定の時間帯は会社ごとに違うため、時間帯とあわせて確認しましょう。
米ドル/円スプレッドの一覧表
| FX会社 | 原則固定の時間帯 | それ以外の時間帯 | 基準日 |
|---|---|---|---|
| DMM FX | 0.2銭(午前9時〜翌午前5時) | 0.2〜3.9銭 | 2026/10/09現在 |
| GMOクリック証券(FXネオ) | 0.2銭(午前9時〜翌午前3時) | 3.8銭 | 広告掲載日2026/10/9 |
| 松井証券 | 0.2pips(午前9時〜翌午前3時) 1,000通貨以内の成行などは0.1pips | 0.2〜6.0pips | 広告掲載日2026年10月5日 |
| 楽天FX | 0.2銭(午前9時〜翌午前3時・200万通貨まで) | 3.8銭 | 広告掲載日2026年10月13日 |
| みんなのFX | 0.2銭(午前8時〜翌午前5時) 米ドル/円 LIGHTは0.15銭 | 3.9銭 (LIGHTは3.88銭) | 2026年10月13日確認 |
| LIGHT FX | 0.2銭(午前8時〜翌午前5時) 米ドル/円 LIGHTは0.18銭 | 3.9銭 (LIGHTは3.88銭) | 2026年10月13日確認 |
| 外為どっとコム(外貨ネクストネオ) | 0.2銭(午前9時〜午前3時) | 0.2〜8.0銭 | 2026年10月13日確認 |
| ヒロセ通商(LION FX) | 0.2銭(午前9時〜翌午前3時) | 7.9銭 | 掲載日2026年9月28日 |
| SBI FXトレード | 原則固定の広告なし | — | 2026年9月の実績は基準値0.18銭(1〜100万通貨) |
※各社公式サイトより(「確認」は当サイトが公式サイトで確認した日)。原則固定(例外あり)の値で、相場急変時や流動性が低い時間帯は広がることがあります。松井証券は公式表記の「pips」(米ドル/円は0.1pips=0.1銭)。楽天FXは2026年10月5日〜10月31日、1回3万通貨までの対象注文で米ドル/円を0.1銭に縮小するキャンペーンを実施中です。
一覧表を見るときの注意点
米ドル/円の原則固定の値は、多くの会社が0.2銭でそろっています。違いが出やすいのは、原則固定の時間帯の長さと、それ以外の時間帯の広さです。早朝や深夜に取引することが多い方は、時間帯の列を確認しましょう。
また、1,000通貨単位で取引できる商品や注文の種類によっては、表の値が適用されない場合があります。たとえばDMM FXの米ドル/円ミニ(1,000通貨単位)は原則固定の対象外です。少額で始める場合は、使う商品のスプレッドを個別に確認しましょう。少額で取引できる会社は少額で始められるFX口座で比較しています。
主要通貨ペアのスプレッドを各社で比べたい方は、FXのスプレッド比較を参考にしてください。各社のスプレッド以外の条件もあわせて比べたい方は、FXおすすめアプリ・口座10社比較も参考になります。
スプレッド提示率とは?広告どおりに配信された割合
提示率は広告のスプレッドが提示されていた割合の実績
スプレッド提示率は、広告で示したスプレッドの範囲内でレートが配信されていた割合の実績です。金融先物取引業協会の規則により、スプレッドの広告を行う店頭FX業者は、スプレッドの実績を自社のホームページで公表することが義務付けられています(施行日:2020年12月1日)。
ただし、細かい定義は会社によって違います。DMM FXは「期間中にお客様へ提示されたレートのうち、基準スプレッドの範囲内で配信されたレートの割合(実績値)」、SBI FXトレードは「取引が可能な時間帯の中で、公開されたスプレッドが提示されていた時間の割合」と説明しています。
主なFX会社の米ドル/円の提示率
| FX会社 | 提示率 | 最大値 | 対象期間 |
|---|---|---|---|
| DMM FX | 97.16% | 15.9銭 | 2026/9/7〜10/2 |
| GMOクリック証券(FXネオ) | 99.63% | 16.0銭 | 2026/9/7〜10/4 |
| 松井証券(通常スプレッド) | 97.60%(9時〜翌3時) | 13.3pips | 2026/9/7〜10/2 |
| 楽天FX | 97.61% | 25.3銭 | 2026/9/7〜10/2 |
| みんなのFX | 97.90%(8時〜翌5時) | 14.9銭 | 2026/9/7〜10/2 |
| LIGHT FX(米ドル/円) | 98.64% | 14.9銭 | 2026/9/7〜10/2 |
| 外為どっとコム | 98.31% | 12.0銭 | 2026/9/7〜10/2 |
| ヒロセ通商(LION FX) | 98.74%(全時間帯。9時〜翌3時は99.13%) | 14.9銭 | 2026/9/28〜10/9 |
| SBI FXトレード | 93.28%(基準値0.18銭) | 14.80銭 | 2026/9/1〜10/1 |
※各社公式サイトで公表されている実績より(2026年10月13日確認)。原則として取引可能な時間全体の値で、松井証券・みんなのFXは広告適用時間の値です。対象期間・集計方法・定義が会社ごとに違うため、単純な比較はできません。
提示率の表には、期間中にスプレッドが最も広がったときの値(最大値)も載っています。上の表でも、普段は0.2銭前後の米ドル/円が、一時的に10銭以上(最大値12.0〜25.3銭)まで広がっていたことが分かります。
DMM FXは「この提示率は過去の実績であり、将来の数値を保証するものではありません。」と注記しています。提示率は、広告の値がどのくらい守られてきたかを見る参考として使いましょう。
【まとめ】FXのスプレッドの仕組みを知ってコストを確認しよう
当記事では、スプレッドの意味、コストの計算方法、「原則固定(例外あり)」の意味、広がりやすい時間帯、主なFX会社の米ドル/円スプレッドと提示率をご紹介しました。米ドル/円の0.2銭は、1万通貨で1回20円のコストです。
まずは自分が取引する時間帯と数量で、スプレッドがいくらかかるかを計算してみましょう。スプレッドを含めて口座を比べたい方は、FXおすすめアプリ・口座10社比較も参考にしてみてください。
FX(外国為替証拠金取引)は元本が保証される商品ではありません。為替相場や金利の変動により損失が生じる可能性があり、レバレッジをかけた取引では預けた証拠金を上回る損失が発生する可能性があります。取引の際は各FX会社の契約締結前交付書面等をよくお読みいただき、ご自身の判断と責任で行ってください。本記事の情報は2026年10月13日時点のものです。
