最終更新:2026年10月13日
円安の理由は1つではなく、金利・国際収支・市場心理など様々な要因が重なり、円を売りたい人が買いたい人を上回ることで起こります。当記事では、2026年の円安について日本銀行が示した説明、為替が動く仕組みと主な要因、日米の政策金利と為替介入の実績を日付つきで解説します。
ニュースでは「金利差」「貿易赤字」などの言葉がよく出てきますが、どれか1つだけで為替が決まるわけではありません。ここでは公的機関の説明と公表データだけを使い、予想ではなく事実として何が起きたかを整理します。
円安の理由は?2026年について日本銀行が示した説明
日本銀行は、四半期ごとの「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」の中で、為替市場の動きとその背景を書いています。2026年に公表された全文から、円の対ドル相場について書かれた部分を引用します。
最新の状況(2026年10月13日更新)
| 項目 | 日付 | 内容 |
|---|---|---|
| ドル円(17時時点) | 2026年10月8日 | 1ドル=158.19円 |
| 日本銀行の政策金利 | 2026年9月18日決定 | 無担保コールレート(オーバーナイト物)1.25%程度(9月24日から適用) |
| FRBの政策金利 | 2026年9月16日決定(米国時間) | フェデラルファンド金利の誘導目標3.75~4.00% |
| 直近の為替介入(月次) | 2026年7月30日~8月26日 | 15兆3,993億円 |
※出典:日本銀行 時系列統計データ検索サイト(東京市場 ドル・円 スポット 17時時点)、日本銀行・FRBの公表文、財務省「外国為替平衡操作の実施状況」。2026年10月13日確認。最新の結果はこの表を更新していきます。
2026年4月:FRBの利下げ観測の後退と貿易赤字拡大の見方
2026年4月30日に公表された展望レポート(全文)は、「円の対ドル相場は、FRBの利下げ観測の後退に加え、原油価格上昇に伴い、わが国の貿易赤字が拡大するとの見方もあって、ドル高・円安方向の動きとなっている」と書いています。
ここでは、米国の金利が下がるという見方が弱まったことと、原油高で日本の貿易赤字が広がるという見方の2つが挙げられています。日本銀行は2026年3月19日の公表文で、中東情勢の緊迫化を受けて原油価格が大幅に上昇していることにも触れています。
2026年7月:米国経済の堅調さとFRBの利上げ観測
2026年8月3日に公表された展望レポート(2026年7月・全文)は、「円の対ドル相場は、米国経済が堅調に推移するもとで、FRBの利上げ観測の高まりなどから、ドル高・円安方向の動きとなっている」と書いています。
4月時点の「利下げ観測の後退」から、7月時点では「利上げ観測の高まり」へと表現が変わっています。いずれも、米国の金利についての市場の見方が円安・ドル高の背景として挙げられている点が共通しています(出典:経済・物価情勢の展望 2026年7月(日本銀行))。
為替レートが動く仕組み|円安は「円を売る人」が多いとき
円安の理由を理解するには、まず為替レートがどう決まるかを押さえておく必要があります。
為替レートは需要と供給のバランスで決まる
日本銀行は、変動相場制のもとでは為替相場は「市場における需要と供給のバランスによって決まります」と説明しています。物やサービスの値段が決まるのと同じ原理です。円を売ってドルを買う人が多ければドル高・円安に、その逆なら円高に動きます。
財務省も、為替相場は「基本的には、各国経済のファンダメンタルズを反映し、マーケットの需給により市場において決定されるもの」としています(出典:為替相場とは何ですか?(日本銀行)/外国為替平衡操作の実施状況(財務省))。
円とドルを交換する人はさまざま
日本銀行は、通貨の交換が必要になる例として、海外旅行の両替、輸入企業の代金支払いのための外貨調達、国内投資家の外貨建て資産の売買などを挙げています。たとえば輸入企業が代金を払うために円を売ってドルを買えば、円を売る側の需要になります。
こうした実際の取引に加え、投資家の資金の動きも需給に影響します。外国為替市場の仕組みは外国為替市場とは何ですか?(日本銀行)で確認できます。
円安・円高を動かす主な要因
金融先物取引業協会は、為替相場を動かす主な要因としてファンダメンタルズ、政治、市場心理、地政学の4つを挙げています。内閣府も、為替は「金融政策や経済情勢、貿易等の実取引など、様々な要因により変動する」とし、要因が為替に与える影響の度合いは長期にわたって一律ではないと説明しています。
出典:為替相場を動かす要因(金融先物取引業協会)/日本経済2020-2021 付注1-2 為替変動要因の推計について(内閣府)
要因の1つ目は「金利(金融政策)」です
要因の1つ目は「金利(金融政策)」です。金融先物取引業協会は、物価が上がると金利を引き上げようとし、その結果「金利が上がった通貨に買いが集まり、通貨の価値が上昇することが考えられます」と説明しています。
日本銀行のワーキングペーパー(2025年2月)は、2021年1月から2023年9月半ばにかけての約32%の円安のうち、約24%が米国金利の影響によるものと分析しています。ただし、他の期間では米国金利の説明力が常に高いわけではないとし、金利以外の要素の重要性も指摘しています。なお、この論文は執筆者の研究成果で、日本銀行の公式見解ではありません(出典:日本の為替レートの動向と決定要因に関する分析(日本銀行))。
要因の2つ目は「物価・国際収支などの経済指標」です
要因の2つ目は「物価・国際収支などの経済指標」です。金融先物取引業協会は、ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)として、経済成長率、物価指数、国際収支、雇用統計などの経済指標を挙げています。
前述のとおり、日本銀行は2026年4月の展望レポートで「わが国の貿易赤字が拡大するとの見方」を円安方向の背景の1つとしています。主な指標の見方は経済指標とは、米国の指標は米雇用統計・米CPIで解説しています。
要因の3つ目は「市場心理(リスクへの姿勢)」です
要因の3つ目は「市場心理(リスクへの姿勢)」です。金融先物取引業協会は、市場参加者の先行きへの予測・期待・不安などが相場に影響すると説明しています。
実際に日本銀行は、2025年4月の展望レポート(5月2日公表)で、円の対ドル相場が「グローバルな投資家のリスク回避姿勢の強まりや日米金利差などが意識されるもとで、大きな振れを伴いつつも、ドル安・円高方向の動き」になったと書いています。市場心理は円高方向にも働くことが分かります(出典:経済・物価情勢の展望 2025年4月(日本銀行))。
要因の4つ目は「政治・地政学」です
要因の4つ目は「政治・地政学」です。金融先物取引業協会は、政権交代や制度変更、外交問題などの政治的な要因、テロや戦争、自然災害などの地政学的な要因を挙げています。2026年は、日本銀行が公表文(3月19日・6月16日・9月18日)で中東情勢や原油価格の上昇に繰り返し触れています。
2026年の日銀・FRBの政策金利の決定
ここでは、2026年の日本銀行とFRB(米連邦準備制度理事会)の政策金利の決定を、公表文どおりに並べます。日本銀行は2回引き上げ、FRBは9月に1回引き上げました。
日本銀行(金融政策決定会合)の決定
| 決定日 | 無担保コールレート(オーバーナイト物) | 賛否 |
|---|---|---|
| 2026年9月18日 | 1.25%程度に引き上げ(9月24日から適用) | 賛成7反対2 |
| 2026年7月31日 | 1.0%程度で据え置き | 賛成8反対1 |
| 2026年6月16日 | 1.0%程度に引き上げ(6月17日から適用) | 賛成7反対1 |
| 2026年4月28日 | 0.75%程度で据え置き | 賛成6反対3 |
| 2026年3月19日 | 0.75%程度で据え置き | 賛成8反対1 |
| 2026年1月23日 | 0.75%程度で据え置き | 賛成8反対1 |
※出典:金融市場調節方針に関する公表文 2026年(日本銀行)。2026年10月13日確認。次回会合は2026年10月29日・30日の予定(日本銀行公表の日程)。
FRB(FOMC)の決定
| 決定日(米国時間) | フェデラルファンド金利の誘導目標 | 内容 |
|---|---|---|
| 2026年9月16日 | 3.75~4.00% | 0.25%ポイント引き上げ |
| 2026年7月29日 | 3.50~3.75% | 据え置き |
| 2026年6月17日 | 3.50~3.75% | 据え置き |
| 2026年4月29日 | 3.50~3.75% | 据え置き |
| 2026年3月18日 | 3.50~3.75% | 据え置き |
| 2026年1月28日 | 3.50~3.75% | 据え置き |
※出典:FRB 各回のFOMC声明(Meeting calendars and information(FRB))。2026年10月13日確認。次回は2026年10月27日・28日の予定(FRB公表の日程)。
2026年10月13日時点では、日本の政策金利は1.25%程度、米国の誘導目標は3.75~4.00%です。政策金利の意味は政策金利とは、会合ごとの結果は日銀金融政策決定会合とFOMCとはで更新しています。
2026年のドル円の動き|日本銀行の公表値
2026年のドル円を、日本銀行が公表している17時時点の値で月ごとに並べます。新しい月の値は公表後に追記します。
月ごとの平均と月末の値
| 月 | 月中平均 | 月末(最終営業日)の値 |
|---|---|---|
| 2026年10月 | (公表前) | 158.19円(10月8日時点) |
| 2026年9月 | 156.23円 | 156.91円 |
| 2026年8月 | 158.81円 | 159.57円 |
| 2026年7月 | 162.45円 | 160.21円 |
| 2026年6月 | 160.69円 | 162.26円 |
| 2026年5月 | 158.34円 | 159.27円 |
| 2026年4月 | 159.28円 | 160.14円 |
| 2026年3月 | 158.64円 | 159.63円 |
| 2026年2月 | 155.23円 | 156.09円 |
| 2026年1月 | 156.79円 | 153.80円 |
※出典:日本銀行 時系列統計データ検索サイト(東京市場 ドル・円 スポット 17時時点)(日次)・同 月中平均。2026年10月13日確認。値はいずれも1ドルあたり。
2026年の最も円安・円高だった日
17時時点の値で見ると、2026年1月5日~10月8日で最も円安だったのは7月28日の163.79円、最も円高だったのは1月28日の152.64円です。数値は日本銀行 時系列統計データ検索サイトで確認できます。
円安・円高の意味や生活への影響は円安・円高とはで解説しています。
2026年の為替介入の実績|財務省の公表値
為替介入(外国為替平衡操作)は、財務大臣の権限で、為替相場の急激な変動を抑えるために行われる通貨の売買です。財務省の公表によると、2026年は円買い・ドル売りの介入が行われています(売買通貨まで公表済みなのは4月30日・5月4日・5月6日の分)。
2026年に公表された介入の実績
| 実施日・期間 | 介入額 | 内容 |
|---|---|---|
| 2026年7月30日~8月26日(月次) | 15兆3,993億円 | 実施日・日別金額・売買通貨は未公表 |
| 2026年5月6日 | 4兆6,759億円 | 米ドル売り・日本円買い |
| 2026年5月4日 | 7,802億円 | 米ドル売り・日本円買い |
| 2026年4月30日 | 6兆2,787億円 | 米ドル売り・日本円買い |
※出典:外国為替平衡操作の実施状況(財務省)(過去の介入実績データ・月次公表)。2026年10月13日確認。2026年1~3月期、5月28日~6月26日、6月29日~7月29日、8月27日~9月28日の介入額は0円。財務省は7~9月の日次ベースを2026年11月2日~9日に公表する予定としています。
介入の位置づけは為替介入とは何ですか?(日本銀行)、仕組みや見分け方は為替介入とはで詳しく解説しています。
円安の局面でFXをするときの注意点
円安のニュースが続くと「このまま円安が続くなら」と考えがちですが、FXでは次の3点に注意しましょう。
注意点の1つ目は「円安の理由が分かっても、先の値動きは分からない」ことです
注意点の1つ目は「円安の理由が分かっても、先の値動きは分からない」ことです。日本銀行が示す背景は、その時点までの動きの説明です。2026年も、7月28日の163.79円から8月3日の156.77円まで、短期間で7円以上円高方向に動いています(17時時点)。まとまった資金をいきなり使わず、少額で始められるFX口座で取引量を小さくして始める方法もあります。
注意点の2つ目は「介入や重要発表の前後は急変動が起こりうる」ことです
注意点の2つ目は「介入や重要発表の前後は急変動が起こりうる」ことです。金融先物取引業協会は、市場の流動性が低下した場合などに短時間で急変動が起き、ロスカットが十分に機能せず預託した証拠金以上の損失が発生することがあると注意を促しています(出典:FX取引に係る主なリスク(金融先物取引業協会))。
発表前後に備えて注文や決済の操作を確認しておきたい方は、FXデモトレードができるアプリで実際の資金を使わずに試すことができます。
注意点の3つ目は「金利差によるスワップポイントも変動する」ことです
注意点の3つ目は「金利差によるスワップポイントも変動する」ことです。金融先物取引業協会は、スワップポイントは市場金利の変化に応じて変動し、受け払いの方向が逆転することもあると説明しています。2026年は日米ともに政策金利が変更されています。仕組みはスワップポイントとはで確認しておきましょう。
【まとめ】円安の理由を公式の説明で確認しよう
当記事では、2026年の円安について日本銀行が示した説明、為替が動く仕組みと主な要因、日米の政策金利の決定、ドル円の動き、為替介入の実績、注意点をご紹介しました。為替は需給で決まり、金利・経済指標・市場心理・政治や地政学など様々な要因が影響します。2026年について日本銀行は、FRBの利下げ観測の後退や利上げ観測の高まり、貿易赤字拡大の見方などを円安方向の背景として挙げています。
ニュースで円安・円高の理由を見かけたら、日本銀行や財務省の公表資料で事実を確かめる習慣をつけてみましょう。FXの仕組みから知りたい方はFXとは、口座選びに迷ったらFXおすすめアプリ・口座10社比較も参考にしてみてください。
FX(外国為替証拠金取引)は元本が保証される商品ではありません。為替相場や金利の変動により損失が生じる可能性があり、レバレッジをかけた取引では預けた証拠金を上回る損失が発生する可能性があります。取引の際は各FX会社の契約締結前交付書面等をよくお読みいただき、ご自身の判断と責任で行ってください。本記事の情報は2026年10月13日時点のものです。
